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騒乱のデストリーネ  作者: 如月ゾナ
第5章 崩れた平和
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第68話 覚悟の殿

 

 前に立つ大きな背中が体勢を崩し静かに倒れていく。

 身体の至る所から血を流して地面が徐々に血で濡れ始める。


「し、師匠……?」


 デルフは胸を押さえていた左手を伸ばそうとするが鼓動が早まり身体が急激に熱くなる。


 その負荷に耐えきれないほど心臓に激痛が走り伸ばそうとした左手は反射的にまた胸を押さえてしまう。


(がっ……まただ。いったい俺の身体に何が起こっているんだ!!)


 呼吸が荒くなり視界が霞む。


 戦いが始まる前は何の異変もなかった。


 スファンキと比べるとブエルは遙かに強くデルフも苦戦を強いられていた。


 一歩間違えれば負けていたのはデルフだっただろう。


 しかし、今みたいに身体が急激に熱くなったと途端に目の前が真っ白になり気が付いたらブエルは倒れていたのだ。


「はぁはぁ……」


 ようやく発作が収まり俯いていた顔をあげリュースに近づこうとしたとき目の前にココウマロが現われた。


「なにやら……胸騒ぎして来てみれば……」


 ココウマロは仰向けに倒れたリュースを両腕で抱える。


「デルフ殿。まだ息はあります。ですが、今すぐ治療をしなければならないでしょう。いや……」


 ココウマロは何かを言いかけたが途中で言葉を止めた。


「そ、そうですか」


 ほっと胸をなで下ろすデルフをなんとも言えぬ表情でココウマロは見守る。


「デルフ殿、副団長より自分が倒れれば指揮をデルフ殿に委ねると……」

「俺が……?」

「デルフ殿は隊長です。副団長の次にこの場で位が高い」


 デルフはずっと混乱していたが全てをいったんは無理やり心の奥隅に追いやって考える。


 ジャンハイブはリュースに吹き飛ばされはしたがもう数秒もしないうちに戻ってくるだろう。


(時間はもう残されていない。どうすればいい。どうすればこの状況を打開できる!?)


 デルフはココウマロに視線を向ける。


「ココウマロさん。今の戦況は?」

「ジャンハイブがいることで我らの指揮は低く押され気味です。三番隊のほうもアスフトル殿の報告ではアクルガ殿の奮闘もあり何とか均衡を保っているが相手との兵力差が激しく時間の問題と……」


 予想以上の苦戦にデルフは顔をしかめ、あることに気が付いた。


「そんな兵たちに師匠の重傷が耳に入れば……」


 ココウマロも気が付いていたようでデルフの言葉の先を答える。


「逃げ出す者も現われるでしょう。そうなれば一気に総崩れに」

「恐怖はさらなる恐怖を煽るか……」


 デルフは目が回りそうになるが自分を落ち着かせるために頭を叩く。


(どうする! 師匠に頼ることはできない! 自分で考えろ!)


 また、発作が起きるがデルフは無視して血が上った頭で必死に考える。


 そして、大きく息を吐いて顔をあげると目の先に鱗の鎧を纏った男がゆっくりと歩いてきていた。


 その焦りからデルフは考えていた事を全て忘れ早口でココウマロに思いつくまま告げる。


「全軍撤退。ココウマロさんは師匠を連れ引き返し団長の本隊と合流もしくはナンノ砦へ帰還してください。至急速やかに!!」


 ココウマロはその言葉に釣られてリュースを抱えたままデルフを通り過ぎていくがすぐに立ち止まり恐る恐る振り向いた。


「デルフ殿は?」


 デルフは振り向かずに答える。


「誰かがあいつを止めなければならない。俺が殿を務めます。いや、務めなければならない。隊長の務めとして!! ココウマロさん、師匠を頼みます」


 デルフは落としていた刀を拾い地面に突き刺す。


「デルフ殿!! 命を粗末にするつもりか!! リュース殿に……」


 デルフはココウマロの言葉の途中で振り向く。


 そのときココウマロは言葉を止めるほどの戦慄が走った。


 なぜなら、振り向いたデルフの表情は儚く今にも消えそうだったが同時に瞳の色は決意に満ち満ちていた。


 ココウマロにはそんな騎士を説得するすべは持ち合わせてはいなかった。

 グッと堪えて頷きココウマロは声を絞り出す。


「わかりました。どうか、ご無事で。救援をすぐに送ります」


 そして、ココウマロの姿は掻き消えた。


「おう。話は終わったか?」

「律儀だな。話が終わるまで待っていてくれたのか? 攻めてきても良かったんだぞ?」

「ハッハッハ、そんな無粋な真似はしないさ」


 そのとき、背後で大きな煙が当たりを包み込んだ。


「なるほど、撤退か」

「止めるか?」

「いいや、好きにすれば良い」


 デルフは引きつった笑みを浮かべる。


「本当に何がしたいのか全く分からないな」

「最初は徹底的に壊滅させようと思ったが気が変わった。今はお前にしか興味はない」


 いつの間にかブエルはジャンハイブの後ろに回っていた。


 酷く困憊しており再び戦闘をすることはできないだろうが警戒に越したことはない。


 さらにその後ろにはジャンハイブの軍勢の残りが立っていた。


 そして、デルフの背後からはもうすぐ前線のボワールの軍勢が戻ってくるだろう。


 たとえジャンハイブを倒したとしても逃げ場はないに等しかった。


「ジャンハイブさん。油断しないでくださいよ。そいつ急激に身体能力が上がりました」

「ああ、分かっている。お前を打ち負かしたほどだからな」


 デルフは刀を左手で振り違和感がないことを確かめる。

 すると肩が微妙に重くなったのを感じた。


 目を向けるとそこにルーが座っていた。


 ルーは強い眼差しでジャンハイブたちを睨み付けている。


 その視線に当てられてブエルは後退りしているがジャンハイブは微動だにしない。


「凄い殺気だ。本当にリスなのか? そいつ……」

「駄目だルー、こいつには効かないようだ」


 ルーは苛ついたような表情をしデルフの邪魔にならないように地面に降りていく。


 デルフはジャンハイブを睨み付けその動きを一つ一つ観察していく。


(まともに戦っても勝ち目はない。”死角しかく”を使い一撃で終わらせる)


 デルフは地面を蹴り牽制で突きの連撃を放つ。


「!?」


 しかし、ジャンハイブは防ぐ気など毛頭なく全てを己の身体で受け止めてしまう。


 もちろん鱗の鎧に覆われている身に一切の傷はない。


「ハルザードさんが言っていたとおり……これはどうしようもないな」


 ハルザードは力で押し切ったと言っていたが遙かに力で劣るデルフには不可能だ。


 力がないからこそデルフは突きを主体の戦い方を鍛錬してきた。

 まさにジャンハイブはデルフの天敵と言っていい存在だ。


(攻撃が効かない。どこに攻撃をすれば……!?)


 考えが纏まらないままジャンハイブが地を蹴り聖剣を振り下ろしてきた。


 デルフはその聖剣を刀でなぞることで聖剣の軌道をずらしかつ刀をジャンハイブに当てる。


 だが、刀の動きをジャンハイブの鱗が阻んだ。


 堪らずデルフは後ろに飛び距離を取るがジャンハイブはそうはさせまいとすぐに詰めてくる。


 そして、ジャンハイブは拳を握りしめてデルフに突き出すが直前でデルフはそれを躱す。


「すばしっこいな」


 デルフの攻撃は通用しないがジャンハイブの攻撃もいくら威力が凄まじいとはいえ当たらなければ意味がない。


 攻撃がなかなか当たらないジャンハイブは苛立っている。


(あいつの攻撃自体は大ぶりでいくらでも避けることはできる……がこちらも有効打がない)


 しかし、そう考えていても埒があかないとし全力の一撃を試すことに決めた。


 デルフはジャンハイブと距離を取った後、刀を構えもせず無造作に歩き始める。


 ジャンハイブはデルフの雰囲気が変わったことに気付き引き締めたが一瞬でデルフの姿を見失ってしまった。


 デルフはジャンハイブの背後に移動しブエルや他の兵たちがジャンハイブに知らせる前に渾身の突きを放つ。


 刀は高速でジャンハイブの背に真っ直ぐ進みそして直撃した。


 甲高い音が鳴り響きデルフは呆然とした。


 そして、何かが地面に突き刺さる。


 それが何かデルフは分かっていたが恐る恐る焦点を当てていくとそれは刀の切っ先だった。

 即座に左手に持っている刀に目を向けると刀身が半分に折れてしまっている。


「全く見えなかったぞ。片腕の騎士よ! 一つ聞いておこう。名は?」


 デルフは無理に作った不敵な笑みを浮かべて答える。


「デルフ・カルストだ」

「デルフ・カルスト……その名、決して忘れないぞ」

「なに勝ち誇っているんだ。まだ戦いは終わっていない」


 ジャンハイブはにやりと笑い聖剣を構え振り下ろす。


「それならばどうこの場を凌ぎきるか見せてみろ!」


 デルフは躱すがジャンハイブは休む暇を与えずに再度振る。


 その攻防が幾度となく続きついにデルフに限界が訪れた。


 緊張感と疲労から足が縺れ背中から倒れそうになる。


 そんな隙をジャンハイブは見逃すはずもなく聖剣を握りしめ振り下ろした。


 だが、ジャンハイブは途中で聖剣を止め後ろに下がる。


 デルフは攻撃を止めた理由が分からなかったがすぐにジャンハイブが立っていた場所に何かが降り落ちてきた。


 落ちてきた衝撃により舞っていた砂埃によって隠れていたその正体が徐々に浮かび上がってくる。


「刀?」


 鞘はなく刀身は真っ黒に染まっている刀が目の前に突き刺さっていた。


 デルフは立ち上がりその黒刀を抜くと妙にしっくりとしておりどこか懐かしさを感じた。

 まるで空気を持っているかのように軽く振っても抵抗が全くない。


「なんだこれは? しかし、これは好都合だ」


 デルフは考えることを後に回して黒刀を構える。


 その光景をジャンハイブはただ眺めていることしかできなかった。


「刀が降ってきた? まさかハルザードか? いや、あいつならば俺の前に出てくるだろう……。ふっ、そんなことどうでもいいか。楽しくなってきた」


 デルフは黒刀を強く握りしめる。


 すると、黒刀から波動が生じた。


 その波動が周囲の兵を通過していくとその兵たちは青ざめ戦いていく。


 叫びや絶叫する者も続出している。


 あのジャンハイブでさえも自分で気付かずに後退りしているほどだ。


「まさか……これって」

「ハッハッハ!! 俺が恐怖を感じている? 面白い! 面白いぞ!!」


 狂ったように笑うジャンハイブは地面を蹴りデルフに斬りかかる。


 容易くそれを躱すが次に蹴りが飛んできた。


 デルフは跳躍し次にジャンハイブの足を足場としてさらに上へと飛び上がる。


 そして、ジャンハイブの上を取ったデルフは重力の勢いに合わせて突きを放つ。


「”羅刹一突らせついっとつ”!!」


 だが、黒刀は弾かれてしまう。


 それでもデルフは笑みを浮かべた。


 なぜならジャンハイブの身体には届かなくても鱗は酷く損傷しているからだ。

 全く効かないのとでは全く違う。


「まさか、俺の鱗を砕くとは……。ふははは! そうだ! そうこなくてはな!」


 ジャンハイブは即座に鱗を修復させる。


 デルフは再び連続で突きを放つ。


「”羅刹連突らせつれんとつ”!!」


 次々とデルフは鱗を破壊していくがジャンハイブはすぐにそれを修復する。


 ジャンハイブは反撃しようとしても黒刀がそれに呼応したように何度も波動を放つため動作が鈍くなっていた。


 一つ遅れた攻撃を躱すのはデルフにとって造作はなく最大の壁であったジャンハイブの鱗は砕くことができる。

 そしてハルザードの情報通り鱗を修復する度に体力や魔力を大きく消耗するようだ。


 修復した鱗の強度が僅かだが落ちている。

 修復速度も落ちてきている。


 その場にいた全員はデルフの優勢を疑わなかった。


 ジャンハイブの攻撃はまだデルフを捉えていない。

 いくら筋力や技術がデルフよりも上だとしても当たらなければ意味がない。


 そしてデルフが再び突きを放とうとしたとき、ついにジャンハイブはそれを聖剣で防いだ。


(やはり、捨て身の戦法をやめたか)


 それもそのはず、あの強固を誇った鱗がいとも簡単に破壊され続けているのだ。

 いつ身体に至るか堪ったものではないだろう。


 デルフは距離を取り”死角”を使う。


 しかし、背後を取った瞬間に聖剣が横に飛んできた。


 ジャンハイブは後ろを向いたままでありデルフの動きは読まれていた。


 デルフは触れる直前に地に伏せてそれを躱した後、そのまま黒刀を振りジャンハイブの右足の鱗を切り裂く。


(やはり、死角は一度見せたら通じないか……)


 ジャンハイブが蹌踉めいているうちに飛び起き再び突きを放つ。


 聖剣での防御が間に合わず身体に直撃しさらに鱗が砕ける。


 ジャンハイブはすぐさま鱗を修復し睨め付けてくるが既にそこにはいない。


 デルフはジャンハイブのすぐ真横に移動していた。

 懐に潜り込んでいたためジャンハイブの視界には入っていなかったのだ。


(ここは傷を負ったばかりだろ?)


 黒刀を素早く突き出してジャンハイブの脇腹に突き刺した。

 それは鱗をではなくさらに深く、身体の奥に突き刺さった。


 デルフはすぐに黒刀を抜きジャンハイブの間合いから離脱する。


「ぐっ……」


 ジャンハイブは突き刺されたところに手を当てると赤く染まっていた。


「まだまだこの能力には欠点があるのか……」


 ジャンハイブは魔力を脇腹に集中すると鱗が増殖し止血をする。

 だが、消耗は激しくジャンハイブは限界を迎えていた。


 それはデルフも同じだった。


 一度でも攻撃を受けたらデルフの速度は失ってしまう。

 そうなってしまえばデルフの敗北は必然。


 そんな緊張感の中で余力を残すなんて不可能だ。

 始めから全力のデルフはとうに限界を超えていた。


 それでも動くことができていることにデルフ自身が一番驚いている。


「次が最後だ!!」


 ジャンハイブがそう言ったのと同時にデルフは再び地面を蹴る。


 いや、蹴ることはできなかった。


 蹴ろうとしたとき右足が上手く動かせず転んでしまった。


 始めは限界を超えた反動だとデルフは思った。


 しかし、そうではなかった。


 デルフは足に目を向けると脹らふくらはぎに一本の矢が刺さっていた。


 それを知覚するとそこから壮絶な痛みが頭に訴えかけてくる。


「ぐっ……」


 ジャンハイブも意図してなかったことだったらしく固まっていた。

 それも束の間、すぐに矢が飛んできた方向にいる兵たちを睨み付けた。


「誰が!! 手を出せと言った!!」


 ジャンハイブの怒号が戦場を木霊する。


 兵たちは怯えたように身体を竦ませる。


 デルフは矢を足に突き刺したまま邪魔にならない長さに折りゆっくりと立ち上がる。


 デルフの戦闘力は速度が無になってしまったので半減、いやそれ以下になってしまった。

 それはもう負けに等しかった。


 しかし、デルフは勝負に投げ出す事はせず黒刀を構える。


 そのデルフの動きに気が付いたジャンハイブはゆっくりと答える。


「すまないな。デルフ。俺の部下が失礼なことをした」


 そして、一息入れてジャンハイブは言葉を続ける。


「戦いは終わりだ」


「どういう意味だ?」と答えようとしたデルフだったが口がたどたどしく動くだけで声が出なかった。


 デルフは目を見開いて不思議そうに黒刀を落として喉に手を当てる。


「俺たちの矢には毒が塗っている。身体が最初に痺れていきやがて死ぬ猛毒だ。じきに立つこともできなくなる」


 その間にもデルフは徐々に頭が呆けてきて平衡感覚が失いつつあった。


 少しでも気を抜いたら倒れて二度と立てなくなる。

 そう直感した。


 しかし、そう考えている間に目の前が真っ暗になってしまった。




 ジャンハイブは猛毒によって意識がないに等しい状態となったデルフを見定める。


「このままでもお前は死ぬ。だが、その前に……」


 ジャンハイブは肩を落としゆっくりと歩き始める。


「せめてもの情けだ。毒ではなく俺が止めをさしてやる。もう声は聞こえてないか……」


 デルフの反応はなく顔をしかめてジャンハイブを睨み続けているだけだ。


 しかし、その焦点は合ってはおらず目が泳いでいる。


(もう視界も定かではないだろう)


 デルフの前に立ったジャンハイブは静かに聖剣を振り上げる。


「楽になれ」


 そして、聖剣は振り下ろされ何の抵抗もなく鎧の上からデルフの身体を切り裂いた。


 デルフは後ろに蹌踉めいていく。

 数秒後には後ろに倒れて絶命する光景をジャンハイブは頭に浮かんだ。


 ジャンハイブは見届けずに背を向け歯噛みしながら軍の中に戻っていく。


「お前ら、今から撤退したデストリーネに追い打ちをかける! 今なら間に合うはずだ! いくぞ!!」


 しかし、兵たちからは快い返事は返ってこなかった。

 皆の動きが止まっており呆然としている。

 何かに目を奪われているようだった。


 そして、ブエルでさえも息を呑んでおり信じられない光景がジャンハイブの頭の中に浮かぶ。


「まさか!」


 ジャンハイブは後ろを振り返った。


 すると、デルフは倒れてはなく立っていた。


 ジャンハイブの攻撃をその身で受けきったのだ。


 一太刀を浴びた身体にその赤い線の跡が生々しく残りそこから血が滴り鎧を伝っていく。


 デルフは既に意識はなく左手は力なくぶら下がっているが目は開いており未だにジャンハイブに向かっている。


「は、ははは……凄い執念だ。お前は俺よりも英雄と呼ばれるのに相応しい!! たとえ皆が忘れても俺だけはお前のことを生涯忘れないと約束しよう!」


 狂気染みたジャンハイブの笑い声が響く。


 そして、それが急に止み真剣な表情をしてデルフを眺める。


「だから、安らかに眠れ」


 ジャンハイブは再び聖剣を振り上げ今度はすぐに振り下ろす。


 しかし、その聖剣はぴたりと宙で止まってしまった。

 いや、想像だにしていなかったことで気付かなかったがようやく受け止められたことに気付く。


 素手で刀身を握られていた。


「何!?」


 そして、冷ややかな声がその場にいた者の脳内に直接響き渡るように聞こえてきた。


「ちょっと待ったじゃ」


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