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騒乱のデストリーネ  作者: 如月ゾナ
第4章 隣国からの来訪
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第42話 五隊会議

 

「それでは今日もいつも通り励んでくれ」


 このデルフの言葉により今日も一日が始まった。

 とは言っても三番隊の任務は王都の警備および巡回だ。


 他の隊に比べれば比較的安全な仕事である。

 しかし、それでも油断は禁物だ。


 いつまた、あの殺人鬼の事件のようなことが起きるかもしれない。


 現に何人かの騎士は命を落としてしまった。


 たとえ巡回だといえども重い任務だと皆に認識させるように隊長であるデルフが発破をかけなければならない。


「ふぉっふぉっふぉ。あまり重く感じるな。気楽にじゃ」


 デルフの表情が固くなっていることに気が付いたウェガが笑いながら言葉をかけてきた。


 隊長になってからそれなりの時が経ったが今でもこうして爺さんは時々様子を見に来てくれる。


「しかし、隊長……」


 デルフは言葉を返そうとするがウェガの言葉により止められる。


「違うぞ。デルフ。隊長はもうお主じゃぞ」

「では、なんと呼べば?」

「ふぉっふぉっふぉ。儂はもうただの老いぼれじゃ。好きに呼ぶがいい」

「それじゃ爺さん。隊長とはこの国の要の一つ。感じるなというほうが難しいですよ」

「お主、遠慮がなくなったのう。コホン、それでも……いや無理に変えろとは言わぬ。じゃが、いつでも柔軟に頭を使えるようにしておかねばならん。それが隊長というものじゃ。隊長が戸惑えば部下も戸惑う。小僧、リュースから学んだじゃろ」


 デルフの頭の中にリュースの教えが過ぎる。


「そう……でした」


 デルフは目を覚ますように両手で自分の頬を挟み込むように叩く。


 そのときふとデルフはウェルムを思い出した。


 魔術団長であるカハミラの死後、ウェルムが魔術団長を引き継いだ。


 副団長であったのだから当然と言えば当然の結果だ。


 しかし、隊長でこの責任感なのに団長の重荷はどれほどになるか想像が難しい。

 一言を発するとそれが団の総意となってしまうからだ。


 デルフはまだ自分にはそれほどの覚悟は持っていないのだと改めて実感した。


「しかし、今になってそう気病みするとは何かあったかの?」


 そう言ったウェガだったがすぐに思い当たったらしく再び口を開く。


「五隊会議か?」

「はい。明日に」

「なるほどのう。……個性的な奴らじゃからのう。あー。ま、まぁなんとかなるじゃろう」


 爺さんも何か思い出したらしく目を逸らした。


(何の間だ? いや、そうか。爺さん、やっぱりこれからも逃げたかったのか)


 考えれば考えるほど爺さんが隊長を止めた理由が浮かび上がるのは偶然だろうか。


 デルフは半目で責めるようにウェガを見詰めるがわざとらしく仕事とか言ってこの場を去って行った。


「なるようになれか……」


 デルフはこれ以上考えるのを止め明日の自分に託すことにした。




 デルフは城内に入り指定の部屋に向かう。


 目的の部屋の扉が見えてくるとその前には衛兵が立っていた。


「三番隊隊長デルフ・カルストだ」

「はっ! お待ちしておりました!どうぞ」


 衛兵は恭しく敬礼をして横に逸れた。


 念のため心して中に入ったがまだ誰も来ていなくほっと息を吐く。


(一番乗りか……。まぁ、それはそうだな)


 隊長として新顔であるデルフは遅れないように早めに出発していたのだ。


 もしかすると時間を気にする隊長がいればデルフより先に着いているかもしれないと危惧していたがそれは杞憂だったようだ。


 会議室は思っていたよりも小さく真ん中に大きな円卓と五つの椅子、四隅には観葉植物が置かれている。


 デルフは扉に一番近い椅子に座り他の面々が来るのを待つ。


 しばらく待った後、扉が開かれた。


 そこから顔を見せたのは自分で染めたような色の濃さが疎らな茶色で短髪の若い男だ。


 若いとは言っても確実にデルフよりは年上である。


 服装は派手やかな鎧で雰囲気は悪く言えば軽薄そうな男だが良く言えばとっつきやすそうな感じがする。


 腰には剣を携えているが良く見ると一般に騎士たちが使っている剣とは少し異なる。

 何よりその剣から発せられる異質な雰囲気から相当に使い込まれていることを理解した。


 デルフは頭の中でウェガから聞いた情報と照らし合わせて推測する。


(恐らく、二番隊隊長のクライシス殿だな。四年前ほどに亡くなった……リラルスに殺されたんだっけ。……リラルスか、懐かしいな。王国では死んだことになっているが、あいつが死ぬなんてそんなわけがない。……あいつ今どこにいるんだ? と考えが逸れてしまった。リラルスに殺された隊長に代わって隊長に抜擢された人だったな。当時、最年少で隊長になった人物)


 ちなみに二番隊の任務は北の防衛なのだが悪魔、リラルスがいたとされる祠の守護が殆どだ。

 しかし、リラルスが祠から抜け出しもぬけの空となった北は守る意味がなくなった。


 だがそれで北の防衛をしないのは愚かな行為だ。


 北には山がありその先は海であるから誰も攻めてこないという甘えは捨て去るべきだと考えた国王ハイルは二番隊の任務の中に北の防衛を残している。


 だとしても可能性があるだけで他のところに比べたら一番低いのも事実である。


 それでハイルは王国に出没した魔物退治も任務に付け加えた。


 カルストの悲劇以降、デストリーネ王国内にて数々の村から魔物に襲われたという報告が知らされている。

 危険度が捕食者プレデターと同一である魔物を相手では並の兵士では歯が立たない。


 そこで、任務が減ったと言っていい二番隊が抜擢されたというわけだ。 


 クライシスは部屋の中に入るとキョロキョロと辺りを見渡しデルフを見つけた。


「おお、お前が新しい三番隊の隊長か。おっと俺はクライシスだ。よろしくな」

「デルフ・カルストです。こちらこそよろしくお願いします」

「へぇー」


 クライシスはデルフと逆側にある椅子にどかっと倒れ込むように座った。

 そのときの表情は何となくホッとしているかのように見えた。


「いや~。新しく入ってきたのがデルフで良かった。ここにいる人たち、特に一人、いや、二人か? とにかくかなり気難しい人たちがいるから息苦しくてな」

「そうなのか?」

「あはは、今に分かるぜ」


 そして、次に入ってきたのはぼーっとしている青みがかかっている銀髪の女性だ。

 いや、身長的に少女と言ってほうが正しいだろう。


 最年少で隊長となったのが今はデルフであることから目の前にいる女性の年齢は確実に上だ。

 しかし、常識からデルフはそのことを口には出さない。


 虚ろな目で何を考えているか読みづらくその少女はデルフに目を向ける。

 だが、それが本当にデルフに焦点を当てているのかはよく分からない。


「新しい人。イリーフィア。よろしく」


 一瞬なにを言われたか理解できなかったが手を出されたので握手をする。


 左手を差し出したということはデルフの右腕が義手だとすぐに気付いたのか知っていたからなのかはたまた偶然なのかは分からないがデルフのことを歓迎してくれているのは確かなようだ。


 差し出してきたその手は幼そうな顔に似合わずゴツゴツと固く相当の鍛錬を積んでいる。


 イリーフィアは握手したときふっと笑ったように感じたが表情の変化は全くない。

 しかし、纏っている雰囲気が和んでいるような気がしたので勘違いではないだろう。


(この人が対ジャリムのデンルーエリ砦で指揮を取っているという五番隊の隊長のイリーフィア殿か。弓の達人という噂だが実際に見てみたいものだ)


 そして、次に入ってきた者は柔らかそうな金の髪を後ろに束ねているがそれに不釣り合いな強面な男だった。


 鎧を纏わずシャツ一枚でまるで己の肉体が鎧だというように隆々とした筋肉を露わにしている。


 この男が部屋に入ってから辺りに漂う空気が重苦しくなったことをデルフは知覚した。


 一回、その男はデルフに視線を移すが興味なさそうに戻して傲慢不遜と言った態度で椅子にどかっと座る。

 そして腕を組み足を組み瞑想するように目を瞑った以降、何の動きもなくなった。


(この人が一番隊隊長のドリューガ・ノグラス殿か隊長一の実力者で師匠と勝たずとも劣らずの強さを誇り、ハルザードさんにまで匹敵するという噂まである。戦場での様子はまさに血に飢えた獣でその敵を殺し尽くす様から”破砕はさい”と呼ばれているだったか? 任務は確か西の防衛だったな。しかし、どうやらあまり俺のことを良く思っていないらしいな。まぁ、一人ぐらいはいると思っていたが)


 先程、デルフを一瞥したときのドリューガの目は客観的に見ると何も感じないが明らかに敵対心が出ていた。


 無理もないだろう。

 騎士団に入団して間もない若僧が自分と同じ地位の隊長になったのだから。


 三番隊の面々には納得してもらえたがそれは今までともに任務についてデルフのことをよく知ってもらえたからだ。

 初対面の人物の反応はこれが正しいと言ってもいい。


「よぉーし。全員、集まっているね!」


 そして、最後に入ってきたのはドリューガとは全く反対の雰囲気を持っている四番隊隊長のソルヴェル・ファムログだ。


 この国の最大の防を誇る人物で要塞とまで呼ばれている。


 そうと呼ぶに相応しい重鎧の見事さは目を見張るものがあった。

 デルフは目を凝らして見るが好きが一切見当たらない。


 ソルヴェルが守る南方は難攻不落で誰も攻めようとしないという噂まであるほどだ。


 そして、温和で親しみやすい性格であることから隊長を取り仕切るまとめ役にもなっている。


 ソルヴェルはデルフの下に近寄ってきた


「話はウェガさんから聞いているよ。手前はソルヴェル・ファムログだ。遠慮なくここにいるものは全て上の名で呼んでくれて結構だよ。とは言っても手前とドリューガ殿だけだけどね」


 ソルヴェルは顔に浮かべた笑みを絶やさず横目でドリューガを見た。


 ドリューガはまるでソルヴェルの言葉が聞こえていないかのように何も言わずに瞑想を続けている。


 その無言を了承と受け取ったソルヴェルは再度デルフを見た。


「しかし、よく魔力や右腕がないのにも関わらず隊長になるとはね。これまで、相当な努力をしてきたに違いないね~」


 それを聞いてクライシスはへぇ~と感心していた。


 イリーフィアはやはり無表情で手遊びしている。


(しかし、さっきからドリューガ殿が殺意を含んでいるような雰囲気を出し始めたのだが……)


 しかし、動きには一切の変わりは見当たらない。


「さて、これからもよろしく頼むよ。デルフ殿」


 ソルヴェルは一番奥の席に座り一呼吸置いてから話し始めた。


「これから五隊会議を始めます。デルフ殿、流れについては聞いているかな?」

「はい」


 ソルヴェルはにこやかに一回頷いた。


「それではいつも通り一番隊から順番に報告を頼みます」


 ドリューガは瞑想をして閉じていた目を重々しい瞼をゆっくりと開く。


「異常はない」


 それで報告が終わりだというようにドリューガはまた目を瞑る。


 それに疑問に思ったソルヴェルは口を開く。


「それはおかしいなー? 詳しくは知らないけど確か、かの大国ノムゲイルから少数だけど刺客が襲ってきたと聞きましたがね?」


 ドリューガは目を瞑ったまま平然と答える。


「あのような児戯、報告するに及ばぬ。それとも、我が君が総攻めの命を発したのか? ならばこの我が幾日も経たずして落としてみせようぞ」


 ソルヴェルは困ったような顔をして苦笑いをしている。


「いや、そのようなことはないけどね」


 それを聞いてドリューガは、話は終わりだというように黙ってしまった。


「は、ははは、それでは気を取り直してクライシス殿。報告を」


 クライシスは立ち上がりどこからか出した資料を手に持って話し始める。


(しかし、ドリューガ殿か……。爺さんが言ってた気難しい人はまずこの人だな。しかし、実力相応の態度なら誰も文句は言えないか)


 デルフは切り替えてクライシスの報告に集中する。


「北方の祠があった山に砦を築きそこから周りを一望できるようにしましたよ。そこに何人か人を残しすぐに様子を知らせることができる伝達網を配備しました」

「この間、言っていた砦だね」

「はい、これにより王国に出没している魔物退治に専念できます。しかし魔物の種類も最近になって増え、騎士でも苦戦は免れないものになっていますよ」

「魔物か……。数年前に突如出現した魔力を持つ動物だね。なにやら怪しい臓器を持ちそこから魔力を供給しているとか」

「姿、形。変わる子もいる。聞いた」


 イリーフィアが手遊びをしながら無表情で目を向けずに付け加える。


「想像を絶するほどの変化もするとかも聞いたよ。それと、確かこの国以外にも出没したとも聞いたね」


 ソルヴェルは思い出したように答える。


「まぁ、それなりに時間が経っていることですし。住処を変えるなんてことはありますでしょ」

「もはや魔物の存在はこの世界の常識になりつつあるね」


 確かにその通りだとデルフは思った。


(魔物をどうにかする手段を考える必要があるな)


 カルストの悲劇のようなことはもう二度と起こしてはならないとデルフは奮起する。


「魔物についての調査は魔術団に一任されている。もし何か解明できれば知らせが来ると思うよ。もちろん助力を求めてきたらできる限り受けてあげてね。もちろん、自分の任務に支障が出ない範囲でね」


 ドリューガ以外はそれを頷いて了承する。


 誰も何も言わないと言うことはドリューガのこの態度はいつも通りなのだろう。

 言ったとしても無駄と分かっているからだ。


 ソルヴェルは気にせず会議を進行させる。


「次は三番隊か。デルフ殿よろしく頼む」

「はい。三番隊は普段通り王都内の巡回を繰り返しています。少し前に殺人鬼の出没でやや問題が起こりましたが解決し今は何も問題はありません」

「殺人鬼か……。そのことは委細承知しているよ。犠牲になった者には冥福を祈る限りだね」


 その口調から犯人は騎士であるアリルだったと言うことも知っているのだろう。


 そのとき「ふんっ」と不満を露わにしたような声が聞こえてきた。


「騎士の面汚しが。たかが一人に翻弄されよって! 三番隊は腑抜けておるのか!」


 怒りが籠もった表情のドリューガの怒号が部屋の中に響き渡る。


「そんな失態を犯しながら罰どころかお前みたいなやつが誇りあるデストリーネ王国騎士団隊長に成り上がるとは笑わせてくれるわ」


 デルフもここまで言われて黙ることはできない。


 前にも言われたとおり隊長となったデルフは隊の顔であり象徴だ。

 デルフが舐められるということは隊そのものが舐められるのと同意。


「そこまでにしていただきたい。俺としてもそれ以上は容認できません」

「ふっ。成り上がりが。威勢だけは良いことだ」

「隠れながら事を為される煩わしさ。かのドリューガ殿なら理解できるだろう。まさか理解できないなど武勇に名高いドリューガ殿なら言うことはないだろう」

「抜かすか。小僧が」


 その時、パチパチと手を叩く音が鳴った。


「お二方。そこまで。ドリューガ殿。デルフ殿が隊長となったのはハイル陛下直々の拝命だよ。デルフ殿を認めないことはお決めになった陛下を認めないこと。まさか陛下に異を唱えるおつもりかね」

「ぬ、ぬぅ……」


 ドリューガはソルヴェルの言葉に怯みそれ以上何も言わなくなったがデルフに対しての敵対心はより一層増したらしく鋭く睨み付けてくる。


(そんなに睨むなよ。この男は危険だと俺の直感が訴えかけてくる……)


 この男の怖さは実力があるからなどではない。


 陛下の一言の命令があればこの男は何の躊躇いもなく平然と人を殺めると思わせる威圧感がこの男にあることだ。

 ただ、それはこの国に所属する騎士や兵士にとっては当然のこと。


 陛下の命令は絶対。


 子どもでも分かる常識だ。


 それでも多少の哀れみや敬意を思って敵と相対するがこの男は群がる蠅としか感じないだろう。

 人はこんな感情を表に出せるものなのかとデルフは戦慄する。


「デルフ殿もどうか矛を収めて欲しいね」


 デルフとしても争う気なんかさらさらないので心の奥から力強く頷く。


「では、次は四番隊。手前が報告するよ。大国シュールミットは何の動きもないが警戒は怠らないようにする。それよりもボワールにややきな臭い動きが見られるね。一応、皆にも警戒しておいていただきたい」


 ボワール王国。


 あの英雄と呼ばれるジャンハイブがいる国だ。

 その国が不穏な動きをしている。


 もしジャンハイブが攻めてくるとなるとその戦いは小競り合いなどと生温くはならないだろう。


「さて、最後にイリーフィア殿。お願いする」

「わかった。……ジャリムも。少し。動きある。警戒。必要」


 ゆったりとした口調でイリーフィアは報告する。


「ジャリムも、ね……。なるほど了解した。ではいつも通りこの報告は後で手前がまとめて副団長殿にお渡しするよ」


 ほぼ全員が了承の頷きをして最後の議題が挙がる。


「では、次にもう少ししたらこの王都に友好国であるフテイルの王が直々にお越しになる。ハイル陛下との会談のためだよ。この件は騎士団長殿と副団長殿のお二方が陛下の下に控えることになっているよ。三番隊はフテイル王来訪期間中の警戒を最大限に上げて欲しい。フテイル王だけでなくその配下の方にも何かあれば我が国の恥だと思って油断なく務めてくれ」

「了解しました」


 王の来訪となればそれなりの従者も連れてくる。

 それを聞いた観光客も増える可能性もある。

 もしかしたらそれに合わせてデストリーネとフテイルの不和を企む輩がいるのかもしれない。


(この件についてはアスフトルさんと要相談だな)


 デルフは今思いつく限りの問題点を頭のメモに書き連ねていく。


「具体的な詳細については追って連絡するね。……これで連絡は以上だけど何か質問はあるかね?」


 ソルヴェルは辺りを見渡して何も質問がないことを確認すると頷く。


「では、今回の五隊会議は解散とするよ」


 その言葉の後、先にイリーフィアが部屋の外に出てその次にクライシスが出る。


 そしてデルフも外に出てフレイシアの下に寄ってからアスフトルと相談しようと考えて歩き始める。


 だが、通路を歩いていると急に後ろから殺気を感じ、デルフは振り向きながら飛び下がった。

 いつでもすぐに抜けるように刀に左手を添えている。


 視線を向けると目の先にはドリューガが睨み付けていた。


 そして、「ふんっ」と鼻を鳴らして踵を返してデルフから遠ざかっていった。


 (絶対、仲良くなることはできないだろうな)


 刀に添えた手を離しデルフは空笑いする。


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