芽依の強み
最終予選全5試合と再試合が終了し決勝トーナメントに進出する16人が決定した。芽依と凛が注目していた選手も残っていたため、明日は中々の激戦になることが予想できる。とは言え芽依にとってはそれほど関係の無いことである。芽依はメイリーと異なり戦闘狂ではないため別に強敵との戦いを追い求めている訳でも無いためだ。それを言ったらメイリーも魔獣などとのファンタジー的な戦闘が好きなのであって、別に人間と魔法戦闘にはそれほど積極的では無いのだが。
「やっぱり太陽選手のレーザー砲は凄かったね。最後に4人撃ち抜いたのは圧巻だった。それに漣選手も芽依を除けば最多の3個の陣地を取ってたし。他にも本選の最終予選に残ってる人たちだもん。皆凄いよね。」
「まあそうだね。」
芽依とは対照的にこの2日間テンションが高まり続けてるのが凛であった。毎年、テレビでの観戦に留まっていた凛は初めて生で見る『魔法演舞』の熱気にやられてしまったのだろうと芽依は考えていた。
「そう言えば毎年、決勝トーナメントの組み合わせってどう決まるんだっけ?」
「えーと、確か基本的には最終予選の順位で決まることが多いかな?まあ最終予選が順位が決まらないのも多いから何とも言えないけど。今回は微妙か。多分、運営の方で抽選が行われて今日の夜には発表されると思うよ。」
「そう。私が何かする必要は無いのか。なら帰ろうかな。」
出番は終わり他の出場者も終わったのであれば最早ここにいる意味は無いため、帰る気満々の芽依に、凛が信じられないモノを見る目で芽依を見てくる。
「今から何があるか知らないの?」
「何?終了の挨拶でもあるの?別に強制参加でも無いと思うし帰ろ。」
「違うよ。2日目は少し早めに終わるから、これから夕方まで魔法競技のプロたちのエキシビションとか、魔法研究の発表とか色々なイベントがあるんだよ!」
昨日は1次予選、2次予選と2つの競技を行ったのに対して今日は最終予選のみだ。そのためなのか2日目はそう言ったイベントが開催されるらしい。凛が言うには昨日も明日もそう言った物は行われていたらしいが、大々的に開催されるのが毎年、大会2日目なのだそうだ。
言われてみれば大会自体は終了したのに観客席が全然空かない訳である。とは言えそれに芽依が興味があるかと言えば特に無い。それならば帰ってゲームをゆっくりしてた方が良いのが芽依なのだ。
「という事で先に帰ってる。凛はゆっくりしてるといい。」
「芽依。別に良いけど相変わらずだね。『魔法演舞』決勝トーナメント勝ち上がってもこう言うのに全然興味が湧いてこないんだ。」
「無いね。今は猛烈にVR機器持ってこなかったことを後悔してる。」
「もう!…まあそれが芽依の強みか。じゃあ私は夜まで堪能してるから。」
魔法競技やらに何の執着もしていないため、大舞台でも余計な力が抜け、マイペースにいつも通り戦えるのが芽依なのだと思い直した凛は切り替えて自分は『魔法演舞』を楽しむのであった。




