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疑似転生記  作者: 和ふー
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豊穣の儀

『豊穣の儀』と呼ばれる儀式を今年5歳になる子供に行う習慣がある。この世界では5歳になるとスキルと呼ばれる固有の技能を授かるのだが、そのスキルの数や種類は個人によってバラバラである。メイリーの兄である、ライルは『暗算』というスキルのみを授かったが、商会の後継者としては悪くはないスキルであった。職業によっては本人の努力次第でどうにでもなる場合もあるが、技術職などはそれ関連のスキルの有無でかなり差が出てしまう。

  授かるスキルによって今後の人生が左右されるので、大抵の家では5歳になる前に『豊穣の儀』を行い神様により良いスキルを授かるように祈るのである。それを知ったメイリーは内心で 


(魔法に魔獣、それにスキルか。ますますファンタジーだな。)

  

  とほくそ笑んだが、よくよく考えれば他人事ではない、およそ5年後にはメイリーも人生を掛けたスキル授与を行うのだから。


(まあ私は前世の知識がスキルみたいな事もあるから、まあなんとかなるだろう。)


  しかし魔法習得も上手くいっており、順風満帆なメイリーはかなり楽観的に捉えていた。

  そんなメイリーとは対照的に『豊穣の儀』当日、姉のリリーをはじめ、両親や使用人たちは緊張でガチガチであった。この儀式に人生がかかっているといっても過言では無いのだから。

  しかし最初の緊張をよそにリリーの『豊穣の儀』は恙無く終わる。そしていよいよ次の日には

スキル授与を迎えることとなった。


「ね、ねえ。お母さん。私…大丈夫かな?」

「何言ってるの。『豊穣の儀』もちゃんと出来ていたじゃない。」

「そうだぞ。大丈夫に決まっているだろ。」

「そうそう。リリーは心配しすぎなんだよ。俺だって『暗算』スキルだけだったけど、何とかなってるんだし、大丈夫だよ。」


 家族に色々と励まされるリリーだが、表情は暗いままだ。やはり怖いのだろう。


「ばーぶ。」

(あんまり悲観的過ぎるのもどうかと思うな。そういえば前世の魔法で良いのがあったな。)

「ぉぅあー。」

「ほらメイリーも大丈夫だよ。って言ってるわ」

(いや別にそんな事は言ってないが。えーと『安らぎ』『幸運なれ』)


  メイリーが魔法を発動すると、リリーの体が淡く光を帯びる。その光が晴れると暗かったリリーの表情が晴れやかなものに変わっていた。


「り、リリー?大丈夫?」

「うん大丈夫だよお母さん。なんだか少し落ち着けたわ。これもメイリーの魔法なのかしら。やっぱり凄いわね。何だか悩んでるのが馬鹿らしくなってきたわ。私、明日に備えてもう寝るわ。」


  そう言って元気よく自室に戻っていくリリー。それを見送ったメイリーは、


「ばぶ?」

(あれってちょっと気持ちを落ち着かせる効果しかない筈なんだけど。なんか凄い効いたな。まあ結果オーライか。ということはもしかして『幸運なれ』も…)


 あまりの効果に驚いていた。    

 次の日、メイリーの『幸運なれ』の効果が効いたのかは定かでは無いが、リリーは『真実の眼』という良スキルを授かるのだった。


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