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疑似転生記  作者: 和ふー
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夏の海

夏休みもどんどんと過ぎていき、来週には『魔法演舞』の本選が開催される日まで過ぎていった。そんなら全国の出場選手たちが自身の魔法の最終確認に余念がないであろう頃、芽衣はと言うと、海に来ていた。

凜は今年の夏休みで海に3回くる予定らしいのだが、その内2回は芽衣の予定が合わず(ゲームしか予定が無いのだが)、結局魔法演舞、1週間前と言う中途半端な時期になってしまったのだ。

とは言え芽衣は、何かに向けて事前に準備をするタイプでは無いので、何時であっても特に問題は無いのだが。


ひと泳ぎした後、ビーチパラソルの下でお喋りをする2人。


「てことで、この前家事魔法を覚えて家事の効率が大幅に上昇したな。」

「もうちょっと魔法演舞で使えそうな魔法を習得しようよ。ほらこの前資料を送ったでしょ。」

「うーん。あんまりって感じ。」


話はやはり『魔法演舞』の話に移る。


「あんまりって?」

「炎とか風みたいな基本的な魔法と違って資料で見せて貰った魔法って習得するのに、コツって言うか、才能みたいなのが必要なんだと思う。私も空間魔法を習得するのにかなりの時間が掛かったから。」

「血筋とか生まれつきで魔法の習得のしやすさが変わるの?そんなゲームみたいなことが?」

「さあ?そこら辺の詳しいことは興味がない。でも正直、彼らの魔法を習得出来たとしても付け焼き刃にしかならないから。」


芽衣の言葉に凜は不安そうな顔をする。凜は芽衣の強さを疑っていないが、テレビなどで他の出場者の魔法を見るとそのレベルの高さに驚かされる。それを見ているとなんとなく不安を覚えてしまうのだ。


「まあ大丈夫でしょう。物真似は出来ないけどちゃんと対応は出来るだろうし、資料を見た限り魔法技術で遅れを取ることは無さそうだし。」

「そっか。じゃあ安心して観てられるね。楽しみだな東京。」


1週間後のお泊まり旅行に思いを馳せる凜は、かなり単純な脳内思考の持ち主なのだろう。


(まあ一緒にいて楽なのは、こっちだし凜にはこのままでいて欲しいものだな。)

「えっ?なに?」

「いや、何でもない。そろそろ休憩終わりで泳ごうか。」

「うん。そうだね。」


その後、芽衣の飛行魔法を応用した水泳魔法や、造形魔法を使った砂城作りなどで大いに楽しむのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


初心者迷宮に隠しルートが、と言う情報はかなり衝撃的だったようで、組合では現在どうするかが、話し合われていた。隠しルートを解放するのか封鎖したままなのかである。国や組合の利益としては解放するのが良いのだが、冒険者の育成を考えると初心者迷宮は貴重なので、それを壊したく無いという意見も多い。そのため会議は難航しているのであった。

そのため本来、迷宮での新情報などは報酬や昇格などが付いてくるのだが、それもお預け状態なのであった。

そのため組合にも行きずらく、かといって迷宮にもという状態で屋敷でだらだらしているメイリーの元に、1通の手紙が届く。差出人名にはテイル・ステンドの名前があるのだった。





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