飛行技能テスト
『箒』が開発され魔法が当たり前に存在するようになって、当たり前のように学校で魔法の実技テストも行われている。また至るところで使用されている魔法だが、私有地以外で使用するには免許が必要だったりする。
「でもさー皆別にライセンス所持してなくても使ってるじゃん。うちのお母さんなんて買い物の帰りとか重力減少魔法とか使ってるよ。」
「そうかもな。でも一応、取っておく方が後々楽だろ。頑張れ。」
「他人事。まあでもそうだよね。芽衣はC級ライセンス持ってるもんね。私とはレベルが違うか。将来は魔法競技者かな?」
「私はファンタジーゲームは好きだが、FPSはそこまでなんだが。まあこの学校のカリキュラムちゃんとやってけば、凛もライセンスくらい取れるだろう。」
ライセンスにも種類があり、人に向かって魔法を発動する以外ならば自由に、魔法行使が可能なC級、一定以下の魔法ならば人に向かって魔法行使が許される、主に警察などの魔法部隊や魔法競技の選手が取得するB級、制限が無くなるA級などが存在する。勿論、ライセンスを所持してようが無闇に人を傷付けていいわけではないが。
「でもさ、今日の飛行技能のテストはなー。超むずいじゃん。やだなー。」
「まあな。魔法を何個か並列で行使しなくちゃならんからな。」
(でも、向こうでの浮遊魔法の制御に比べたらましか?)
あのゲームをプレイすることによって、魔法技能が向上されるか、調べるにはちょうどよい機会であった。芽衣は憂鬱そうな友人を放って置いて、少しわくわくしていた。
「それじゃ今日の魔法技能は前から予告してた通り、飛行技能のテストをする。まあお前らはまだ高一だからまだ完璧に出来なくても良いが、ライセンス取得には必須技能だから頑張るように。」
飛行技能のテストでは、5メートル以上の高度を維持しつつ、二百メートルトラックを一周する。浮遊魔法と移動魔法の併用をする必要がありなおかつ進行方向を微妙に変更していかなくてはいけず、難易度は高い所以となっている。
そのため学友たちはことごとく失敗してしまっていた。
「次、鹿島。」
「はい。『飛行せよ』」
そんな中、芽衣は浮遊魔法と移動魔法の併用ではなく、二つの魔法の複合魔法、飛行魔法を行使する。複合魔法は難易度が跳ね上がるためライセンス所持者でも、躊躇する魔法である。
「おい!かし、え?」
先生は生徒の無謀な行動を止めようとするがその間に、芽衣は難なく飛行魔法を制御しきり、トラック一周を完了する。
「どうしましたか?」
「どうしましたかじゃない。今日は飛行技能のテストだぞ。」
「はい。」
「飛行技能のテストで飛行魔法を…あれ?」
「何か問題でも?」
「と、とにかく。基本に忠実に取り組むこと。いいな。」
「はい。」
芽衣は先生の注意を平然とした態度で聞き流しているように見えるが、自分の予想が的中し魔法技能が向上していることに案外驚いていた。
(まさかこれほどとは。複合魔法の難易度が向こうで浮遊魔法をするのと対して変わらない感じがした。面白いな。)
芽衣はどんどん転生生活に魅了されていくのであった。