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疑似転生記  作者: 和ふー
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馬鹿と天才

メイリーの偉業はすぐに近隣の各領地に存在する冒険者組合に広まった。大型魔獣は基本的に冒険者たちが徒党を組んで大規模討伐隊を結成して倒すのが一般的である。それを単独で討伐してしまったのだ。そのため実物を見せられたステンド領の冒険者組合や、メイリーが訪れた事がある近隣の組合では信じられたが、他の組合や街では、ステンド領主の貴族紋を持った冒険者と言うこともあり、ティーチが自身の威光を強めるために流した与太話だと考えられ流れに収まった。


「残念だったな。英雄になり損ねて。」

「そうでもないですよ。英雄になってしまうと、奥さんにも録に会えない寂しい生活を送ることを、示してくれた優しい人もいますしね。」

「ま、まあな。それもメイリー、お前のお陰で終了だ。昨日、正式にライム領主から帰還の許可が降りた。帰り支度を済ませて明日には帰る準備が整えそうだ。」

「そうですか。なら明日また迎えに来ますね。」


ガンルーのライム領への出向も漸く終わりを迎えた。この数年でガンルーも強くなり、単独での旋風狼の討伐と言う嘘の武勇も、今なら真実に出来るのではとメイリーは考えている程であった。


「今回の功績で特別に私のランクがCに上がるかもしれないんですよ。もし、そこまでじゃなくてもランクアップは早まると思います。まだ時期は決めてませんけど、おそらくテイル様と同じくらいでステンド領を出ると思います。なので頑張って下さいね?」

「ああ、私がステンド領、最強の騎士として領地を護っていくさ。」


ガンルーはメイリーに決意を告げるのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(旋風狼や暴風狼を倒した後にも感じたな。ゲームの中ならレベルアップで片付けられるんだが。やっぱりはっきりと魔法の感じが違っているな。)


芽衣は自身の魔法技術が大幅に向上しているのを感じる。現代に置いて魔法の発動は『箒』の存在が必要であるが、この『箒』を動かすのに必要な『脳力』を鍛えるのに、記憶をブロックしてここがゲーム世界では無く、異世界だと思わせると言うシステムが『脳力』を鍛えるのに一役買っているのだろう。

また実戦は練習の何倍も成長できると言うように、絶体絶命のピンチに直面したとき、それに抗おうとメイリーが成長したことで、芽衣も成長したのだろう。


(この現象を狙ってやってたとすれば父さんの評価を上方修正しなければならないけど、無いな。それは無い。)


芽衣は父親の才能は認めていたが、それ以上に父親の商才の無さもわかっているつもりだ。しかしもしこれも狙ってやっていたとすると、このゲームのセールスポイントが一気に増えることになる。もしそうならば流石に父親であることが恥ずかしいレベルで商才が無いことになってしまう。


(馬鹿と天才は紙一重って言うけど父さんは多分、馬鹿の方だろ。そうに違いない。)


嫌な想像をしてしまいテンションが下がってしまう芽衣なのだった。

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