組合の制度
冒険者組合にはGからSまでランクが定められている。それらのランクに応じた依頼が用意されており、自分のランクよりも1つ上と1つ下の依頼までしか行う事が出来ない。これによって自分たちの実力以上の依頼を受けて危険に合うリスクを減らしたり、ランクの低い人たちの仕事を高位ランクが取っていかないように配慮されているのだ。
そして依頼をこなしていくと徐々にランクが上昇する仕組みとなっている。そのためランクを上げるための試験のような物は存在しない。逆に失敗を繰り返せば当然、降格もあり得る。そのため自分の特性に合う依頼選びが必須なのだ。
「はい。メイリーさん。これでFランクに昇格です。おめでとうございます。」
最初は色々と組合とも揉めたが組合としても見た目は兎も角、この魔獣増加において戦力は幾ら合っても足りない。そうで無くともこの前、無駄な戦いで1人減ったのだから。そのためメイリーを一冒険者と認め、依頼を斡旋していた。
駆け出し冒険者がやる依頼の代表が薬草採取なのだが、これがまた難しい。薬草は種類が豊富で素人には見分けるのが難しく、自生地も点在しており、一日頑張っても依頼の株数採取できず、依頼失敗となる者も少なくない。しかしメイリーには『鑑定眼』と空間魔法があり、家の手伝いで薬草の自生地にも心当たりがあるので、薬草採取の依頼も楽にこなせた。
「GランクやFランクの依頼はどちらかと言うと雑用的な仕事が多いです。けどFランクになったメイリーさんは、これからEランクまでの依頼を受注することが可能です。Eランクでは魔獣の討伐依頼など、危険な物も含まれますので気をつけて下さい。」
「はい。わかりました。」
ランクが上がれば魔獣討伐、護衛、盗賊退治など、危険がある依頼が増える。逆に言うとそういう危険な依頼が、少し前までここら辺の街では少なかったため、ランクを上げたい者はここを離れてもっと依頼の多い都市部に向かうのだった。
そのためこの所の魔獣増加現象は、メイリーのランクアップを予定よりも大幅に早くすることになるのだった。
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テスト週間に突入した。学校の自習室で勉強したり、VRルームで技能の練習をしたりする生徒たちで溢れていた。本来なら授業以外で勉強をすることにが少ない芽衣は、そんな生徒たちを尻目に直帰してゲームに勤しんでいるのだが、今回は凛の練習に付き合っていた。
「だから、技能試験だと皆、同型の低スペックな『箒』を使用するから、いつもみたいに魔法制御を『箒』に任せっきりだと上手く発動しないんだって。ようはゆっくりで良いから魔法によって起こる現象をしっかりイメージしつつ、やって。」
「はいぃー。」
期末試験の技能試験はそこまで難しい課題では無いため、少し練習すると凛も出来るようになっていた。
「まあこんな感じでしょ。あとは感覚忘れないようにしてね。」
「うん。ありがとう。それにしても芽衣って何だか教えるの上手になったよね。魔法も勉強も。」
「そうか。まあ慣れだよ慣れ。」
「慣れ?私そんなに芽衣に教えて貰ってたっけ?」
凛は勘違いしていたが、芽衣は週1日の講師生活によって教え方を身に付けたのであった。




