注目と関係悪化
芽衣はもともと一人っ子で、義母さんの連れ子である義妹とは仲が良かったし、そもそも教育ママがゲームばかりやろうとする芽衣と、義妹を近づかせないようにしていたので、兄妹喧嘩をするようなことは殆ど経験が無いなと芽衣は、義妹の聖のお祝いメッセージを見ながら思うのだった。
芽衣が『魔法演舞』予選のニュースは次の日の日曜日には放送されていたが、その後、全国各地の予選会の様子も伝えられた。その中で注目する選手をピックアップされる中で芽衣もその1人に選ばれたらしく、数日後の特集で放送されたのだと言う。
(特集か。まあ別にいいが、そんなに注目されるような事をやったつもりは無いのだがな。まあ明日にでも凛に聞いてみるか)
どうせチェックしているだろう凛に内容を聞いておこうと考える芽衣。ただこの特集が中々面倒な話になっていた。
(まあ教育ママの義母さんの実子の聖を差し置いてって言い方が正しいとは思わないけど、連れ子で落ちこぼれ扱いだった私が活躍したらそれはよく思わないよな)
これで本戦でも活躍したらと思うと面倒ごとが増えた芽衣であった。
翌日、凛に特集とやらを聞いてみると当然のようにチェックしていた。何でも元々は去年も本戦に出場した選手を中心にする予定が、全国で波乱な展開が多かったため、それを起こした選手を中心に特集を組んだらしかった。
「全国でも名前が知られているようなトップ選手が敗退するなんて事が結構起きてるみたいなんだ。で、その中で芽衣は、えーと、1年生ながら空間魔法を使いこなし圧倒的強さで勝ち上がってきた新星だったかな。注目度は高い感じだったよ!」
嬉しそうにそう語る凛に辟易した表情で見る。芽衣としては注目されるのは良い事では無い。
「面倒そうな話だ。やっとクラスメイトの反応も収まってきたところなのに」
「まあまあ。もう6月も中旬なんだし、あと1ヶ月程で夏休みに入るんだからいいじゃん。それに、その特集で見た感じだと今年の本戦は例年に比べてあんまり使い手のいない魔法を使ってくる術者が多い印象だよ」
「そうか。それは楽しみだな。その映像って残ってる?」
「興味持ってくれた?それなら特集された選手の予選の映像を編集して渡そうか?」
凛からありがたい提案をしてくれる。しかし芽衣としては別の心配がある。
「おお、それは期末試験終わってからお願いするよ。どうせまだ勉強始めてないんでしょ?」
「まだ2週間以上あるし大丈夫でしょ」
「はぁ。とか言って中間試験の時も泣き付いてきたの誰だった?」
「えー、そんなことあったかな?」
「じゃあ、今回は手助けは必要ないね」
「えっ、すいません。何卒よろしくお願いします」
手のひらを返してきた凛。芽衣も色々と世話になっているのでゲームの時間を削って教えてあげることになったのだった。




