表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
疑似転生記  作者: 和ふー
3/150

魔法発動

メイリーが転生してから数週間が経過した。前世を記憶喪失しているメイリーにはおおよそでしか分からないが、前世に比べてこの世界は独自の魔法が発達しているようであった。この世界では全員が魔法を使える訳では無いようだが、使える者は補助具を使用せずに高度な魔法を行使していた。

また肉体的なレベルも高く人間の成長スピードもそれなりに高いことがわかった。メイリーは数週間で首がすわり少しずつハイハイらしき物が出来るようになっていた。しかもそれを見た家族も大して驚かないことからこれくらいの成長速度が普通であることがわかる。


(うーん。魔法がより高度な技術となり、体の成長速度が早いってことは前世よりも危険な世界なのだろうか。そうだと面白いな。おそらく前世の私はこういったのが好きだったんだろう。)


メイリーは前世の自分を想像しながら日課である模擬ハイハイ運動で体を動かしつつ、前世の魔法の発動する感覚で魔法の発動練習をしている。残念ながら前世の魔法理論とこの世界は異なるのか、それとも肉体的、年齢的に魔法の発動が出来ないのか、未だに魔法の発動は出来ていない。


(もし危険な世界なら戦闘職の需要があるはず。どうせ商会は兄さんと姉さんが継ぐだろうから赤ん坊から鍛えておかなきゃね。)

「おぉーぅうー」

「あらあらメイリー様。またこんなとこまで来て。御坊っちゃまとお嬢様はこんな活発じゃなかったのに。どうしましたか?」


メイリーの息切れを聞いて来たのはこの家の使用人の一人である男であった。


(またか。私の日課の邪魔をしてほしく無いのだが。今日は父の書斎まで行く予定だったのに。こんな時、赤ん坊の体は不便だな。魔法が使えればな、『押せ』)

「ばぶ」


その瞬間、メイリーの思いが伝わったのか魔法が発動する。


「うわ!」

「おぉー」

(おお、魔法が発動したな。でも発動が不完全っぽいな。やはりこの世界の魔法は難しそうだ。だがあまり驚いて無いな。ここでは成長速度が早いから赤ん坊でも魔法を使うのだろうか。)


発動した嬉しさと共に使用人の反応の悪さにこの世界の魔法普及率を上方修正しようとしたとき、使用人が反応を示す。


「えっまほう?め、メイリー様が魔法を?お、お館様。メイリー様がー。」


使用人は走り去ってしまう。


「ばふ。」

(やっぱり赤ん坊で魔法を使うのは異常なのか。良かった。)


慌てて走り去っていく使用人を見ながらメイリーはほっと自身の心配が杞憂であったことに胸を撫で下ろすのだった。そんな場合ではないのだが。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ