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疑似転生記  作者: 和ふー
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強敵を求めて

  いつもは荷物の輸送の合間に行っているのだが、今日はメイリー1人だけで魔獣狩りをしに来ていた。4歳児としては動ける方のメイリーだが、魔法で強化したとしても、前衛として動けるレベルにはほど遠く、完全な後衛職であるメイリーのソロ狩りは本来なら危険なのだが、かと言って今日は、いつもの小型の魔獣狩りもする予定では有るが、ここら辺は少し前まで中型の旋風狼が出没していた地域のため、そのような中型以上の大物を探しをメインに来ており、上手くいけば中型魔獣との戦闘もあり得る。そんな過酷な探索になるかもしれない場所に連れて行ける知り合いも、今はいないので、仕方ないので1人で来ていた。


(確かガンルーさんがこの頃、ライム領とレイグ領の近くは毎日パトロールしてるって話だし、いるとしたらやっぱりステンド領近くだろうし、そこら辺を中心に回ってみよう)


  この頃、旋風狼を始め、今まで出現していなかった地域での魔獣被害が出ている。もしかしたらこれは何かしらの異常事態の前兆なのかもしれない、という期待を抱きつつ探索を始めた。

 この探索はメイリーの趣味が多大にあるが、一応家の手伝いも兼ねているので、価値のある薬草や小型の魔獣も狩りつつ大物を探す。


(こういう時、空間魔法を覚えて良かったと思う。前世の私はよく空間魔法を知っていたな。)


  空間魔法、収納を発動して別空間に素材を詰め込んでいくメイリー。この収納空間はある程度の大きさの生物を入れると、その生物の動きに空間が耐えきれず壊れて、空間中に入っていた物が飛び出してしまうため、基本的に生物は収納出来ないと言うこと以外に大した欠点も無いため、メイリーは重宝していた。これから強敵と戦うかもしれないのに荷物を背負いながらではやってられない。  

  そんな感じで素材集めをしつつ、奥の方に進んでいくと突然、芽衣の強化した五感が何かを捉える。大物の予感がする。


「気付かれないようにと『光よ、透過せよ』『風よ、纏え』」 


  光学魔法で自身を透明化しつつ、風魔法を使って音と匂いの対策も済ませ、何かの方に近づいていく。ある程度の距離まで詰めた所で光学魔法、望遠で相手を視認する。すると、


「えーと、風狼が、3匹。それでおお、旋風狼が1匹、2匹。いいね。じゃあ早速やっ、…やばいなアレは。」


  小型魔獣の風狼3匹と中型魔獣の旋風狼2匹でもここらの領地にとっては災害クラスの出来事であった。しかしメイリーがそれを遙かに上回る存在を見つけてしまう。

 中型魔獣の中で五本の指に入る魔獣の1匹である、暴風狼を。


(風狼と旋風狼だけなら倒しきる自信はあるよ。けど暴風狼は流石に予想外だな。さてどうしようか。)


  メイリーは悩むふりをする。結論は既に出ている。探して求めていた以上の大物を見つけたのだ。もとより撤退等という選択肢は存在していない。


「勝てるかどうかはわからない。けどぶつかってみるか。」


 メイリーは見付からないように慎重に狼の群れに近づいていくのだった。 





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