4歳となり
閉会式も終わり、芽衣は来たときと同じように凛と一緒に帰っていた。凛は興奮が抑えきれないようで、帰りのバスの中でもずっと大会の話をしていた。
「結局、殆ど空間魔法で決めちゃってさ。折角だしもっと他の魔法も見たかったな。強力な攻撃魔法とか温存してたんでしょ?」
「用意はしてたけど、あの試合展開じゃ無理だろ。びっくりしたし。」
「あんなに目立ってたら当然だと思うけどな。まあ芽衣らしいけど。あー、本戦か。会場東京でしょ。ちょっと遠いんだよな。」
「応援に来てくれるの?」
『魔法演舞』に詳しくない芽衣としては今回、来てくれたのだけで驚きだったので本戦にも来てくれるのはありがたかった。
「行けたらね。」
「それなら私の家族枠使えば?説明だと家族とか親しい人を呼べるらしいし。ホテルとか観客席とかも格安で用意してくれるらしいし。」
「い、いいの?やったー!」
と言うことで凛も本戦に来てくれることになった。
最寄りのバス停に到着した2人はそこで解散することにした。
「早く帰ってゲームしたいな。」
「はは、ぶれないね。それじゃ、あれ?」
するとその時、凛の端末に着信がある。
「お母さんからだ。あっ、芽衣、おめでとうだって。」
「うん、ありがとう。」
「まだ続きがあった。えーと、なんか?芽衣の暇な日に会いたいって言ってるよ。」
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メイリーも4歳となった。赤ん坊の頃から続けている運動と魔法によって、周りの同年代の幼子たちと性能が明らかに違っていた。魔力の総量も凄まじく今のところ転生と言うアドバンテージを有効に利用できていた。
メイリーもステンド家に通い出しておよそ3年が経過した。テイルも8歳となり領主になるための勉強の量も増えてきた。そしてステンド家としてもそろそろ体裁上、テイルに正式な魔法講師を付けなければならなくなった。流石に何時までも幼児が講師では世間体が悪いのだ。ただ、テイルの魔法技術の向上を願うならばメイリーにこのまま教えて貰う方が良いことは、ティーチも分かっていたので講師は続ける事になったが、頻度が極端に少なくなった。
「私としても君の能力は高く評価している。しかしすまない。」
「いえ、大丈夫です。」
「テイルについては私の方で説得しておくから心配しないでくれ。」
「はい。分かりました。」
これに一番反発したのがテイルであった。まだ教わりきってない。とティーチに、怒鳴り込んできたと聞いている。
「それにしても、テイル様がそれ程魔法の勉強に熱心で、私を評価してくれていたとは知りませんでした。」
「うん。まあ、それだけでは無いと思うが。まあ良い。これからも頻度は減るが講師は続けてもらうからよろしく頼むよ。」
「分かりましたティーチ様。」
そのため、ステンド家の仕事が減ったので、商会の手伝いをするようになったメイリー。主に輸送の時の運搬係兼護衛として。また冒険者としての練習として素材や魔獣を狩って商会に卸す作業もしていた。商会としては大助かりであったのだが、それが面倒な事態を招く事になるのだった。




