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疑似転生記  作者: 和ふー
22/150

魔法演舞予選 中

  予選、第1グループから魔法ライセンスの所持者でも中々、使い手のいない空間魔法という大技が飛び出し、会場のボルテージも一気に高まる。しかしVR機器を装着している芽衣にはその歓声は届かず、冷静なままであった。

  妨害を受けずに進んで15分から20分ほどの距離を、芽衣は空間魔法を併用することで、およそ5分弱でゴールしてしまった。


「あの、他の人たち、まだまだ時間が掛かりそうなんですけど、ここで待っていなきゃ駄目ですか?」

「え、えーと。ちょっと待って下さい。確認します。」


 芽衣がゴールして少し経ったが、レースは妨害合戦となっており、まだまだ他の選手がゴールする、気配は無い。運営側としてもここまで差が開くと言うことを想定して無かったようであった。 


「今、確認が取れました。お疲れ様です。鹿島さんは、本戦出場が決定しておりますので、それまでは自由に待機していて下さい。」

「はい。ありがとうございます。」 


 芽衣はその言葉に従い、観客席で待つ凛の元に戻るのだった。結局、大混戦の第1グループは、芽衣が観客席に戻ってからもまだまだ続き、最終的に途中で抜け出した男子が2位。最後まで妨害合戦に付き合い、結局第1グループの全選手を薙ぎ倒した女子が3位をもぎ取り、4位以降がいない泥仕合となった。


  多少予想外ではあったが、トラブルも無かったので続いて第2グループのレースが始まる。凛によれば何人か注目選手がいるようなのだが、正直あまり興味も無いので早めの昼食を取っていると、柏木先輩が近づいてくる。


「ああ、柏木先輩どうも。」

「久しぶりだね鹿島さん。凄かったよあの空間魔法。学生であんな精度で使いこなせる人初めて見たよ。」

「そうですよね。私も空間魔法の勉強してるのは知ってたんですけど、あんなに使えるとは知らなかったです。」

「えーと、そちらは?」

「あ、初めまして。柏木先輩。私は天童凛です。芽衣の一番の親友やってます。」

「よろしくね。天童さん。」

「凛でいいですよ。」

「そうか。凛さん?いや凛ちゃん。私のことも琴音で良いよ。芽衣ちゃんもね。」


  琴音と凛が打ち解けてなぜか芽衣まで巻き込まれた。まあ悪い気はしないのでスルーして昼食を食べ続ける。すると凛と琴音が話し始める。


「琴音先輩は第5グループでしたよね。ぱっと見有力選手はいなさそうでしたね。」

「そうだね。突出した選手がいない分、混戦になるだろうから私にもチャンスはあるだろうし、頑張るよ。」

  

 その後、第2、第3、第4グループのレースは、特に波乱の展開も無く、凛が注目していた有力選手が順当に勝ち上がって来た。そして琴音が出場する第5グループのレースはある意味、混戦となった。


「なんと、これは珍しいレース展開。ある意味第1グループと真逆の展開です。妨害有りのこのレースで妨害の魔法が一切発動されていません。」


  突出した選手がいないと、殆どの選手が感じていたためか、魔法合戦で勝てるかわからないため、逃げ切りを選択する選手が多く、そのまま本当にただのレースとなってしまったのだ。


「へー。そう言う事もあるのか。」

「そうだよ。珍しいけどね。」


  結局、琴音は健闘したが4位。グループとしては勝ち上がれなかった。しかし珍しいレース展開が功を奏してタイムで繰り上げの決勝進出が決定するのだった。

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