メンタル先輩
選考会の結果、Aグループ勝者はAで唯一の2年生、柏木琴音。Bグループは鹿島芽衣に決定した。選考会を観に来ていた校長は1度は戦闘を中断させ、また桜宮を入れてやり直せなど、滅茶苦茶言っていたようだが良識のある教師がそれを却下したのだった。
(それなら戦闘中断もさせないようにして欲しかったが、まあ良いか。)
もう1人の選出された先輩は、強いと言うよりも上手であった。相手の使う魔法によって自身の魔法をチェンジさせ、巧みに戦況を支配していた。
「いやー、えーと鹿島さんだよね。凄かったよ。びっくりしちゃった。桜宮さんって学校で無敗を誇っててね。私も去年の選考会で負けちゃってて、今年こそって思ってたんだけど、グループ違ったし。」
「はぁ。そうですね。」
「あんなえこ贔屓されても動じず、二回も倒しちゃうんだから。本当に凄いよ。」
「いえいえ、貴方の方が凄いと思いますよ。」
「えー、そうかな。そんなこと無いと思うけど。」
「いえいえ、本当に凄いですよ。」
(桜宮先輩もそのえこ贔屓した教師も、まだそこにいるのにこんな話を大声でしちゃうそのメンタルが。)
案の定、凄い形相でこちらを睨む桜宮。それに動じない柏木先輩に尊敬の念を送る芽衣であった。
選考会が終わった後、直帰しようとしてると、担任の先生に捕まった。
「どうだった?」
「あー、えー、まあ。受かりましたよ。」
「そうだよな。トーナメント表見たけどお前、最初から桜宮だもんな。それは、ってえっ!受かったのか?」
「ええ、まあ、はい。駄目ですか?」
「いや駄目では無いが。」
担任は全然納得してくれず、最終的に選考会の担当教師に確認することになってしまった。
(担任でもこんな感じになるのか。終わったら報告しろって凛に言われてるけど、面倒になりそうな予感がするな。)
と嫌な予感は的中し、その日は夜通しVS桜宮との模擬戦闘について質問される事となった。
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テイルは貴族の御茶会での魔法お披露目が成功すると今までよりも、一層魔法の勉学に励むようになっていた。何でもテイルの他にもお披露目をする者たちがいて、正直、テイルよりも高度な魔法を披露していたとのことであった。
「それで今度はもっと強力な魔法を教えてくれよ。」
「テイル様、強力と言うと派手な奴ですか?」
「違うよ。いつもお前が言ってるだろ。魔法は使い方次第でってやつ。やっぱりまだ僕は覚えてる魔法の数が少ないだろ。そうすると使い方も何も無いだろ?」
「そうですね。でも意外です。テイル様は他の魔法術者に負けたのを気にしていると聞いたのですが。」
「いや、まあ多少はそうだけど、あっちは学院生だし、しょうがないかなって思った。それより僕が気になったのはそんな学院生よりもメイリー、お前の方がどう考えても高度な魔法を使ってることだ。」
「はぁ、それが?」
「おかしいだろ、お前はまだ2歳なんだぞ?いや、それはいいや。それよりもお前が10歳以上年上よりも凄いなら、僕ももっと凄くなれるだろ。だから早く教えてくれよ。」
「わかりました。それじゃあ…」
これ以降、メイリーの授業では更に高度な魔法技術が出てくるようになり、テイルは自身の発言を少しだけ後悔することになった。




