選考会への選出
芽衣が転生生活を通して習得した『空間魔法』と『創世魔法』。空間魔法は使いこなせれば利便性が高いのだが、創世魔法は現代に置いて一般人がそれ程必要とせず、他の魔法と見た目で判断がつかない地味な魔法である。
創世魔法は火や水などを無から創り出す魔法である。起こす現象としては凄いのだが、他の魔法でも似たような事が出来るため、攻撃魔法として運用し難い側面がある。
「『創世魔法』って授業でもさらっと触れられてたけど、普通に攻撃魔法で出すのと何が違うんだろう。」
「例えばだけど、光学魔法の初歩の『灯りよ』は、光を生み出すでしょ?でも実際は月の光とか電気の光なんかを操って収束させて明るくさせているの。だから光学魔法を光の届かない閉じられた空間でやっても効果が出ないんだよ。」
「へーそうなんだ。」
「まあ今は電気があるし、他のも創世魔法を使わなくても周りにあるから現代ではそこまで必要ではないんだけどね。」
このよう魔法の真価は別の場所にあるのだが、一般人には不必要な魔法となってしまっている。そんな風に芽衣が凛に魔法談義をしていると芽衣たちの担任の先生が芽衣に声をかけてきた。
「おう、鹿島。今いいか?」
「はぁ。いいですよ。」
「嫌そうだな。まあいいか。今度、夏に行われる全国魔法競技大会、『魔法演舞』の予選があるんだが、その学校代表を決める選考会を今週末にやるんだ。お前の実力なら学校代表に相応しいと俺が推薦させて貰ったんだがどうだ?」
「どうだ?と言われても。選考会って何をやるんですか?」
「『魔法演舞』は知っての通り毎年ランダムな魔法競技で争われる、予選会も同じだ。そのため選考会ではVRシステムを用いた模擬戦闘で代表を選出するつもりだ。」
「そうですか。いいですよ。」
「そうか。まあお前は唯一、1年生での参加で、まだ模擬戦闘にも慣れてないだろうが頑張ってくれ。」
そう言って担任の先生は去って行った。芽衣はテレビを見るくらいならゲームをする子だったので知らないが、確か全国放送される有名な大会だった気がする。それは凛の反応を見れば一目瞭然である。
「芽衣、芽衣。凄いよ。『魔法演舞』なんて。」
「落ち着け。まだ学校の選考会に呼ばれただけだ。たいして凄くない。」
「そんなこと無いよ。芽衣は興味ないかもだけど、この学校は『魔法演舞』でも毎年良い成績残してて、選考会も成績上位者16名しか呼ばれない狭き門なんだよ。」
「へー。」
「もう!でも模擬戦闘か。模擬戦闘が本格的にやるのって2年生からだもんね。ちょっと不利だよね。」
「うーん。別にそんなこともないぞ。模擬戦には慣れてる。」
「え?でも芽衣の好きなゲームってファンタジーだよね?鞍替えしたの?」
「そんなことも無いが、ちょっとな。」
(この所、攻撃魔法を覚えたお子様と筆頭騎士様のタッグを相手させられてるもんでな。それに攻撃魔法の種類も増えたし、何とかなるだろ。)
別に選考会に落ちたからどうこうと言う話でも無いようなので、気楽に受けることを決める芽衣なのであった。




