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疑似転生記  作者: 和ふー
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三日会わざれば

メイリーはいとも簡単に土竜を倒せた。土竜の強みは地中からの奇襲性にある。それを潰せるメイリーとの相性が悪いのは分かるがそれでも簡単に片付けられすぎだ。と言うよりもメイリーの実力が驚くほど上昇してるように感じる。メイリーも自身の変化に驚いていた。


(男子三日会わざれば刮目して見よとはよく言うが私自らそれを体現することになるとは…いやこっちではそもそもそんな諺はないな。と言うか誰が男子だ)


自分でツッコむのは良いが外見以外は女の子らしさは無いため何とも言えない。だが今回の強化は驚愕に値するのだ。こういった強化は暴風狼や雷虎、最近で言えば宝竜と戦った後などにも起こっている。自身の限界を用いて強敵と戦うことにより限界が底上げされることによる強化である。しかし今回のそれは今までよりも大幅な強化である。


(まるで誰も倒せない人類の敵と長時間戦ったかのような。特に空間魔法が伸びてるように感じる。ほとんど使ったことの無い『次元切断』もすんなり発動したし)


『空間断裂』という魔法が存在する。空間を削ることでそこにある物体ごと消失させる。この魔法は魔獣を狩り素材を収集する冒険者に決定的に向いていない。そこで考えたのが『次元切断』であり削る空間を狭く、薄くすることで素材の消失を少なくする技法である。しかし制御が難しく技の性質上、これらの魔法は練習する場所も限られるため未習熟のままだったのだ。


(まあいい。特に問題ないか。それより次だ)


この事はメイリーの男らしい判断によりスルーされた。ただヨハンにやってもらう筈の作戦の開始時間までまだあるのでとりあえずクロウとマーメのところに先に行くことにした。


クロウたちの情報収集は保険でありそこまで期待していなかった。一番の目的はこの村からマーメを離すことだ。その過程で情報収集をしてもらった。

そもそも黒幕はマーメのスキルを何処で知ったのか不明なのだ。するとマーメは子供の頃、父親に回復薬の原料として利用されており、そこからクロウと一緒に逃げ出して冒険者を始めた過去があると言う。そこから広まる可能性は無くはないとの事なのでそこに情報収集してもらうことになったのだ。


「やはり噂で聞いてましたが父は死んでいたそうです。それも5年以上前に」

「そうか。なら情報源では無い?」

「と思うぞ。回復薬についてしつこく聞いて回った奴らが数年前にいたらしい。これの製作者はだれだって」


回復薬から『人魚の肉』製だと判別したのなら熟練の目利きか、鑑定系のスキル持ちじゃないと判別不能だろう。ただそれだけなら素晴らしい薬の効果を求めた人という可能性も残る。聞くところによれば回復薬が売られなくなった当初は暴動も多少起こったと言う。


「それだけだとな。名前とかを覚えてる人は?」

「名前は分からなかった。ただ聞いた人の中に『絵師』がいて、ぼんやりと覚えているからって顔を書いてもらった」


そうしてクロウは三人の男の顔が書かれた紙を見せてくるそして真ん中の男を指差しながら。


「この人はソーマさん。護衛の一人で俺たちをお館様に紹介してくれた人でもある」

「都合がいいな。それなら黒幕はそのソーマって人かな? 用心が足りないとは思うが精神干渉できるなら自分で動いた方が早いか」


情報収集にしても何にしても、対人であれば彼自身が動く方が効率が良いのだろう。または精神干渉を使いすぎてそれ以外で物事を進めることが恐怖になっているのかもしれない。


「これでヨハンさんの作戦が上手くいけば全員一網打尽にできる。二人は今はここでゆっくりしててくれ」

「…わかった」

「ありがとうございます」


クロウたちと別れたメイリーは、村に戻りヨハンの決行を待つのであった。






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― 新着の感想 ―
[良い点] めっちゃ面白い!また続き書いて欲しいですね
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