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疑似転生記  作者: 和ふー
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目が覚めて

「俺はクロウ、こっちはマーメ。見ての通り俺が剣士でこいつは魔法使いだ」

「よろしくお願いします」

「…え? 」


先ほどまで普通に会話していたメイリーの様子が急に変わる。


「大丈夫ですか?」

「問題な、い。少し待って」


ヨハンが心配して聞いてくる。何故かわからないがメイリーは顔を真っ青にしていた。激しい悪寒がいきなりメイリーを襲ったのだ。

少し経つと悪寒は止みメイリーも正常に戻る。すると今度は激しい違和感が襲ってくる。


(おかしいな。おかしいよな。この状況はあり得ないだろ。何で今まですんなり受け入れてたんだ?)


どう考えても弱いであろう同伴者。そしてそれの同伴を許す条件にヨハンを付いてこさせる。それ以外にも色々とおかしい点はあるが普段のメイリーなら選択肢の1つに浮かんでも拒絶する選択ばかりだ。それを躊躇なく選択している。おかしな事だらけである。そのため


「『聖なる光よ、彼の者たちの異常を祓え』」


メイリーは神聖魔法『浄化』を唱える。自分が明らかにおかしいのだ。同伴者を疑う必要がある。


「メイリーさん。これは?」

「…後にしてくれ。ヨハンさん。クロウさんとマーメさんにも聞きますが、竜討伐を行う上でこのメンバーは適切ですか?」

「いまさら何を…」


戸惑いつつも質問に答えようとするヨハン。問題ないと答えようとしたが、すぐにおかしな点に気がつく。クロウとマーメも心当たりがあるのか呆然としている。マーメなどは先程のメイリー以上に顔を真っ青にして今にも崩れ落ちそうだ。


「うそでしょ」

「…何でだ」

「思い当たる節があるようなので話を進めるけど、私もいつもなら取らない行動をしてる。だから『浄化』を皆さんに唱えた。そしたら皆さんも正気に戻った」

「浄化ですと! いえ、そうですか」

「今考えると怪しいことはいくらでもある。例えばヨハンさんたちの雇い主さんの事もそう」


いくら『バスディ』のことがあるからと言っても商人が冒険者を呼び様々な工作をするメリットが薄い。これが村の村長やここら辺の領主なら分かるが商人である。『バスディ』によって直接被害があるなら別だが、そうでないなら放っておけば良い。竜や魔獣の被害が見過ごせないなら組合に報告するに留めれば良いだろう。『バスディ』により村が豊かになれば商人も儲かる筈なのだ。

しかも一番不可解なのはその事をメイリーは商人との最初の対面で言っていた。それなのに商人は結局その理由を言わなかったし、それをメイリーも追求しなかった。


「確かにお館様は正義感が強いお方ではありません。人道に反することはしませんがいつものお館様ならば組合に竜や魔獣について話し、我々の伝を使って『バスディ』の噂を流す程度が妥当なラインですね」

「…俺たちも理由は言えないが魔獣、特に大型魔獣は相手にできないんだ。それも冒険者を引退した理由でな。お館様にも人相手の護衛専門で頼んでる筈だったんだが」


全員に心当たりがある様子であった。となると偶然では済まない。


「可能性があるのは精神干渉系のスキルや魔法。もしくはまったく別のスキル。魔法の線は薄いかな。でもかなり特殊な能力であることは間違いない」

「私たちがそれに掛かったと言うことは護衛の中に裏切り者がいると見て良いでしょう。そしてその裏切り者が『バスディ』関係者なのでしょう」


この村で怪しいとなると『バスディ』なため、それ以外ないだろう。というかそれ以外となると商人を恨んでる者全員なので考えるだけ無駄である。


「一応聞いておくけど、このまま私たちが無計画に竜のとこまで行ったとして最悪の場合どうなると思う?」

「そ、れは…」

「誰も竜を殺せなくなります。下手したら…」

「おいマーメ!」

「良いの。こんな大事になってきたんだもん。しょうがないよ。でもメイリーさん。内緒にしてくれますよね?」

「誓いますよ」


マーメは自身の秘密を語り出す。それは驚くべき事実であった。その肉を食らえば不死の身体を手に入れると言われる『人魚の肉』そのスキルを保有しているのだと言う。マーメ曰く食べた量や部位によって効果は変わるとのことだ。


「効果はすぐに現れますから、私が丸呑みされれば数十年、下手をすれば百年ほど不死の竜が誕生するかと」

「それは…」


そうなったら終わりだろう。そしてこのまま行ったらそうなる可能性も存在した。ならば『バスディ』の狙いはマーメの肉体を竜に食わせることの可能性が高い。ただそれならばメイリーたちを操ったスキルなりでマーメを竜に突撃させれば済む筈だ。それをやらないとなればそのスキルは思うがままに人を操れる訳では無いのだろう。思ってないことはやらせれないのかもしれない。


「それにしても誕生日を売る『バスディ』か。もし精神干渉できるならそれで活動すれば…あ!そうか。そうだったんだ」

「どうかなさりましたか?」

「『バスディ』を見たときからの違和感の正体が分かったので少し。それより調べて欲しい事が」

「『バスディ』の方も気になりますが畏まりました。それでは一度村の方に戻りますか?」

「いえ、皆さんには調べものをしてもらって、その間に私は竜退治だ」


メイリーはそう言い放った



マルチエンド方式をと言うかメイリーを前話で殺すかどうかはかなり迷ていて、私の中でも賛否が別れるんですが、そうしないと土竜倒して終わりという『バスディ』完全出落ちになってしまい、いつも通り敵が出て来て倒すだけになるのでこうなりました。流石に無限竜倒せるほどメイリーは強くないですし。


エンディングになるのはメイリーが死ぬかフラグを立て損ねたまま一定期間過ごす。もしくはラスボスを倒すかですね。あとこのゲームは時間の進み具合が一定ではなくイベントがあれば1日が長く、なければ短いので転生して一般人ルートに進むと数日でエンディングとなるように設定されていますね。まあメイリーがそんな人生を選ぶことはないので全てのエンディングが揃うことは無いと思いますが



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― 新着の感想 ―
[一言] 面白かった。ゲーム感あまりなかったから、この世界がゲームだと再認識した。
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