表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
疑似転生記  作者: 和ふー
109/150

学会への招待

魔力過多による魔力酔いによる昏睡から目を覚ました芽依。気持ち悪さを我慢して立ち上がるとある違和感を感じた。


(魔力を感じる。うん?これ本当に魔力なのか。

だとすると感じ方が稀薄すぎる。…いや逆に一回の魔法行使で増えたにしては増えすぎか。となると自身の許容限界を超える量の魔力が注がれた事による、私の魔力量の成長、いやこの場合は器の拡張の方が正しいかも、が起こったと考え…)


自身から感じる微かな魔力に驚きつつも考察を繰り返す芽依。この時、確かに彼女はこの世にまだ知られていない魔力保有者の一人となったのであった。


自らの魔力が感じられるほどに増量した芽依であるが、それでもごくごく僅かしかなく魔法を使うにはまるで足りないこともまた事実である。芽依としても別に『魔力炉』による魔力過多によって昏倒することで魔力が増えるならばいくらでもするつもりだが、流石に効率の問題で難しい。他の魔法も使えば直ぐに魔力が枯渇し動けなくなるだろう。


(これも効率的とは言いがたいが『魔力循環』から始めるか。あれは魔力操作の基礎だし。それで鍛えられれば徐々に魔法にシフトしてけばいいかな?

どうせ魔法を使うなら攻撃魔法で鍛練したいけどB級ライセンスかー。あれ取得まで長いって噂だしな)


現実世界の私有地以外での魔法行使にはライセンスが必要であり、特に攻撃魔法はB級以上のライセンスが必要な場合がほとんどである。これは単純に他人への魔法行使にはB級以上のライセンスが必要であり、攻撃魔法は他者を対象にすることが主であることに起因する。そのためB級以上のライセンスの取得には1週間以上に及ぶ事前講習、魔法関連法などを主にした筆記試験、厳しい実技試験など様々な項目をクリアする必要がある。その分ゲームの時間が削られることを考えると躊躇してしまう。


「確かB級ライセンスであれば魔法演舞の上位入賞者であれば、事前講習と試験の一部免除の特権が認められている筈ですよ?確か軽い講習と筆記試験をクリアすればよかったと思いますが…ああ、確か学校が用意しなければいけない書類もあったかもしれませんが、これは私でも用意可能ですし」


そんな悩める芽依に告げたのは、いつぞやの教頭先生であった。学校の昼休み呼び出された芽依が世間話でぽろっと言ったところ、即座に返してきたのだった。


「そうなんですか?」

「まあB級ライセンスは魔法関連の職には必要な所が多いですからね。優秀だと判明している者たちを魔法職に就かせるための餌と言うと聞こえは悪いですが、実情はそのような物のようですね」

「まあ別にどうでもいいことですが、利用できる物は利用させていただきます」

「はい。ではこちらでも書類を用意しておきます。それでそろそろ本題なのですが…」


そう言って話を変えてきた教頭に、自分も餌をまかれてると感じた。とは言えそれに食らい付く方がメリットがありそうなため静かに続きを促す。


「毎年開催される魔法学会が今年は横浜で行われるのだけどね、その学会に鹿島さん。貴女が特別招待されることになりました。鹿島さんがというよりも毎年、魔法演舞の優勝者が特別招待されるんだけどね。それに出席してくれないかと思ってね」

「…それは断ることは可能ですか?」

「それは可能ですが、断りますか?」

「お、おい鹿島!これは大変名誉な事なんだぞ!魔法研究の最先端を知れる。しかも限られた人物のみしか出席できない。これに参加するために毎年多くの人々が少ないチケットを取り合って、それに今年はあの魔法開発の祖の…」


同席していた担任の林藤が慌てた様子で責め立てる。しかし教頭がそれを止めた。


「まあまあ生徒の自主性を損なうような言い方は感心しません。確かに学校側としては出て欲しいところですが」

「しかし特別招待を断るなんて前代未聞で」

「ですが無理矢理行かせても意味はありません。そうですよね鹿島さん」

「…そうですね」

「ですが鹿島さんは学会の内容など詳細を知らないと思いますので、一度このパンフレットでも見てみてはどうですか?確か鹿島さんはVRゲームなどに興味があると、そのような魔法工学的な内容も研究発表にあるらしいですし」


そう言ってパンフレットを渡してくる。渋々ではあるがそれに目を通していく芽依。すると


「開催予定日に特に用事は無いので参加するのは構いません」

「そうですか。よかった」

「話は?」

「これで終わりです。お時間を取らせましたね」

「いえ、それでは失礼します」


あまり乗り気では無かった芽依だが結果的に参加することで話が付いたのであった。


「それでも鹿島が魔法工学系に興味があるとは知りませんでした。あそこまでの魔法の技量を持っているのに珍しいな」

「生徒の興味は様々ですからね」

「何はともあれ無事参加するようでほっとしました。不参加なんかになったら校長先生に怒られるどころの騒ぎじゃないですからね」


そう言って安堵する林藤を横目に思案顔の教頭は


(教育者としては発表内容に興味を示して参加したのであって特別招待の記念品、新型のVRヘッドギアに釣られたのではないと信じたいですね)


そんなことを考えるのであった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ