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第7話 脱ぎたて下着の共鳴素材

「行くぞ! この小者野郎!」


勢い任せにレミリアの脱ぎたてパンツを握る拳でアントへと殴りかかるがアントには傷一つつかず、タスキの拳から血が吹き出る。


「おいおいおいおい、全然変わんねぇじゃねぇかよ!」


「なんだ人間? 一方的に俺様をいたぶるんじゃなかったのかァ?」


「いや、ちょ、たんまたんま」


「知るかよ!」


顔を、腹部を、頭を、そしてあっちへこっちへと投げつけられるタスキ。


「キャシャシャシャシャ! 俺様の聞き間違いだったようだな! 再び俺様に一方的にいたぶられるとお前は言ったようだなァ!」


「はぁ……はぁ……(苦しい、息がしづらい

クソ。どうなってんだよ)」


×××


C級やB級のワーム族を次々と切り裂くレミリア。当然同族が殺されて怒らないわけではなく、A級ワーム族がレミリアを囲むようにしながらその尻尾でレミリアを宙へと浮かす。


「かはっ!」


「キエェェェェエ!」


「キョシュゥー!」


背中を地面に強く打ち付けても、剣を地面へと突き立てフラフラと立ち上がり、またワーム族へと剣を向ける。


「負けて……たまるかぁ」


弱ったレミリアに噛み付こうと飛びかかるC級B級のワーム族を軽く切り裂く。例え弱っていようとその程度の敵にやられるほどレミリアは弱い騎士ではないのだ。


「雑魚に用なんかないのよ。雑魚の相手は後でいくらでもするわ。今はあんた達を殺してあげるわよ」


「キエェェェェエェェェェエ!」


「うるさいわね……頭に響くからやめなさいよ。害虫ども」


×××


「(ああ。何が脱ぎたてパンツを握りしめれば効果発揮だよ。何も変わらないじゃないか。せっかく合法的に脱ぎたてパンツを握りしめながら英雄になれるんじゃなんて期待したのにさ)」


「キャシャシャシャッ! 諦めて楽に死ぬ事を選ぶ方が賢明だぞ!」


「あー。それは楽そうだな。もうそうするべきなのか、あのクソ天使に騙されたようなもんだったな」


タスキは一度死んだ。けど、天使に呼ばれ別の世界とはいえ再び生を受けた。

そしてその世界で楽しい生活を送るはずが二足歩行のアリにボコボコにされる始末。

タスキはなんで自分がこんな目にあってるか、無駄とわかっていても考えていた。


「けど、やっぱ死ぬのはなしだ」


「なんだとォ?」


「俺を騙したクソ天使に文句の一つでも言わないと気が済まないし何よりな……」


×××


「いくら……いくら吹き飛ばされようが立ち上がるわ! あいつは諦めてないはずだから! 約束したのよ……私のパンツ、返しに来てもらうって!」


「キエェェェェエ!キエェ!」


レミリアは口から血を吐き、頭からも少し出血をしている。

それでも地面を強く踏みしめ剣を構える。C級B級の片付けは終わり、残りはA級2匹のみ。


「あいつが諦めない限り! ……私は!」


×××


「俺は! 諦めらんねぇんだよ!」


「(やっと繋がったし。言い忘れてたことやっと伝えられる。あんたに授けられた力は……えー、その女の子の脱ぎたてパンツをパンツを握りしめることで多種多様な力が使えるんだけど。あんたまだ成長段階で使えるのは一つだけ)」


「クソ天使か……一つだけって? どんな力だ」


「頭の打ちすぎで独り言か。哀れだなァ! 今、楽にしてやるよ。キャシャシャシャシャ」


「(パンツの持ち主とあんたの2人の意志が共鳴する力。2人の意志が高まっていればそれは肉体的な強化にも繋がり、その意志の高まりは二人分になる。トリガーは脱ぎたてパンツを握りしめること。そして唱えて。その呪文はもうあんたの頭にあるはずだし)」


「……下着共鳴(おパンツリンク)


「死ねェ! 貧弱な人間めェ! ごふぁっ!?」


アントが槌で殴りかかったはずが、逆にアントの腹部が凹み宙へと浮かびながら緑色の液体を口だと思われる部位から吐き出していた。


「な、なんだ。何故この俺様がダメージを……」


「力が込み上げて来るだけじゃねぇ。レミリアの諦めないって強い意志が俺にも流れ込んでくる。すごいな、あいつ」


「なんだ、お前は。本当にさっきの貧弱な人間か!」


「ああ、そうだよ。お前がさっきまでいたぶってた貧弱な人間だ。ただ少し違う、人のパンツ(たましい)を握りしめ、人の強い意志を背負って覚醒した人間だ! パンツなめんなよ」


「何を意味のわからない事を……っ!」


「大丈夫だ。言葉の意味が頭に通じなくても……」


再びアントを持ち上げるように下から腹部を殴り込むタスキ。力が上がっても皮膚や骨が異常に強くなる訳ではなく拳からは血が吹き出す。


「体には通じてるはずだ。お前の命が落ちるか俺の拳が壊れるのが先か。勝負だ、小者アリ」


「上等だァ! 貧弱な人間めェ! アント様の恐ろしさ思い知らせてやるよォ!」


×××


「え? これって……あいつの、諦めないって気持ち?」


レミリアは自分の中から突然溢れ出るその力に戸惑いながらもどこか居心地の良さを感じていた。

そして、すぐさま剣を強く握りしめ1度目を瞑ってから見開く。




「こんなもん渡されたんじゃ私だって絶対に負けられないじゃない! 来なさい虫けら! 今の私は格が違うわよ」

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