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第29話 剣聖のグラディウス

「力の大会への参加ですか?」


「はい。俺は個人と…彼女とタッグにも出たいんですけど」


「かしこまりました。もう少ししたら個人大会の方は対戦相手の抽選が行われるのでお待ちください」


「参加出来た?」


「ああ。これから抽選だってさ。一回戦敗退なんて事だけは避けてぇな…」


タスキもレミリアもヒメリアもミカエルも誰も予想していなかった。30分後これがフラグになっていたなんて事を。

笑って話してるこれが笑えない現実になる事を。


「お前はこの大会で殺す。必ずな」


「ぶつかれればいいな。俺としては出来ればなしでお願いしたいが」


『ただ今抽選の方が終了しました。参加者の皆様はお集まりください』


そして、パラドもまたフラグを立てていたのだ。


×××


タスキの一回戦の相手、『剣聖』グラディウス。


「嘘だろ…おい」


「なんてくじ運の悪さ…いや、今回の目的は五天の強さを知ることだしある意味強運なの?」


「大丈夫だし、負けても笑って迎えてあげるから」


「が、頑張ってください! タスキ様!」


パラドの一回戦の相手はジャック。

『狂王』ジャック。そうつまり、五天である。

二人して一回戦敗退の未来が見え始める力の大会個人戦。

力の大会は魔法道具あり、魔法あり、能力ありのなんでもあり真剣勝負。

タスキは当然下着共鳴(おパンツリンク)を駆使する作戦。


「いざ目の前にすると、これが魔力ってやつなのか? 圧がすごいな…」


「ほう。君がレミリアと一緒に来たレース王国の…」


「レミリアを知ってるんですか」


「よく知っているさ。それでタスキ君だったかな。私たち五天は訳あって3割までしか力を発揮出来ないんだが、どれくらいでお相手しようかね」


「今出せるあんたの全力だよ!下着共鳴(おパンツリンク)


「私の全力…か」


タスキはグラディウスが動き出すより早く距離を詰めてゼロ距離で魔法を構える。


「氷魔法! 氷爆!」


氷魔法ではあるが、ゼロ距離で放つその直接的な冷気による爆発を利用する魔法。

タスキも流石にこの程度で一矢報いてやろうと本気で考えてはいないが、その魔法を発動するよりも先にタスキは頭を鈍器で殴られたような衝撃を受ける。


「っ! ってどこだ」


「後ろだよ。タスキ君。私の全力が見たいのだろう」


「殴られた感覚は嘘…? 衝撃はあっても殴られた記憶がまるでない。どういう事だ」


タスキの頭から血が流れ、その衝撃が本物だと気付く。

だが、まるで記憶から綺麗に切り取られたかのようにその一瞬の出来事が記憶にない。


「何が起こったのでしょうか」


「私も全くわからないです。なんか、その一瞬の記憶にモヤがかかってるような気持ち悪さが…」


「能力とは別種の何かが働いてるかもしんないし」


「どうせ負けるかもしんねぇなら…下着同時共鳴(おパンツツインリンク)!」


ヒメリアとレミリアとリンクする事で身体能力を強化し、レミリアの氷魔法で防御する作戦。

グラディウスはタスキの一回り膨れ上がる魔力を感じながらも全く動じずタスキが仕掛けてくるのを待ち構えるようだった。


「君の戦い方は特殊だが、とても素直だ。君に足りないのは私のような────だ」


「は? なんだ、今の。まるでノイズで隠されたような。何が起こってんだ、気味が悪い」


「これで終わりとしよう。私の秘技、聖剣エクスカリバー」


グラディウスは剣を抜き、それを天へと剣先を向け構えると剣が魔力で包まれ天を貫く大剣となる。


「私の全力…と言っても3割だが、受け取りたまえ」


「あんたはこの国が大事なんだろ」


タスキは後ろへと飛び退き、場外ギリギリまで下がるとエクスカリバーはタスキに触れるギリギリで止まる。

それ以上振り下ろせば会場を破壊するからだ。


「この会場と国民を盾に使うとは、なかなか面白い」


「こっちだってそんなあっさり負けられないんでね」


どんなに時間を稼いでも一方的にやられるだけとしか思えないタスキだが、それでもどんな形でも一矢報いてやる事を考える。


「君は経験が足りないようだね。そして、あまり五天をあまく見るものじゃない」


グラディウスの魔力が闘技場を包みこむ。

それだけでもタスキには想像が出来ないような光景であった。

さらにグラディウスは先程のエクスカリバーを自分の剣へと蓄積させており、剣を振り下ろすとそれが光の斬撃として放たれる。


「確かに少しあまく見てた! けど、俺のこともあんまり馬鹿にしないでくれよ!」


タスキは斬撃を避け、空中から氷魔法で目くらましをはかるが、その程度は数々の戦いをこなしてきたグラディウスからしたら予想の範囲。


「言っただろう。君はあまりに素直すぎる。もっと私のように────になる事をオススメしよう」


今の一発目は本の僅かな魔力を吐き出しただけであり、タスキの腹部へと剣を当てると剣が強い光を放つ。


「いや、嘘だろ…」




「下から上に放つのであれば、威力なんて気にする必要がないのだよ。タスキ君」


タスキは大きな斬撃型の光と一緒に空へと飛ばされていった。

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