第27話 レグレッドの村
「何よそれ…っ! 何よそれ! 私の価値はパンツって事? パンツくれれば誰でもいいんじゃない! なら他の女騎士に頼めばいいわ!! 私になんか興味ないなら気にしたような素振りやめなさいよ!」
「違う。俺にパンツくれて、自分の身を守れて、使い慣れた氷魔法が使えて、さらに俺が背中を任せられる。そんな信頼出来る女騎士、お前以外にいるかよ」
「バカ! 今回は運が良かっただけだわ! 私はあんたを殺しかけた! 次は間違いなく死ぬわ!」
「もしかして、最後の言葉は覚えてないのか? お前の中の何かが俺とパラドは100%になったら殺すって言ってたぞ。今30%とかだろ?まだまだだろ」
レミリアはタスキの言葉に覚えがなく、困惑をするがそんな事はどうでもいい、とタスキを更に怒鳴り続ける。
「それでもいつかは!」
「その時は俺がお前を倒す。そうすりゃいいんだろ?」
「簡単に言わないでよ! 魔王よりも強いのよ! 」
「大丈夫だよ。俺はもっと強くなる。魔王だって超えてやる。五天だって超える。俺を誰だと思ってんだ? 世界一パンツを愛す最強の英雄だ」
「最狂の間違いでしょ…バカ。…ふっ。うふふふ」
ずっと思いつめていたレミリアの表情が晴れて、笑顔を見せる。
タスキはそれにほっとし肩の力が抜ける。
「やっと笑ったな…」
「ええ。あんたのおかげだわ。…五天を超えるのよね?」
「あ、ああ。そうだ。超えてみせる」
「じゃあ、力の大会に出るわよ。ディランス王国で行われる大会で、今年は五天から3人の出場が決まってるの…五天の実力を体験するいい機会じゃない?」
力の大会、それはディランス王国で行われる魔法あり、能力あり、武器ありの大会だ。
そこで優勝したものは五天へと昇格する資格を得る。
だが、毎年五天から1人は参加する決まりから、優勝は五天以外した事がないのだ。
しかし、それでもと世界各地から腕自慢の戦士達が足を運び、毎年その大会へと参加をする。
力の大会には一対一で行う五天選出の大会の他に、多額の賞金が出る二対二のタッグ戦もある。
タスキは五天の実力を知りたいというのは事実であり、これは絶好のチャンスだと踏んだ。
「わかった。参加するよ、力の大会」
「それとタッグ戦もあるのだけど…私と、出てくれない?」
「は? 賞金でも欲しいのか? この屋敷で暮らしてるならそんな困るようなことは…」
「私はもっといろんな人達とあんたと戦って、あんたの背中を絶対に守る最高のパートナーになりたいの。それならタッグ戦は私にとって最高の舞台よ」
レミリアのいつになく嬉しそうな顔を見て、つい笑ってしまうタスキ。
それに気付いて少し不服そうに「なによ!」とタスキに近付くレミリア。
「お前もそういう顔、出来たんだなーってさ」
「出来るわよ! バカな事言ってないで今日は休んで明日出発するわ」
「はいはい、了解した」
タスキはレミリアと部屋に戻りゆっくりと休息をとるのだった。
×××
ヒメリア、レミリア、ミカエル、タスキは門の前に集まりディランス王国へ向かう準備が整っていた。
しかし、タスキ達がタウロスと戦ってる間にタスキ達のいるレース王国とディランス王国の間にあるレグレッドの村が何者かによって襲撃されていた。
生存者もおらず、そこはもう何年も前になくなっていたかのような無惨な光景だったという報告をされていた。
レース王国の第一皇女、ヒメリアの姉に当たるリナルタ・レースが調査へと足を運んでいる。
「とりあえず俺らもレグレッドの村の状態を見て、って事だよな」
「そうよ。でも、一体どんな奴なのかしら…あんな小規模な村襲っても何もないだけじゃないわ。あそこはディランス王国の傘下…手を出した時のリスクに対してリターンなんてないのよ」
「そこを襲わなきゃいけない理由でもあったんじゃないか? それにこの前道案内した人もレグレッドの村目指してたよな。無事ならいいが」
「あんまりのんびりもしてらんないし! はーく出発するし!」
「お前って空気読めないよな…」
一同はレグレッドの村へと歩き始めた。
レグレッドまでの道はただ真っ直ぐ道なりで魔物も何匹か目にするがレミリアクラスの魔力ですら気付くと、逃げて隠れてしまうほど弱いものばかりで無駄な戦闘をする必要はない。
むしろ、なかなかすばしっこいのもあり追いかける方が時間と労力の無駄だろう。
レグレッド付近になるとタスキが気になりレミリアとヒメリアに質問をする。
「なぁ、さっきから見る。あの綿毛みたいなのなんだ?」
「あれは多分羊花の綿です。この時期ですとちょうど咲いてるか、風で飛んでくるものになるので」
「そういうものなのか…へー」
羊花とは咲くと葉や茎すら覆うほどの綿で羊のように見える事からそう呼ばれている。
ちょうど暖かくなりだしたこの時期に咲いたり、それが風であちらこちらへと飛んでいるのだ。
「着いたわ…ここがレグレッドの村よ」
「おいおい、嘘だろ」




