第26話 青髪騎士の責任意識
「どうしたよ。タスキ」
「お前! あれは仮にもレミリア…俺の仲間なんだぞ!」
「知るか。俺が気に食わない奴を殴っただけだ。次はお前だ…なぁ、タスキ」
「2人で勝手に話さないでもらえるかしらァ?」
タスキとパラドを強烈な憎悪の魔力が襲い、気がそちらへと移る。
「もう私の時間は終わり、だから決めたわ。あなた達2人は必ず殺す。私の100%を持ってしてね…。それまでは殺さないであげるわ。うふふふふ…っ」
「レミリア!」
突然さっきまでの大きな魔力が抜け、レミリアは気を失いその場に倒れ込む。
それが消耗によるものなのか、パラドの攻撃によるものなのかはわからない。
それでもタスキはパラドのした事を許さない。
「俺は全ての女性と、そのパンツを愛す。逆にそれらを傷つける奴は許さねぇ。パラド…覚悟は出来てんだろうな」
「覚悟ぉ? バカ言うな。ゴミをいくつ処理しようがむしろ感謝してもらわねぇとな」
「…っ! パラドォォオ!」
「タスキィ!」
と声を荒らげてすぐにお互い気を失う。
2人にそれぞれの天使が近付き抱えあげる。
「はぁ。本当にあんたバカっしょ。消耗しすぎだっつーの」
「私が選んだ英雄にしては酷すぎですよ…。そのダメージで戦えるわけないじゃない。じゃあ私たちは帰りますね。次はディランス王国で会いましょう。ミカエル。ではアリアさん、ガランさん行きますよ」
「うち達も帰ろっか。ヒメリアちゃん、レミリアちゃんよろしくね」
終わってしまえば呆気なく、あっという間な戦いだったがタウロスという強敵とぶつかる事で魔王の強さを知り、レミリアの中にいる何かと対峙することで魔力の差が、この世界では大きな力量差になる事を改めて痛感させられた。
×××
重い瞼をゆっくりと開くと、見覚えのある天井、それとよく知る青髪の女性が視界に入る。
「レミリア…?」
「タスキ! もう大丈夫なの? 傷は? 痛まない?」
「傷? …っ!」
体を起こそうとすると全身に激痛が走った。
レミリアはその姿を見て、少し焦った顔で俺を寝かせる。
「私も凄かったらしいけど、タスキ…あんたの傷は本当に酷いらしいわ。私の昨日目が覚めたんだけど聞いて驚いたわ」
「昨日? 俺は何日くらいこうして…」
「今日で四日目よ。あの魔王との戦いから4日が経っているわ」
タスキはロイド族との激しい戦いだけでなく、その前にアントやウルフとも戦い、パラドともぶつかり、そして魔王タウロスと死闘を繰り広げている最中に現れた何かに操られるレミリア。
その間に発生していたダメージや消耗は並の人間なら死んでいてもおかしくない程だった。
「タスキ様!」
「あ、姫様ちょうど良かったです。まだ傷が痛むようなので治癒の方お願いします。私がいても仕方ないんで…」
レミリアはヒメリアにそう言い残すとタスキに何も言わずに部屋を出ていく。
「…? 姫様、レミリアはどうかしたんですか」
「全部知っただけですよ。あの魔王との戦いでの間に起こった事…多分レミリアさんはタスキ様がこれ程の傷を負い、消耗したのを自分のせいだと思っているのではないでしょうか。それを聞いてから付きっきりで看病していましたし」
「あの暴走の件も知っちまったのか…そりゃ、正義感強いし責任に思うよな…ありがとう姫様。もう痛みはだいぶ引いたし、ちょっとレミリアと話してくるわ」
なんて顔に出ないようにしても、実際はまだまだ動けるような状態ではとてもなかったが、それよりもレミリアに伝えなければならない事がタスキにはあった。
ヒメリアはそれを察するもタスキの邪魔をしまいと、タスキに一言だけ伝える。
「タスキ様…レミリアさんをよろしくお願いします」
ヒメリアの後ろの大きな窓から差し込む光がヒメリアの姿を照らし、その美しさにタスキは少し見惚れながらもすぐに我に返り、ヒメリアへと手を振りながら部屋を後にする。
「本当にありがとう、姫様」
×××
「私には…タスキといる資格なんてない。私がタスキを傷付けた…それだけじゃない…たくさんの人を危険な目に…私は騎士すら失格」
「何言ってんだよ。レミリア」
「タスキ!? あんたこんな所に何しに…そんな事より傷は!? さっきはあんなに…」
「あー、それはもう治ったよ。流石だよな、治癒って」
レミリアはタスキの上半身のあちこちに巻かれる包帯を目にするとまた逸らし、口を閉じてしまう。
タスキはその姿を見て大きくため息をつき、頭を少しかき、真面目な顔でレミリアに声をかける。
「俺といる資格がないなんてお前が勝手に決めることじゃないだろ…、騎士失格かってのは俺にはわかんねぇけど。別にいいんじゃねぇの? 俺生きてんだし」
「そんな問題じゃ…っ! 私は姫様を…ミカエル様を…あんたを…殺しかけたのよ。騎士の資格なんて、あんたといる資格なんて」
レミリアの発言が終わる前にタスキはレミリアの顔をじっと見つめ、レミリアに大事な事を言う。
そうこの男の大事な話なんてそれしかないのだ。
「じゃあどこの騎士様が俺にパンツをくれるんだよ」




