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第23話 青髪騎士の再暴走

「限界でまともに狙う事すら出来なかったか。これで終わりにしてやろう」


「勝つのは俺たち(・・・)だ」


その場に倒れそうになるタスキとの距離を詰め、タウロスはタスキにタウロスハンマーを打ち込もうとすると背中に先程タスキが放った光と氷で出来た矢が直撃するが、硬い鎧のような体を砕くだけで決定打にはならなかった。


「残念だったな」


「それはお前だ、クソ魔王」


パラドの腕がタウロスの左胸を貫通していた。


「まさか、これが…」


「俺の狙いはコアだって最初から言ってたろ」


タウロスの動きが完全に止まり、パラドは貫通していた腕を抜き、手に握っていたコアの確認をすると何かに気がつく。


「終わったのか…?」


「いいや! 終わってねぇ! そいつに近付くなぁ!」


「は…?」


「左胸…確かに心臓の位置だ。だが、そこにコアがあるわけではない。人間の大きくなりすぎた負の感情から生まれたまがい物と、オリジナルを同じだと思っていたのがお前らの死因だ」


タウロスの体が金色に激しく輝き、辺りをその光が包み込む。

すぐ近くにいたタスキとパラドはその眩しさに視界を奪われる。

その激しい光の中、何かが砕けるようなすごい音が鳴り響く。


「か…はっ」


「パンツ野郎! 」


光が弱まると、そこには胸の下辺りを強く殴られ血を吐いたタスキの姿がパラドの目には映っていた。

元から鍛え上げられた強靭な体をしていたタウロスだが、更にそれが一回りほど大きくなっており、しかし完全な白目からは生気を全く感じられなかった。


「ふぅぅぅぅ…ウオォォォォォォオ!」


「嘘だろ…。雄叫びだけで大地が揺れるなんてんな事ありえんのかよ。怪物が…」


肋骨が何本か折られ気を失ったタスキを放り投げ、パラドの存在に気付いたように振り返る。

パラドは先程の雄叫びに体の感覚が麻痺し、上手く退く事すら叶わない。

少し離れていたヒメリアがタスキへと駆け寄り、回復の魔法をかける。


「タスキ様! タスキ様! 目を覚ましてください!」


「どうすんの? ミカエル様〜。このままだと全滅だよこれ」


「これはあいつにとって最初の試練。うちが手を出すわけにはいかないし」


タウロスはパラドよりもタスキへと駆け寄り声をかけ続けているヒメリアへと標的を変え、進行方向を変える。

パラドは命拾いをしたが、たった一人の女性に危機を救われたなど認めるはずもなく。

キャンサーのコアを強く握りしめる。


「敵は魔王だ。もうリスクなんか知るか…もっと深くもっと全身に…こいつを取り込むっ!」


パラドは全身が白く染まり、瞳は赤く、髪は灰色になっていた。

全身に現れた黒い模様。

パラドは少し意識が飛んでいたかのように一度その場でフラッとする。


「集中してねぇと…今にも意識が飛びそうだ。だが、これでいい。これなら…」


パラドの異様な変わりようにタウロスが即座に攻撃を仕掛けるがそれをまともに受けてもビクともしないパラド。

魔法への絶対的耐性だけでなく、防御力もこれまでとは比べ物にならないほど高まっている。

パラドは両手で手刀を作りそれを縦横無尽に振り、斬撃を次々と飛ばす。

タウロスもそれを受けてダメージが入っている素振りはない。


「ちっ…確かに硬くなった。だが、あいつを倒す決定打がねぇ。どうする、どうすりゃ勝てる」


しばらくすると、タウロスは確かに変化はしたが自分を倒す脅威にはなりえないと判断したのか、またタスキとヒメリアの方へと進行方向を変えようとするが足が動かず、視界を下ろすと足元が凍っている事に気付く。


「氷魔法…? なんで…って、あれ。レミリアちゃんは?」


「さっきまでそこで寝てたはずだよ!」


「うふふふふふ…さっきは邪魔が入って存分に楽しめなかったけれど、今度はさっきより面白そうなおもちゃがあるからいいとしようかしら」


瓦礫の上に足を組み腰をかけている、黒い模様の付いたレミリアの姿に心做しかタウロスが震えているようにも見えた。


「そんなに怖がらなくていいのよ? 大丈夫よ。私が満足したら殺してあげるから」


レミリアは瓦礫から降り、ゆっくりとタウロスへと歩み寄りその顔のちょうど左目だと思われる辺りにそっと触れる。

そして、見るもの全てが震え上がるような冷たく残酷な笑みを浮かべると同時に左目とその頭の反対側を貫くように頭の中から現れる氷の何か、そして吹き出す血が吹き出ると同時に凍りつく。

それを見て、また不気味に笑うレミリア。


「うふふふふ…美しいでしょう? 赤い氷の花を咲かせるだけじゃないのよ? 更に止血をすませ脳には最大限傷つけないように魔力を使っているわ。死ねず精神だけを苦しめる…うふふ、そそりますわ」


レミリアは左目から輪郭をなぞるように指を滑らせ頬に手のひらを当て、顔を鼻と鼻が当たるくらい近づけ不気味な笑みを浮かべながら囁くのだった。




「壊れるまで楽しませてもらうわよ」

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