第22話 黄金魔王の耐久力
「何やってんの!? 早くしないとやばいし!」
「黙ってろ! 集中が途切れる…」
タスキは両膝を少し曲げ、両手の拳を握りしめ雄叫びをあげながら自身の魔力を振動させていた。
それによる何かを完了させる為にパラドは時間稼ぎをしていたのだった。
「時間稼ぎだ…? こんな奴俺が終わらせてやんよ」
「スラッシュも俺の硬い体は通したりはしない。お前の弱い攻撃では俺を倒すのは愚か、止めることすら叶わない」
タウロスはとどめを刺すべく、パラドへと渾身のタックルを繰り出すがそれを待っていたかのようにパラドを真正面から受け止めた。
「さっき気付いたんだけどよ…お前のその体結構破片が飛ぶな。おかげでならせてもらったよ。お前と同じ体になぁ」
「体が同じになろうが魔力もない、それ以外に能力もなく、身体能力でも劣るお前では俺には勝てやしない」
「それは、どうだろうな」
パラドはタウロスにされたのと同じようにタウロスへとタックルをする。
パラドはタウロスと同じ金色の姿になることで、先程までビクリとも動かなかったタウロスを数センチほどの距離ではあるが押し込む事が可能になったのだ。
「身体能力がなんだって? こちとら何度も人間やめてんだ。舐めんじゃねぇぞ…カスが」
「そのカスにお前は負けるのだ」
今度は振り上げた両手を握り合い作り出したハンマーに魔力が溜まっていくが、拳だけでなく腕自体に魔力が集まり金色に輝く体がよく煌びやかに輝く。
「タウロス…ハンマー!」
首の付け根辺りにそれを直撃され、地面へと叩きつけられるパラド。
パラド並みの強さの人間でも今のダメージでは気を失っていてもおかしくなく、そうでなくてもまともに立つことなんて出来ない一撃だ。
だが、パラドは立ち上がる。
飛びそうな意識をしっかりと繋ぎとめゆっくりと。
「な…んだぁ…これはよ…? 効かねぇなぁ…全然効かねぇ…ぞ?」
「憐れな。お前の強みはその執念深さだろうな。強くありたい、負けたくない。その心だけで本来なら立ち上がることなど叶わない一撃をくらってもなお立ち上がる。素晴らしい。だが、これで終わりだ」
タウロスがもう一度タウロスハンマーの構えをすると、背後に現れた大きな魔力の塊と突然の威圧感にタウロスはその行為を中断し、振り返る。
「待たせたな…! パラド」
「…遅せぇんだよ…クソ…やろ…」
気が抜け、その場で倒れてしまうパラド。
それを見て少しニヤけるタスキ。
「力借りますよ! 姫様! レミリア! ミカエル!」
「姫様はわかるけど、私とミカエル様は一体何をしたら!?」
「そこにいればいい。…いくぜ、下着同時共鳴」
二つの下着共鳴を同時に発動することでタスキは、二つ分の身体強化に加えヒメリアの支援による身体能力の強化。
更にミカエルとレミリアと繋がることで氷と光の魔法を同時に扱えるのだ。
「速いけど物理的威力のない光魔法…威力はあっても速さが足りない氷魔法。合わせちまえば速さも威力も兼ね備えた最強の魔法になんだろ!」
タスキは光の矢に氷を纏わせるようにし、それをタウロスへと放つと、その速さにタウロスは身動きすることも出来ずまともにくらい、城の残骸へと押し込まれる。
「あんまり長くはやってられねぇんだ。さっさと決着つけるぞ」
タスキはまだ下着同時共鳴を発動して数分しか経たないというのに、それにしては異常なほどの息のあがり方をしている。
下着共鳴を同時に二つというのは、想像を絶する程の使用者への負担が発生している。
今のタスキではどんなに足掻いても20分が限界だろう。
タウロスが残骸へと押し込まれる事で発生した砂煙の中にタスキは走り、直前で飛び込み拳を構える。
「氷魔法、アイスハン…」
「そう来るのはわかっていた。放たれる前に躱すだけだよ」
タウロスはタスキが空中から責めてきているのに、パラドにしたように頭突きを打ち込もうと飛び跳ねる。
「テレポーテーション! ハン…マー!」
タスキはテレポーテーションで頭突きを仕掛けようと飛び跳ねたタウロスの後ろへと回り込み背後からアイスハンマーを精一杯の威力で打ち込む。
「ふうぅぅぅ…ん!」
打ち上げられたタウロスは空中で受け身を取り、そのまま金砲をタスキへと打ち込む。
しかし、先ほどと同じようにテレポーテーションでそれを避け背後へと周り、小さな矢ではなく大きな柱のような矢を地上へと叩きつけるように放つ。
「どうだよ。これで終わってくんねぇ…か? 流石に…そろそろっと」
タスキは地上へと足を付けてタウロスを見下ろすと、少しよろける。
そろそろ下着同時共鳴の活動限界が迫っているのだ。
「まだ俺を倒せたりはしないさ。随分苦しそうだな、辛そうだな。そろそろそれも限界なのだろう」
「あぁ、そうだな。だから後は任せた」
タスキはタウロスの斜め上を狙って光の矢を放った。




