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第13話 魔的戦士の笛天使

「殺すだァ? おいおい、俺を誰だと思ってるんだ。タスキ様だぞ?」


「ちょっとあんたバカ? 得体の知れないあれにいきなり喧嘩売るとかやめてよ!」


「大丈夫だろ。今の俺にはミカエルのパンツがあるんだし」


「俺は強さが欲しい。永遠に朽ちることのない力への欲。人間ならお前だってそう思うだろう? 力こそが全てだ」


「いや、別に」


「お前は力よりも欲するモノが何かあるのか?」


「パンツ」


その答えを聞くなり現れた何かはタスキの目の前まで急接近し、タスキを殴り吹き飛ばす。

その姿は黒目と白目が逆になっている瞳、そして灰色に染まる体。

何より溢れ出る魔力のおぞましさからミカエルはそいつを魔王だと錯覚していた。


「なんの役にも立たないゴミを力より求めるとは…ここで死ぬべきだ、お前は」


「おめぇがくたばれ! この野郎!」


タスキは氷の拳を作り出し、男へとぶつけるがダメージを与えるどころか男へとぶつかる瞬間にその拳がタスキへと跳ね返ってくる。


魔力反発体質(アンチマジックボディ)が上手く働いてるようだな。俺は魔力では倒せない」


「なら素手でぶん殴るだけだろうが!」


タスキは吹き飛ばされたが、その砂埃を利用し男へと近づく。

そして強く握りしめた拳で男の顔を殴るが、その時感じた拳へと痛みはアントとも比べものにならない強度だった。


「こいつ…硬すぎんだろ!」


「別にそいつと戦う必要なんかないんだし! さっさと逃げた方がいいっしょ!」


「退けねぇよ! こいつを良い奴だとは思えねぇ!」


「俺は正義だ。弱者こそ悪。つまりお前こそがこの場において悪なんだよ」


「ちょっとぉ、あまりおじさんを無視しないでくれないかなぁ〜。強化風魔法、疾風の巨槍(テンペストランス)


その強化された風魔法を男はもろに受けるが、まるでそうなるのが当たり前のようにウルフの強化魔法を弾き返した。


「威力なんか関係ない。俺は魔力を通さない」


跳ね返ってきた疾風の巨槍(テンペストランス)によりウルフは上半身がなくなり、そのまま下半身のみが倒れる。

男は舌打ちをする。


「まあいい。どうせ奴は吐かんだろうしな。じゃあお前らだ。知ってるだろ? タウロスの場所を」


「知らないし! 知ってても教えるわけないじゃん! つかあんた誰だし! まじいみわかなんですけど!」


「そうか。じゃあ死…」


「ストーップ!」


城の最上階に突然鳴り響く、ラッパの音。

それを聞いた途端に男とタスキ、ミカエルの動きが止まる。


「この魔法…」


「あ、ミカエルじゃん。おっひさじゃない?」


「ガブリエル…」


「ミカエルはわかると思うけど、今パラドと君とミカエルには私の笛魔法、停戦の旋律を使わせてもらいました…ので! 今御三方は動けません!」


パラドだと思われる男はガブリエルを睨み付けながら、必死に動こうと抵抗する。

ガブリエルはそれ見て「無駄なのわかってるでしょ?」と言いながらパラドへと近付く。

ガブリエルが抱き抱えて連れてきた謎の女性はタスキとミカエルに一礼し、ガブリエルの後ろをついて行く。


「もうパラドは本当に血の気が多いよね! もっと平和になれないの?」


「そうかしら? 私の未来の旦那様だしこれくらい血の気が多い方が好きよ」


「アリアちゃんも結構変態だからな〜。こういう脳筋が好みなんだね」


タスキを完全に無視して会話を始める2人。

ミカエルは少し複雑な表情だが、全てわかったような顔をしている。


「ガブリエル、もしかしてだけどその人ってあんたのとこの英雄だったりする?」


「もちのろん。それ以外ないでしょ」


「だよね〜。センスなさすぎ!」


「パンツ狂者連れて歩いてる人に言われるとか少し傷つくんだけども…」


ミカエルはガブリエルのその言葉に怒りを(アラワ)にして突っかかる。


「そうかな〜? ガブリエルのその頭のおかしい戦闘猿よりマシな気がしたんだけど、うちの勘違い?」


「絶対勘違いだね。確かにパラドは強さに求め続ける頭のおかしな猿だけど、戦闘力は本物でしょ?」


「うちのタスキだって、戦闘力はないけど人間性…もクソだけど、たまに優しいんだから! そっちの彼よりよっぽど英雄に向いてるとうちは思う!」


タスキとパラドはお互いに、貶すのか褒めるのかどっちかにしろよ。

と心の底で意見が一致するのだった。


「まあ、そんな事はどーでもいいし。なんでうちの国の領域に来てんのかって所が1番聞きたいんだけど!」


「あー、それは言おうと思ってんだ! どうしてもパラドにはタウロスのコアが必要だから譲ってくれない? 実績だけ持っていてもいいからさ」


「実績だけなんかいらねぇよ! 俺にだってプライドがあるんだ!」


「そうだよね! こういう時だけかっこいいよ!」


その光景にガブリエルはムカつく顔でため息を付き、ショートパンツのベルトを外しながらタスキに近づき上目遣いで囁く。


「私のパンツ今あげるんでもダメ?」


「そういう事ならどうぞ」


「パンツで納得すんなしバカ!」


「…ふざけんな。こんな野郎が俺と同じ…? やっぱ消す。ここで確実に」




全員の拘束が解ける。


「ここはとりあえずまた後日にしろよ。って話がわかるやつでもないか」

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