対価
30秒たつと大きな山々が見えてきた。
おそらくあれがアルカディア山脈だろう。
不意に背中に激痛が走り、地面にたたきつけられた。
頭を上げると黒いローブに身を包んだ謎の軍団がいた。
「指名手配犯、リリーガ。われらは夜帝属。貴様をうがつために派遣された。貴様はここで終わりだ。」
敵が目を見開いた。
オッドアイ、フェーズに入った証拠だ。
しかも向こうには制限時間がある。
これは勝てる、そう思っていた。
「ガハッ、なんで俺の攻撃が、通らねぇ。」
フェーズは想像力を具現化したものだ。
だから俺の想像は現実になるはずなのに奴らに届かない。
「ただの混血が。結局純血には勝てない。教えてやるよわれらと貴様との違いを。フェーズに入ったもの同士が戦うとき勝敗を決するのは想像力の強いものだ。幼いころから想像力を鍛えていたわれらについさっきフェーズの存在に気付いた貴様が勝てるわけがなかろう。」
それでもあきらめずに戦った。
勝つのは無理だとはわかっても、それでも、
「俺は、進まなきゃいけないんだ。だからここでお前らを倒す。」
「ほざけ殺人鬼が。貴様のたわごとなど聞きたくないわ。」
そのあとも敵の攻撃は続いた。
切れるのを待てばいいと考えていた自分が浅はかだった。
今気づいたが敵は一人がフェーズに入って切れたらもう一人が入る。
つまり1対1で俺は全敗した。
やはり、俺には無理だったのか。
ふとここで違和感に気づく。
「あれ?俺、何でここに来たんだっけ。てか、お前ら誰?」
「貴様は知らなかったのだな。なぜわれらがフェーズに入り続けないのかを。世間ではフェーズが万能だの夜帝属は勝ち組だの言っているがこの能力は決して万能ではない。フェーズには対価が必要になる。それは過去の記憶だ。そんなことも知らないとは。とりあえずお前を本部に連行する。」
こうして殺人鬼リリーガはとらえられた。
処刑が先か、謎の女との約束の期限切れが先かはわからないが彼の行く先には死しか待っていない。
そして、彼女の存在を知るものはいなくなった。
アルカディア山脈頂上にて
「まったく、生き返らせてやったのに。愚かな息子ですこと。ねぇ、リリーガ。」
不敵な笑みを浮かべながら謎の女はつぶやくのだった。




