快感
「はぁ、世の中って本当に理不尽だな。」
一人暗い道を歩きながらそうつぶやいた。
自分が何かをしたわけでもない。
気を失って目が覚めたら自分ひとり。
それを目撃した奴には俺のせいにされた。
「こんな世界、俺がぶち壊してやる。」
強く下唇をかみ、口の中に血の味が広がった。
30分ほど歩いただろうか、街明りが見えた。
この世は、いやこの世の生物は皆腐りきっている。
だったらやることは1つしかないだろう。
「全員ぶっ殺してやる。悪いのは、貴様らなんだからよ。」
街の中には狐族が大量にいた。
狼族である俺が街の中に入ると奴らは驚いた顔をした。
「おいおい、なんか来たぞー。」
「は、まだガキじゃねーか。」
「迷子なんじゃねぇの?」
「お父さんとお母さんはどうしたのでちゅかー?」
俺は人並より身長が低い。
ただそれだけで俺はガキだと思われる。
少なくともこいつらよりは長く生きているのに。
「おいおい、黙ったままで何も喋らねぇぞこいつ。」
「け、つまんね。こいつどうするよ。」
「殺してまってかまわねぇよ。見たところひとりだからよ。仮にこいつの親が来ても白を切ればいいし。」
とうとう周りの奴らまで笑い始めやがった。
だから、だから・・・
「そういうお前らを殺したくなるんだよ。」
懐に隠しておいたナイフが目の前の奴の心臓を一刺し。
顔に血がかかるがそんなもんお構いなしだ。
周りの奴らといえば何が起きたのかわからず唖然としていたり、悲鳴を上げたりしているが、恐怖で誰も動かない。
好都合だ。
片っ端からとびかかって首、顔などひたすら切り刻む。
血管も見えるし、神経らしきものだってしっかり見えた。
全身に帰り血を浴びながらこの街にいる狐族全員殺しにかかる。
「てめぇらは俺をバカにしやがった。その報いだ。ざまぁみろ。」
自然と口元に笑みが浮かぶ。
あれ、楽しい。
「お、お願いします。助けてください。」
救いを求めるやつ。
「俺も手伝うんで、自分だけは見逃してください。」
協力しようとするやつ。
「こ、殺すならこいつを殺してください。」
仲間を売るやつ。
そういった動作一つ一つが俺をイライラさせ、殺意をさらにかきたてる。
「うるせぇ、いいからもう死ねよ。」
1時間程でこの街から住民が消えた。
血の海となった地面を月明かりが照らす。
あぁ、中毒になりそうだ。
こんなに楽しいことなんて今までなかったのに。
「さて、次の街をめざすか。」
また暗い道を歩き始めた。
口元から笑みが消えることはなかった。




