塔の頂上
剣が閃き、怪物の首が飛ぶ。血が滴る。
大魔王ブングルトを倒すため、四人の勇者たちが敵の本拠地へやって来たのだ。
先頭に立っている勇者が叫んだ。
「ブングルトはどこだ!!」
その間にも無数の怪物たちが押し寄せてくるが、その程度の連中ではすでに勇者たちの相手にはならなかった。
「おそらく、最上階じゃ」
魔法使いが答える。
「魔王が勇者を待ち受けている場所は、そこしかないじゃろう」
「よし」
更に一体の怪物を斬り捨てて、勇者が高らかに叫んだ。
「行くぞ!! 最上階へ!!」
「ブングルト様」
大魔王の重鎮オケアドルが、薄暗い部屋の中でブングルトに頭を下げた。
「オケアドルか。どうした」
「勇者どもが、この塔に侵入したようです」
「そうか」
そう呟いたブングルトは口元に笑みを浮かべていた。
勇者たちは、最上階の一つ下の階まで来ていた。
そこには、大魔王の親衛隊四体がいた。
「ここから先へは行かせん!!」
一体が戦士に襲いかかった!!
「破岩廻旋斧!!」
戦士の斧による一撃が、襲いかかってきた敵を真っ二つにした。
「何!?」
「封魔清浄光!!」
「ギャ――――ッ!!」
僧侶の浄化呪文が、敵の一体を消し去った。
「お、おのれ――っ!!」
「烈火焼煙波!!」
魔法使いの呪文が、襲いかかってきた敵を一瞬で灰にする。
「ううっ!!」
「残るはお前だけだ!!」
「く、くそ!!」
最後の一体が、勇者めがけて走った。
「天空光魔斬!!」
最後の一体は切り裂かれて灰と化した。
「ついに、最上階だ……」
最上階には、階段を上がりきった所に巨大な扉があった。
「この向こうに、大魔王が……」
戦士が扉を押した。
「びくともしない……。ぶち破るぞ!!」
戦士の一撃により、扉が破壊された。
扉の向こうには、誰もいなかった。
ただ、壁に魔王の文字が書かれていた。
「愚かなる勇者諸君へ
私は地下にいる 生憎、高い所は苦手でね
ちなみに この塔は扉が壊れてから十秒で崩壊するようになっている
生きていたら会うこともあるだろう
では good luck」