第4話〜一粒のチョコをあなたへ〜
【登場人物】シャンパン色の髪 少女 お菓子屋 【名前】ルイス
【キーワード】「一粒のチョコレート」「夜の始まり」「いつか、また」
ルイスの朝は、ランラの一声から始まる。
『ルイス?おはよう。』
そう笑っていうランラはルイスより一つ年上だ。
ルイスが幼くして親を亡くし泣いていた時、頭を撫でながらお菓子を食べさせ引き取ってくれたのがランラだった。
ルイスにとって、ランラは母であり家族であり憧れのお菓子職人だった。
初めて、お菓子を色々作ってランラに食べてもらった時、美味しいと言ってもらった時はとても嬉しかった。
その日から、ランラから一番美味しいと言われたチョコレートの製作はルイスが行っていた。
ランラと違い、不思議とあったかい気持ちになれる美味しいチョコが作れているか?と聞かれれば首を振ることができるだろう。
店が開いていない中、ルイスは真心を込めしっかりチョコをかき混ぜながらため息をついた。
今日は、監獄にランラがお菓子を配りに行っているのだ。
うまくいけば、この店はもっと名が知られるだろう。
嬉しいがまたランラが手の届かないところにいく気がして寂しいのだ。
一粒一粒綺麗に装飾し箱に詰めていきながら、明日はどんなお客様がどんなお菓子を買っていくのかなと想像を膨らましていった。
すると、トントンと背後の扉から音がした。
こんな夜の始まりに人が来るなんて珍しいなと不思議に思いながら警戒し、ゆっくりと扉を開けた。
すると、涙で顔がぐちゃぐちゃの男の子が人形を抱えて立っていた。
「ど、どうしたの、ボク。」
肩を震わせながら、男の子はゆっくりと口を開いた。
「お、母さんが死んじゃう…おかあ、さんに、チョコ食べさせてあ、げたい…!」
みたところ、お金も持っていないような男の子。
こんな時ランラはどうするだろうか。
このままじゃ真っ暗になってしまう。
ためいきをつくと、男の子に一粒のチョコレートが包んである袋を渡した。
「一個しかないけど、お母さんを元気付けてあげて。」
顔を明るくした男の子がお礼を言って走り去るのをルイスは遠目で眺めていた。
夜の始まりはとうにすぎ、とても寒くなってきた。
あの男の子の母親が元気になれば良いな。
そして、いつか、また。
親子2人でお菓子を買いにきて元気な姿を見せて欲しい。
ランラが帰ってきたら、チョコレートココアを飲もう。暖炉で暖まってそして2人で楽しく話そう。
「ランラ、早く帰ってこないかなー。」
そう笑って、静かに扉を閉めた。