第四.五話
「わっ」
扉を開け、部屋に入るとすぐに抱き締められて慌てた。
しばらく暴れても反応が無かったので、大人しくなる。
すると、エリオスはため息を吐き出しながら耳元で呟いた。
「……そう簡単に、お前への想いを諦められると思うな」
耳にかかる息がくすぐったい。
私は身をよじった。
「あんな勘違い女とお前を比べるべくも無い。
どう考えてもあちらに転ぶ訳無いだろう」
「……でも、」
さすがに正面から見てしまうと、普通の男なら餌にかぶりつくのが分かりきってる絵柄だった。
大きさは…まだ勝ってそうだけれど。
「俺はお前にしか欲情しない」
「それはそれで怖いわよ」
「他の女なんてどうでも良い、俺はお前さえ居れば…」
頬を優しく撫でられ、私はされるがままに受け止める。
シャツのボタンに手を掛けようとしたエリオスに「だめだよ」と笑った。
「……悪い」
「珍しい、謝った」
私の言葉にエリオスは笑う。
「本当なら、このままめちゃくちゃにしてやりたい」
まぶたにキスを落とすと「だが、本当に加減出来そうに無いからな」と笑うと、私から離れた。
「……ねえ、知ってる?」
「ん?」
離れたエリオスに詰め寄って、私はエリオスの服の裾を持つ。
いつもより正直になれる気がした。
「我慢されると、私が我慢出来なくなるの
それに…私は壊れたりしないわ」
エリオスの胸に飛び込んで、私は自分からエリオスに擦り寄った。
珍しく震えているエリオスの手に頬を押し付けると、そのまま首筋に回って来て深いキスをされた。
その後は…確かに大変だったけれど、エリオスに素直になれたので良しとする。
やっぱり私はそうなのだ。
どれだけ闇に染まろうとしても、一筋の光が常に光っているため道を見失う事は無い。
それが誰なのか、どこに居るのかが分かっているからこそ、私は私で居られる。
悔しいけれど、私はやはりまだまだ弱い。
少し短過ぎた為、四.五話とさせていただきます。