第二話『大変ってにゃんにゃのにゃん!』のその③修正01
第二話『大変ってにゃんにゃのにゃん!』のその③
「でもって残りの四つはというと、……残念ながらどうなっているのかイオラにも判らないんだって。気配がまるで見えないから、壊れたか、それとも、既に宝玉としての力はなくなってしまったか……」
「イオラ様がそうおっしゃるのなら諦めるしかないわね」
「ただね。森の妖精たちが滅びる直前に集結したのはここだったらしいの。だから、『今もあるとすれば、イオラの森のどこか、っていうことになるわね』とはいっていたわん。森に棲む誰かの霊力で封じ込められていれば、それに邪魔されて、
……ええと、保護色だったけ? みたいに見えにくくなることもあるそうなの」
「まだ希望はある、ってことかしら。
でもミーナ。その五つの宝玉とヴィーナスとどんな関係が?」
「それよそれ。ついうっかりして、いうのを忘れていたわん。
イオラの言葉をそのまま伝えるとね。
『赤、青、黄、緑、それに紫。これら五つの宝玉が全てゼノンに収められた時こそ、ヴィーナスちゃんへの道が開けるのよ』
とまぁそういうことらしいわん」
「ふぅぅん……」
ミストにゃんはネックレスを指でぶら下げると、やや冷やかにゃ目つきで眺めている。
「アイテムを集めてゴールへと達する……。ふっ。下手なロールプレ」
「ってなことで」
と強引に言葉を遮るミーにゃん。さすがに、『これ以上喋らせたら、なにをいうかしれたものではないわん』とでも思ったのにゃろう。ぱっ、とミストにゃんの手からネックレスを取り戻したのにゃん。
「ミストんのいう通り、ぐずぐずは出来ないわん。
さぁみんな。考えるより先ずは行動だわん」
「さっき、たいしたことじゃない、とかいっていた癖に」
またまたミストにゃんのツッコミにゃ。
たらぁり。
ミーにゃんの額からほおにかけて一筋の雫が伝っていくさまをウチは見逃さにゃかった。でもにゃ。黙っていたのはほんのわずか。さも聞こえにゃかったフリをして言葉を続けたのにゃん。
「みんなで手分けして宝玉を探す。それしかないわん」
意志の強さを示すかの如く、右手に拳を造って訴えるミーにゃん。ウチとしては、みんにゃがみんにゃ、賛同するとばかり思っていたのにゃ。ところがにゃ。ミクリにゃんがすぐさま異議を唱え出すという予想外の事態が起きてしまったのにゃん。
「だけどね、ミーナ君。その穴に入るぐらいの、きらきら、としたものなんて川辺に行けば、ごまんとあるよ。具体的な特徴とか、どんなところにあるか、ぐらいは判らないと、探しようがないと思うんだけどねぇ」
(にゃあるほど。考えてみれば確かに)
ミクリにゃんの鋭い指摘に、みんにゃが、ほぉ、と感心したようにゃ顔を。
「ああでも……、霊覚を使えばなんとかなるのじゃありませんか?」
「無理じゃないの、ミリア君。宝玉の霊力を識別する方法でもあれば別だけどね」
「……そうですね」
自分の提案が間髪容れずに却下されたからにゃろう。ミリアにゃんは、しゅん、と、がっかりしたように肩を落としてしまったのにゃ。
「なに一つ手がかりらしきものがないまま、ただやみくもに探し出そうとしたって、見つかる可能性はほとんどないんじゃないかなぁ。ねぇ、ミムカ君はどう思う?」
「ミムカはですねぇ。探してみてもいいんじゃないかと思うのでありまぁす」
同意すると思いきや、これまた予想外の異論。ウチも思わず耳をそばだてたのにゃ。
「へぇ。でもどうやって見つけるつもり?」
「宝玉の霊力って、古代からの霊力ですよねぇ。だったら今とは違うなんらかのシグナルを発しているのではないかと思いますですよぉ」
「なぁあるほどねぇ」
「大体、宝玉っていわれるほどのものが、今の今までほったらかしにされているなんてことはあり得ないと思いますです。名のある精霊が譲り受けたか、さもなくば拾って手元に置いているとみたほうがよろしいのじゃありませんですかぁ?」
「うん。それはそうかもしれないね」
(にゃ、にゃんと! ミムカにゃんがミクリにゃんをうなずかせてしまったのにゃん)
「名のある精霊かぁ。となると……」
ミクリにゃんはネコ人型モードの姿勢とにゃって腕を組む。
「どこかの長が持っているっていう可能性が大だよねぇ。
でも一体誰が……ふぅむ」
(考えごとをしている……。あのミクリにゃんが)
申し合わせかのように、ウチとミーにゃんは顔を見合わせたのにゃ。目を大きく見開いたままのウチに対して、ミーにゃんも目を丸くして両手を口に当てている。ウチらの思いは恐らく、おんにゃじにゃ。がく然としているのも一緒にゃら、『思ったよりもアホじゃにゃいのかも』との疑念が頭をよぎっているのもまた一緒にゃろう。
(もしそうにゃら、『ミクリにゃんこそがウチらにとって最後の切り札にゃ』『巨大にゃアホの砦にゃ』と信じていたことが根底からくつがえされてしまうのにゃん)
ミーにゃんも不安げにゃ様子でウチにしがみつく。『真実はいかに?』とびくつくウチらの気持ちをよそに、ミロネにゃんがミクリにゃんへ助言ともとれる言葉を。
「探索範囲が絞れてきたのは確かだ。どうだ、ミクリ殿。ここは一つ動いてみては?
なにもしないでこのまま手をこまねいているよりはずっといいと思うが?」
ぴくん。
まるで呪縛が解かれたかのようにゃ。声をかけられた途端、固まった感じとにゃっていたミクリにゃんの身体が動き出したのにゃん。
「うぅぅん。そうだね。確かにミロネ君のいう通りだ。
実は困っていたんだ。アホの考え、休むに似たりでさ。どんなに思い巡らしてみても、誰ひとり思い浮かばなくってね。とうとう頭の中に白い蝶々が飛び回る野原まで出てきちゃったんだよ。もうお手上げだ。余計なことを考えずに、ただがむしゃらに片っ端から探し回ったほうがボクの性に合っているみたいだ」
(ミクリにゃん……)
いいしれにゅ感動に心が震えた瞬間にゃ。
ウチとミーにゃんは再び顔を見合わせたのにゃ。
「ミーにゃん、今の聞いたにゃろう?」「うん。しかとこの耳で」
そして……ともに、ほっ、と胸を撫で下ろしたのにゃん。
「ミーにゃん。やっぱり、ウチらの友にゃちを見る目は間違っていにゃかったのにゃ」
「当ったり前よ。アタシたちの切り札、ミクリんという『アホの砦』はまだまだ瓦解はしないわん」
危機感を覚えていたにゃけに喜びもひとしおにゃ。心の底から込み上げる思いが言葉とにゃって口から吐き出されたのにゃん。
「ミーにゃん! 良かったにゃあ。ぐすん。一時はどうにゃるかと」
「ミアン! ううっ。アタシもよぉ。
はらはらしっ放しだったわん。本当に本当に良かったわぁん」
互いに抱き合うウチら。いつしかどちらの瞳も濡れていたのにゃ。
ミクリにゃんが同意したことで、あらためて賛成か反対かの決が採られたのにゃ。もちろん、みんにゃがみんにゃ、賛成の挙手。この結果にミーにゃんも腹を決めたみたいにゃ。
「そうと決まれば善は急げだわん。早速、宝玉探索に出かけちゃおうよ」
「待ってよ。森は広いわ。ここは手分けして探してみたら?」
ミストにゃんの言葉を素直にうなずくミーにゃん。
「それがいいわん。で? 誰がどこへ行くの?」
そんにゃ具合に話が進んで、とどのとまり、ウチはミクリにゃんやミムカにゃんと組んで、『遊びの広場』内にある沼を調べることに。ミーにゃんはまにゃ陸の上以外は、ほとんど無理とのことで、ミリアにゃんやミストにゃんと同様、自分の棲み家を中心に調べることに決まったのにゃ。
本当はミロネにゃんとも行くつもりにゃった。ところがにゃ。
「どうにゃ? ウチらと一緒に沼の中へ」と声をかけた途端、思わにゅ横槍が入ったのにゃ。
「待って。彼には彼の探し方があるから」
そうミストにゃんにいわれ、ミロネにゃんからも、
「まぁ……な」と同意とも受け取れる返事が。無理強いも出来ず、ってことで、やむを得にゃく諦めたのにゃん。
ウチらが歩き出そうとする中、ミストにゃんが後ろを振り向いて、
「ミリア、行くわよ」と声をかけたのにゃ。ややあって返ってきた言葉は、
「あのぉ、どこかへ遊びにでも行くんですかぁ?」との呑気にゃ答え。
ウチらの足が、ぴたぁっ、と、とまったのはいうまでもにゃい。
(いつから夢想の世界へトリップしていたのにゃろう。
道理で黙りこくっているはずにゃん)
でも……ウチは呆れるというよりは安心したのにゃ。
(いざとにゃればミリアにゃんがきっと、ミクリにゃんに代わる、いや、それ以上の頑強にゃ『アホの砦』とにゃってくれるのに違いにゃい)
ミーにゃん同盟の明日は明るい。そう確信したウチにゃのにゃん。
「急ぎに急いで、第二話もこれで終了にゃあ!」
ぱちぱちぱち。ぱちぱちぱち。
「快刀乱麻な斬れ味を見せて、次から次へと突破していくわん。さすがは……じゃないわん。良ぉく考えてみたら、第一話が長すぎたのよ。ずばり、説明の多すぎぃっ!」
「十分反省しているのにゃ。面目にゃい」
「うん。今回だけは大目に見てあげるわん。
寛大な心でもって、ううん、厚い慈悲の心でもって、許してあげるわん」
「じゃあ、ミーナちゃん。次はどうなるの?」
「もちろん、許してあげるわん。この『あとがき』に出た者はみんな同罪だもん」
「えっ。ワタシもなの?」
「ねぇ、イオラ。どうして残り四つの宝玉の行方が判らないの?」
「ウチも是非知りたいのにゃ。イオラにゃんにゃら、大抵は判ると思うのにゃけれども」
「そうねぇ。何万年も生きているわけだし、理由を上げるとしたら……、
更年期障害でしょ? 認知症でしょ? いえ、アルツハイマーかも……」
「(うわっ。だんだんと暗く沈んだ顔になってきたわん)
イオラ。アタシが悪かったわん。ごめんなさい」
「イオラにゃん。ウチが悪かったのにゃ。ごめんにゃさい」




