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第二話『大変ってにゃんにゃのにゃん!』のその①

 第二話『大変ってにゃんにゃのにゃん!』のその①


 第二話にも行かずに終わりかと、ほっ、と肩の荷を下ろしたようにゃ気持ちでいたのにゃ。そしたらにゃ。意外や意外、ウチらはみんにゃ無事に復活したのにゃん。にゃもんでお話はまにゃまにゃ続くことに。

 ……ってにゃわけで、今はちゃぶ台を囲んでの話し合いの真っ最中にゃ。

「あのね」

 ミストにゃんがミーにゃんとにらめっこ。かにゃり顔を近づけている。どちらかがほんのちょっと口を突き出すにゃけで、ちゅっ、とキスににゃるぐらいにゃ。でもミストにゃんはいささか、ぷんぷん状態。腰に両手を当て、ミーにゃんを睨みつけている。いつもは控えめで口数も少にゃい女の子にゃのに……、今は、『おお怖っ!』とでもいいたくにゃる感じにゃん。

「毎回毎回、アホの一つ覚えみたいに地面と衝突しては閃光を撒き散らす。

 ミーナ、いい加減にやめたらどう? おかげでこっちはエラい迷惑よ。使わなくてもいい霊力を使って砕けた身体を修復しなくちゃいけないんだから」

「でもミストん。大変なのよ! だから仕方がないわん!」

『来るなら来い』のミーにゃん。喧嘩腰ともみえる妖精相手に、ミストにゃんは左手を右肩の脇に挟み、右手を右のほおに当てた格好で、ふぅ、とため息を突く。

「そうね。大変なのよねぇ」

 ミストにゃんの面白いところは、遠慮にゃく鋭い指摘をするも、それ以上は責めようとしにゃいことにゃ。要するに、いうことはきっちりという。でもそれにゃけ……じゃにゃい。喋ったあとは相手への理解を深めようと努めてくれる。こういう友にゃちは貴重、とウチは思っているのにゃ。気まずい事態にまで至らず、穏便にことが運ぶ。不満を溜め込まれて仲違いにまで発展することもにゃい。

 心を隠す者よりも、開けっ広げでいてくれる者のほうが安心してつき合える。にゃにを考えているのか察するのが容易にゃもの。それでいてかつ、相手への心遣いも忘れにゃいというのであれば、これはもう理想の友にゃちではにゃかろうか。ミーにゃん同盟の誰もが多かれ少にゃかれ、そういった面を持ち合わせている、と思っているのにゃ。にゃからこそ友にゃちとにゃったのにゃん。


「で? なにが大変なの? ミアン」

(にゃんと、今度はこっちが標的にゃの?)

 こともあろうにミストにゃんは、ウチの前に立ちはだかるようにゃ格好で質問をぶつけてきたのにゃん。

 ごっごっごっごっ!

 両足で踏ん張って立つという、いわゆる仁王立ちで腕を組んでいる姿の背後には、にゃにやら、どす黒い霊波がメラメラと。顔もいつににゃくお硬い表情にゃ。

 ひょっとすると、怒っているのかもしれにゃい。でもにゃ。理由はさっぱりにゃん。それでも、聴かれてはいるのは間違いにゃい。にゃもんで取り敢えずは返事にゃ。

「知らにゃい」

 ウチは正直者ゆえ、そう答えるしかにゃい。でもにゃ。たにゃ答えるばかりでは芸がにゃいというもの。にゃもんで、こちらからも質問をぶつけてみたのにゃ。

「でもにゃんでウチに?」

 かわいこぶりっこ、ってほどでもにゃいとは思うのにゃけれども、ちょっと可愛げに首を傾げてみせたのにゃ。にゃのにミストにゃんたら、そんにゃウチの心遣いを全く無視するようにゃ発言を。

「ミアンが『大変』っていったから、わたしも『大変』っていった。つまり、全てはミアンの責任」

「そんにゃアホにゃあ!」

 ウチは知ったのにゃん。思わにゅ責任をなすりつけられようとしていることに。

「ウチが叫んにゃのはミクリにゃんが『大変』って口にしたのを耳にしたからにゃ。

 断じてウチのせいにゃどではにゃい! にゃあ、ミクリにゃん」

 ウチの言葉に、『それはそうだけどさ』とミクリにゃんはにゃにやら不満めいた顔を。

「ボクとしてはミロネ君が叫んだから、そういったまででねぇ。

 まぁある意味、ミロネ君の言葉を代言をしただけともいえるんだ」

「ミロネ?」

 ミストにゃんは自分が口にした名前の友にゃちに視線を合わしたのにゃ。

「ああ、いったな。しかし、オレはミムカから聞いた」

「そう。……ならば、あなたね」

 そういってミストにゃんが指差した先にはミムカにゃんの顔が。ミムカにゃんもミストにゃんを真似するかの如く右手のネコ差し指をおんにゃじ方向に向け、『ええと……』っていいにゃがら左右をきょろきょろ。再び真っ正面を見つめたミストにゃんは、

「おおっ、と」

 自分が指差しているのは自分にゃ、と気がついたとみえる。はっ! とした表情ににゃったのにゃん。

「ぜぇんぜぇん違いますですよぉ。

 ミムカもあちらに居るお友だちの言葉を継いだだけでぇ」

 ぶんぶんと首を横に振ったあと、ミムカにゃんが右手のひらを上にして差し出した先には、

「ど、どうしたわん?」

 宙に真っ逆さまの状態で浮かびにゃがらウチとにらめっこ。五対一で負け続けているミーにゃんの姿があったのにゃ。

「あなたね。騒動の種は」

「えっ」

 ぎくうっ。じたばたじたばた。

 さっきまでの強気が一転して弱気へ。ミーにゃんは睨みつけている視線に怯えつつ、

「ええと……ええと……ミリアんは」

「彼女の『大変』はわたしのあとよ。だから違うわ」

「そうですよ。……あれっ、そうでしたっけ? ……そうそう、そうですね」

「ミリア。現実とごっちゃになるほど、夢想をたくましくするのはやめておいたら?」

「素敵じゃないですか。現実と夢のコラボレーション。

 ミストさん、是非あなたもご参加を」

「遠慮しておくわ」

 ミストにゃんの視線がミリアにゃんへと移ったのをこれ幸いとばかりにミーにゃんは、『さぁて、そろそろ毛づくろいでも』と思って爆発で焦げた草むらにお尻を据えたウチの後ろに隠れてしまったのにゃ。

(やれやれ。振り出しに戻ったみたいにゃん)

 にゃもんで、

「まぁまぁ。ミーにゃん。少しは落ち着きにゃさい」

 ウチがそう声をかけるも、ミーにゃんはぶるぶるぶるぶる。たにゃにゃらにゅ様相は収まりそうもにゃい。

(仕方がにゃい。こうにゃれば毛づくろいは一時中止にゃ)

 ひゅるひゅるひゅるひゅるひゅる! まきまきまきぃっ!

 ウチは蹲ったまま、尻尾をミーにゃんに絡ませたのにゃ。

「な、なにをするわん? モワン」

 にゃんとか逃げ出そうとして、のことにゃろう。顔をくしゃくしゃにして両手のひらを尻尾に圧しつけ、盛んにもがいているのにゃ。でもにゃ。尻尾を解いて、ウチの背中の上に、ぽとん、と乗せた途端、『へっ。もう終わりなの?』っていわんばかりの、きょとん、とした顔に。表情の落差がやたらと大きいにゃけに、可愛さもまたひとしおにゃん。

「しばらくはそこで、ごろごろ、していにゃさい。

 気持ちが落ち着いたら、ゆっくりと聴かせてもらうのにゃん」

「モワン、そんなことをいったって」

 ごろごろごろ。ごろごろごろ。

「ミストんだけじゃなくて、みんなが非難の目を浴びせているじゃない」

 ごろごろごろ。ごろごろごろ。

「だから、とってもじゃないけど……」

 ごろごろごろ。ごろごろごろ。

「きゃきゃきゃ。楽しいわん。きゃきゃきゃ」

 ミーにゃんの怯えを取り除くのはこれにかぎるのにゃん。にこにこ顔でもう夢中にゃ。

 ごろごろごろ。ごろごろごろ。

 もうそろそろいい頃合いかと、声をかけてみることにしたのにゃ。

「で? ミーにゃん。にゃにが大変にゃのにゃ?」

 ごろごろごろ。ごろごろごろ。

「いやあ、多分、本当はそれほどたいしたことじゃないと思うんだけどぉ」

 ごろごろごろ。ごろごろごろ。

「イオラがいうにはね。天空の村が」

「ふむふむ。天空の村が?」

 ごろごろごろ。ごろごろごろ。

「真下に拡がっている」

 ごろごろごろ。ごろごろごろ。

「灰黒な毒ガスの雲海に沈むかも、って」

 ごろごろごろ。ごろごろごろ。

「いってたわん。まぁ大変っていったって、それぐらいの」

「にゃあんにゃ。そんにゃこと…………ふぐっ!」

 絶句するほどのたいしたことにゃん。


「イオラ、有難う。イオラのおかげでアタシも含めて全員元に戻ったわん」

「本当本当。感謝するのにゃ」

「どういたしまして。でも驚いたわ。ワタシが出かけたのって、ほんのちょっとの間でしょ? なのに帰ってみれば、ミーナちゃんのお友だちが一杯。しかも、全員がばらばらじゃない。一体、何事かと思ったわ」

「ま、まぁこれがミーにゃん同盟だってことで……。

 終わり良ければ全て良し。めでたし、めでたし、だわん」

 とことことこ。

「ミーにゃん。みんにゃ、帰ったにゃよぉ」

「そうなの? ミーナちゃん」

「うん。折角、来てくれたんだし、遊んでいってもらいたかったんだけど……、

 他の場所ならいざ知らず、アタシたちの棲み家で、どがん、どがん、は、やって欲しくなかったの。だからね。『また日をあらためて』ってことで帰ってもらったわん」

「ウチは出ていかにゃくてもいいのにゃん?」

「んもう! 何度もいわせないで。ミアンはアタシの親友で、アタシたちの家族なの。

 だから、ミアンの棲み家も精霊の間。他にはないわん」

「そうよ、ミアンちゃん。あなたが帰るところはここよ。これからも、ずぅっ、とね」

「ぐすん。ミーにゃん、イオラにゃん。有難うにゃん。ぐすん」

「なんか……湿っぽくなっちゃったわん。

 よぉし。じゃあ、仕切り直しよぉ。ミアン、任せたわん!」

「ぐすん。……えっ、ウチ?」


「にゃら、あらためて。

 さぁ。いよいよ第二話突入にゃあん!」

「やったわぁん! ミアン!」

「おめでとう! ミアンちゃん!」

 ぱちぱちぱち。ぱちぱちぱち。

「ところで、と。

 ミーにゃん。今回のお話でちょっと気にかかることがあるのにゃけれども」

「えっ。なにわん?」

「ミーにゃんが喋った、『本当はそれほどたいしたことじゃ』

 あれって、ずいぶんとたいしたことじゃにゃいの?」

「ミーナちゃん。ワタシもたいしたことと思うの」

「二体一かぁ。判ったわん。多数決でそういうことに決定!」

「あのにゃあ」

 じろっ。

 くるっ。

 じろっ。

「あら。どうして呆れたような目のまま、ミーナちゃんからワタシを振り返るの?」


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