第十四話『霊華打ち上げ計画始動! 出っ来るかにゃん!』のその②
第十四話『霊華打ち上げ計画始動! 出っ来るかにゃん!』のその②
そして……最後のパネル、『透き通るようにゃ青い空』の映像まで見終わったのにゃ。
「だいぶ出来上がっているみたいにゃん」
感心するウチにレミロにゃんは、『はい』とうなずく。
「ミクリ殿の比類なき指導力の賜物です。実をいえば、どうしてこの作業をしなければならないのかは、今もって、ほとんどの地中ネコたちには伏せられたままなのです。にもかかわらず、才能のある者や手足となって働こうとする者が彼の元に多く集まるのは、彼が慕われているからに他なりません。
多くの優秀な補佐に支えられたことで、彼の指導力はいやがうえにも高められました。仲間たちも期待に応えようと、割り当てられた作業を忠実に、しかも迅速にこなそうと努めています。彼の魅力が作業を速やかに進ませる原動力となっているのは、疑う余地がありません」
「ミクリにゃんがストレートに自分の感情をぶつけてくるからにゃ。あの自分を開けっ広げにして包み隠さず、相手と向き合おうとする態度は誰しもが好感を持つと思う。ウチもミクリにゃんが大好きにゃよ」
「ミロネを通して見ているだけですが、わたくしも好ましい妖精とは思っています。
ただ……言葉で表現するだけなら良いのですが、おのれの拳で表現することもままあるようですね。興奮気味の時は特に。一番まずいのは、ミクリ殿自身が『暴力』と受け留めていないことです。『いつかやりすぎてしまうのでは?』と、ふと、そんな思いに駆られたりもします。唯一気がかりなことがあるとすれば、それですね」
ウチもそういうミクリにゃんの性格は良く判っているつもり。でもにゃ。
「大丈夫にゃよ、レミロにゃん。良いことをすれば褒め称え、悪いことをすれば諌める、戒める。それが友にゃちってもんにゃろ? ミクリにゃんにはウチらを含め、友にゃちが一杯居るじゃにゃいの。にゃから心配無用にゃ。安心していいと思うのにゃん」
「周りに居る者次第でどうにでもなる……ですか。
なるほど、ミアン殿のいう通りかもしれません。『相手に遠慮していうべきことをいわない』では、確かに本当の友だちとはいえませんものね。……と、そういえば」
「にゃにか想い出したのにゃん?」
「ミロネも、『自分はミクリ殿の友だち』という自覚が足りない気がします。だから客観的な見方しか出来ず、自分がなにをすべきか、なにをしなければならないのか、との視点が欠けた考えしか思い浮かばないのかもしれません。ミクリ殿にこれといって意見をしないのもそれが理由でしょう。
とはいっても一概には責められません。わたくしも彼の立場でしたら同じかもしれませんしね。猛省すべき点です」
「レミロにゃんって、ミロネにゃんの観察もしているのにゃん?」
「いえ。影霊同士ですから、遠く離れていても彼の言動は手に取るように判るのですよ。
ふふっ。面白いですよ、彼は。たとえば、……そうそう。こんなことがありました。
いつだったか、調査の必要がありましてね。沼の中に潜ってもらうことにしたのですよ。
で、頭から飛び込んだまでは良かったのですが、運が悪いというかなんというか、真下の大きな岩に…………はっ!
済みません。いつの間にか話が脇道にそれてしまいましたね」
(ああんもう! 『岩に』どうにゃったのにゃん?
どうしてそこで我に返るのにゃん!)
今この瞬間、ウチの中では『心の葛藤』とやらが芽生えてしまったのにゃん。
『面白い話を聴くのにゃん!』の好奇心ムキ出しのウチとにゃ。『今はそれどころじゃにゃい!』の自制心丸出しのウチとがにゃ。互いに、ばちばちばちっ! と火花を散らし合っているのにゃん。でもって……、『にゃら、じゃんけんぽん!』の結果は、といえばにゃ。好奇心のウチは『パァー』を、自制心のウチは『チョキ』を出したのにゃ。
かろうじて自制心が勝ったことで、口にする言葉も相手の話と合わせたものに。
「うんにゃ。『霊穴路がだいぶ出来上がっている』っていう話をしていたのにゃん。
……にしてもにゃ。短時間で良くこれにゃけ造れたものにゃん」
「今も話したようにミクリ殿の指導力が為せる技でしょう。こちらの予想をはるかに上回るペースで進んでいます」
「うんにゃ。自分がやることをちゃんと理解していて、にゃんの迷いもにゃいのにゃら、すっごい力を発揮するネコにゃもん。ミクリにゃんは」
「どうやら、そのようですね」
「にゃあ、レミロにゃん。完成はどのくらいにゃの?」
「これまでの作業状況から察するに、あと四、五日ぐらいではないかと思われます」
「そんにゃにも早く……。
ウチものんびりとしてはいられにゃい。急いでネコダマを造り上げにゃいと」
霊華作戦の要であるネコダマはにゃ。実はウチの呪で造り出すのにゃ。他の仲間には出来にゃい代物にゃん。
「是非ともそうして下さい。今のままでも火口から出すことは出せます。しかし何分、放出するのは大量の霊力。地表近くに降り注げば大地震を誘発する恐れもないとはいえません。だからここは是非とも、出来るだけ空高く飛ばさないと、いえ、飛ばさなければならないのです」
そういってこちらに向けられたレミロにゃんの顔と口調は真剣そのもの。
「もちろん、そのつもりにゃ」
「であればここで造ったらどうです? ネコダマ内部の仕掛けも、打ち上げ時のシュミレーションも、ここでなら容易に出来ます。早く完成させたいのであれば、それが一番と思われますが」
にゃんとも有り難いお言葉にゃ。
「喜んでそうさせてもらうにゃん!」
意気込んで不用意に口走ってしまったのが裏目に。にゃん丸らが一斉に、
『ぷゆぷゆ。バンザァイ! バンザァイ!』と大喜びの体。みんにゃがみんにゃ、ひしっ、とウチに引っつく。たちまち埋もれる始末にゃ。
「た、助けて、レミロにゃああ……」
口さえ塞がってしまう始末にゃん。
(とほほ。ここへ来た時とおんにゃじにゃあ)
続きもまた、例によって例の如しにゃ。レミロにゃんの『はい、そこまで』に助けてもらう。ウチにとっては女神の声といっても過言じゃにゃい。
(にゃん丸らから救ってくれたレミロにゃんの為にも造らにゃければ……ふにゃ?
にゃんか違うにゃあ。にゃって、にゃん丸らは元々レミロにゃんの……)
所詮はネコ頭にゃ。あれこれ考えたら、わけが判らにゃくにゃってしまったのにゃん。
それでもにゃ。
「造らにゃければにゃらにゃいのは一緒にゃん!」
こうしてウチはネコダマの製作に本腰を入れることとにゃった。
「ああでも……そうにゃると当然、にゃん丸らの相手も」
ウチの目には映るは、当の妖体らが、ぷにゅぷにゅ、と燥いでいるさま。
はあぁうっ。
知らず知らずのうちに、深い深いため息が、口から零れていたのにゃん。
「保守空間に行きたいなぁ、とか思っていたんだけど……、やっぱやめとくわん」
「どうしてにゃ? ミーにゃん」
「にゃん丸たちのパワーに圧倒されそうだもの。
ミアンでさえあんなに大変なら、アタシなんかとてもとても」
「大丈夫にゃよ、ミーにゃん。にゃん丸ににゃって相手を選ぶ権利があるのにゃ」
「それって、どういう意味わん?」
「なんてことかしら……。ワタシがツッコミを遅れてしまう日が来ようとは夢にも」
「と、イオラにゃんの後悔を耳にしにゃがら、第十四話もおしまいにゃん」
『早っ!』




