第十三話『霊華作戦開始にゃん!』のその③
第十三話『霊華作戦開始にゃん!』のその③
そして……今に至るのにゃん。
「で? なにがどうなって、これからどうするのでありますかぁ?」
ミムカにゃんがこの言葉を発するまでの出来事をちょっとばかし振り返ってみるのにゃ。
全員が全員、いつもの如く復活したのにゃ。無事を喜び合ったそのあとは、これまた恒例の作業を展開。大っきにゃ木造りのちゃぶ台を野原のど真ん中へと運び込み、神聖にゃる話し合いの場を設けたのにゃん。
「はい、お茶ですよ」
「有難うにゃん」
取り敢えずはお茶タイムにゃ。ミリアにゃんが用意してくれるのもいつも通り。夢想に耽りがちで、ともすれば他の妖体に迷惑をかけてしまうこともある反面、こうした美点も少にゃからず覗かせてくれる。『相手の一面にゃけをとらえて、誰それはこうにゃ、と決めつけるのは間違いの元』を証明する見本のようにゃ存在にゃん。
ウチはネコ舌にゃもんで、やや温めの飲み物を頂くことにしているのにゃ。
ごくごくっ、と一気に飲み干し、『ぷわぁっ』と息巻いて間もにゃくのこと。
ばんばん! ばんばん!
大っきにゃ音が耳元に響いたのにゃ。ウチを含めてみんにゃがみんにゃ、おおよその見当はつくとみえ、一斉にそちらへと視線が注がれたのにゃん。
(ぶふふっ。にゃと思った)
目に映ったのは、無意味にちゃぶ台を叩き続ける親友の姿にゃ。
「みんなぁ! 情けないったらありゃしないわん!」
全員に注目されたことで目的は果たせたと思ったのにゃろう。叩くのをやめて今度は大声を張り上げたのにゃ。あたかもおのれの力を鼓舞するかの如くに、にゃん。
(相も変わらず威勢のいいミーにゃんにゃ)
「爆撃弾の『大変だわん』を一つ二つ食らったくらいで、そんなに、だらぁっ、としてどうするわん!」
「ミーにゃん、あんた……」
『開いた口が塞がらにゃい』とはまさにこのことにゃん。
(ずいぶんと無茶苦茶にゃことをいうにゃあ。
一体全体、誰がやったと思っているのにゃん)
もちろん、おくびにもそんにゃことはいわにゃい。でもにゃ。みんにゃも思いはおんにゃじみたいにゃ。どの顔にも、『いい加減にして欲しい』『少しは遠慮して』といわんばかりの表情が浮かび上がっていて思わず哀れを誘う。そしてそれに全然気がつかにゃい、いや、気がつかにゃいフリの出来るところが、ミーにゃんのすごさともいえるのにゃん。
「さぁ。四の五のいわずに会議をおっ始めるわん。先日の会議に議題として持ち上がった、『天空の村は沈むのか?』。今日はこの続きをやるわん」
会議の出席者、ミーにゃん同盟の面々から、『あれ、会議だったんだ』『ただのお喋りじゃなかったの?』『自覚が全然ありませんでしたねぇ』『ヨモギ団子が食べたいのにゃん』『ここだけの話ですけどね。実は』『手に入るのか?』にゃどのオツムを使う必要の全くにゃい自由気ままにゃ意見が飛び交う。
「お黙りわん!」
議長からのにゃんとも厳しい声。誰もが口を噤み、しぃぃん、としたのにゃ。
(みんにゃ、つき合いがいいのにゃあ)
とまぁここでにゃ。やっとこさ、先に話したミムカにゃんの言葉、
『で? なにがどうなって』へと辿り着いたのにゃん。
もちろん、ウチと一緒にヴィナにゃんのところへ行ったのにゃから、『なにがどうなって』の部分を知らにゃいはずがにゃい。にゃのに、あえて口にしたのは、他の友にゃちへの説明を促す方便かもしれにゃい。そう思ってツッコミを入れるのはやめたのにゃ。
「さぁモワン!」
いきにゃり議長から、誰かへの名指しにゃ。
「奮闘努力の甲斐あってアタシがつかんだ情報を、その他大勢に話してわん!」
しぃぃん。
誰も口を利こうとはしにゃい。たにゃたにゃミーにゃんへと視線が注がれるのみにゃ。
「あれっ? ……ええと、ええと」
戸惑いを隠せにゃいでいるらしい。うろたえているかの如く、顔を、きょろきょろ、と動かしっ放しにゃ。こういう困ったあとの動作はいつも一緒。向かい側に座っているウチのそばへ、ぱたぱた、と飛んできたのにゃん。
「ねぇ、モワン。なんで黙っているのわん?」
ウチには解せにゃい。『奮闘努力の甲斐あってアタシがつかんだ情報』も然ることにゃがらにゃ。生まれてから今に至るまで、幾ら口を酸っぱくしていっても、ずぅっ、とウチの名前を誤解し続けているこの現実を。
「誰にゃん? モワンって」
「だぁかぁらぁ」
当然の如く、といった感じでこちらを指差す。にゃもんで、当然の如く、かちん、ときたのにゃ。
「ウチは『モワン』じゃにゃい!」
ミーにゃんは、はっ、とした表情を。でもって、『間違えたわん』の言葉のあとには、舌を出して、ぽっ、と赤い顔にゃん。
そして……、『今度こそ正解』とばかりに胸を張ってウチを指差して叫んだ言葉が。
「モワンモワン!」
ばたあっ。
ウチは思わず、ちゃぶ台の上に突っ伏したのにゃ。
(親友にゃのに。こっちこそ、情けにゃいったらありゃしにゃい)
こうにゃれば自分で訂正するしか道はにゃい。
「ミーにゃん。ウチは『ミアン』にゃ」
「あっ!」
聞こえてきたのは、『やっと想い出したわん』といわんばかりの短い叫び。でもにゃ。続く言葉がこれまたいけにゃい。
「そうともいうわん」
「それしかにゃい」
ダメ出しをしにゃければにゃらにゃい自分が、これまたにゃんとも可哀想でたまらにゃいのにゃん。
ミーにゃんとのぐだぐだにゃお喋りはここまで。
(ウチにはやらにゃければにゃらにゃいことがあるのにゃ。
いよいよ、この会議最大の見せ場。肝心要の報告にゃん)
椅子の上では物足りにゃい。にゃもんで、ちゃぶ台の上へと飛び移ったのにゃ。見れば、みんにゃの視線がこちらへと注がれている。これから口にする発言の重大さを噛み締めた途端、今までに味わったことのにゃいプレッシャーを感じたのにゃ。緊張感が身体の隅々まで駆け巡る。身体が強張ってくるのが自分でも判るのにゃ。
(いけにゃい。このままでは、いいたいこともいえにゃくにゃってしまう)
少しでも緊張感を和らげようと、先ずは深呼吸。続けて四つ足を踏ん張らせ、ぶるぶるっ、と武者震いをしてみたのにゃ。身体をわずかでも動かしたのが功を奏したのにゃろう。緊張感が吹っ飛ぶ、とまではいかにゃいにしても、気持ちが少しは落ち着いたみたいにゃ。
(よぉし、これにゃら)
ウチは意を決して口を開いたのにゃ。
「先ず最初にやったことはにゃ」
そういって、ペンダントに収めにゃければにゃらにゃい五つの宝玉が揃ったいきさつとか、あと、ヴィナにゃんとの出逢い、及び会話の内容にゃんかも、ネコ相応の理解の下、ごく大ざっぱに説明したのにゃん。
またまた、ほんのちょっと余談を。ここから先、ウチらミーにゃん同盟の間では、ヴィーナスにゃんをヴィナにゃんと呼ぶことで統一したのにゃ。
話し終わって一息にゃ。
(こんにゃもんで、みんにゃに判ってもらえたにゃろうか。ちょっと不安にゃ。
……まっ、それでも話したいことは一応、話せたから、良し、としようにゃん)
「というわけでにゃ」
ここいらで、ミムカにゃん……今日は翅人型の姿にゃ……から、『「というわけ」ってどういうわけでありますかぁ?』にゃどの空気を読まにゃいツッコミがくるのでは? にゃんて内心、はらはらどきどき、していたのにゃ。でもにゃ。有り難いことにそれはにゃさそう。心底、胸を撫で下ろすとともに、続く言葉も自信溢れるものとにゃったのはいうまでもにゃい。
「今日、ここに集まってもらったのは他でもにゃい。みんにゃに是非とも解決策を決めて頂きたいのにゃん!」
ウチは高らかに声を張り上げたのにゃ。
「ウチはモワンじゃにゃい。ミアンにゃ」
「んもう。判っているわん。あれは幼児の頃の話だわん。
あっ。そうだ。
ねぇ、ミアン。ミアンはアタシの名前はちゃんといえるわん?」
「ミーにゃんにゃろう?」
「違うわん。普通に名前をいって欲しいわん」
「はて? イオラにゃん。にゃんにゃったっけ?」
「ミーナちゃんよ」
「にゃって、ミーにゃん」
「あのね……。アタシが忘れたわけじゃないわん!」




