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第一話『村の一大危機にゃん!』のその②

 第一話『村の一大危機にゃん!』のその②


 のっし。のっし。

 重厚にゃる毛並みでふっくらとした自分の身体を持て余しつつ、ウチは親友へと近づいた……のにゃけれども。

(はて? にゃんにゃろう?)

 ふと妙にゃ雰囲気が周りに漂っているのを感じたのにゃ。にゃもんで、きょろきょろと頭を動かしてみる。一目瞭然にゃった。友にゃちの誰もがミーにゃんへと視線を注ぎ、口をとがらせているのにゃもん。口にこそは出さにゃいものの、『自分だってごろごろしていたじゃないか』と心の中で不満を訴えているのが、どの目からもありありと。でもって、ちらちら、とウチのほうを見るまなざしからは、『なんかいってやれよ』との期待が、ひしひしと伝わってくるのにゃ。

「ごめんにゃ。ごめんにゃ」

 小声で呟きにゃがら頭をちょこっと上下しつつ、友にゃちの間を拭うように通っていく。

 これらの視線を全く気にしにゃいでいられるのがウチの親友のすごいところにゃ。いや、気がついてはいるのにゃろうけれども、自分の意識をあさってのほうに向けることで深く考えるのを回避しているのにゃ。誰かからか学んにゃわけじゃにゃいことは、生まれてから、ずぅっ、とそばに居るウチが一番良く知っている。

(とにゃれば……そうにゃ。天性の才能にゃ。そうに違いにゃい!)

 こうみえてもウチはデリケートにゃ心の持ち主。とても出来にゃい芸当と舌を巻くしかにゃいのにゃん。


「どうしたのにゃ? ミーにゃん」

 声をかけてみたらにゃ。可愛いほっぺを、ぶくぅっ、と。脹れっ面をしてみせたのにゃ。不満があるからにゃのにゃろうけれども、とぉっても可愛いのにゃん。いつまでも見ていたいくらいにゃ。

「今アタシはものすっごく感動したいわん。心ときめくものを目の当たりにしたいわん」

(またまた無理難題をふっかけてきたのにゃあ)

「そりゃまたどうしてにゃん?」

「どうして? 感動するのに理由なんて要らないわん」

(うんにゃ。確かに)

「でもまぁ強いていえば……」

「にゃにかあるのにゃん?」

「昨日のイオラの闘いを見てつくづくそう感じたの。イオラばっかりにいい思いはさせないわん。びっくりするものを演出してイオラの度肝を抜いてやりたいわん」

(創造主に対抗意識を燃やしてどうするのにゃん?)

 そうツッコミたいところにゃ。でもにゃ。直ぐに思い留まったのにゃん。

(難題にゃのにゃけれども……、ウチとミーにゃんは、ずぅっ、とおんにゃじ棲み家、精霊の間で暮らしてきた間柄にゃ。ここは一つ、願いを叶えてあげられるように尽力してみたらどうにゃろう)

 親友にゃもん。こんにゃ考えにウチが傾いていったのも、ごく自然のことにゃと思う。

 たにゃ……それには。

「ミーにゃん。出来ればにゃ。もうちょっと具体的にいって欲しいのにゃけれども。

 一体全体にゃにをどうすればいいのにゃん?」

 当然誰しもが口にするであろう言葉を喋ったのにゃ。ところがにゃ。

「それを考えるのがミーにゃん同盟の使命だわん!」

 胸を張って、にべもにゃくそう告げられてしまったのにゃん。

「といわれてもにゃあ」

(ミーにゃんったら、この面子にどんにゃ期待をしているのにゃろう?)

『一度オツムの中身を覗いてみたい』との思いに駆られることもあるのにゃけれども……、

 実際に、ぱかっ、と開いてみて、にゃんにもにゃかったらそれこそ可哀想。にゃもんでやらずにいる昨今にゃ。

「にゃにか一つでもヒントが欲しいのにゃけれども」

 ウチは食い下がってみる。でもにゃ。ミーにゃんの返事はあっけらかんとしたもの。

「ヒントならいったわん。『心ときめくものを』って。

 さぁここがモワンの腕のみせどころよ。ものすっごく期待しているわん!」

(ウチの? あのにゃあ。ネコにプレッシャーをかけてはいけにゃいのにゃよぉ)

 このままでは遠からず、オツムの病院行きにゃ。たにゃあいにくと、そんにゃもの森のどこにもにゃいのにゃけれども。

(そういえばオツムとオムツって似ているのにゃん。……ってどうでもいいにゃん!)

 誰か助け舟を、とばかりに周りをきょろきょろと見回すも、全員が全員、他力本願。ウチの返事を固唾を呑んで待っている。ミーにゃんとおんにゃじように期待しているのにゃ。

(ミーにゃん専門の担当窓口とにゃった覚えはにゃいのにゃけれども。

 ふぅ。あっちはあっち、こっちはこっちで困ったものにゃん)

「にゃあ、ミーにゃん」

 ウチが説得を試みようとした矢先にゃ。ミーにゃんの全身が、ぴくん、と動く。と同時に、ウチのお喋りをとめる仕草も。右手をかざして、『待って』とのお言葉にゃん。

 顔を覗いてみれば、目は大きく見開かれ、口からは『イオラ?』との呟きが。

(どうやら創造主から霊覚交信が届いたみたいにゃ)

 とはいえ、いつもとは少しばかり勝手が違うようにゃ。

 ええと、にゃんというかぁ……そうそう、『緊張感を漂わせてきた』との表現がぴったりかも。全身を強張らせた感じで、俯いたまま黙りこくってしまったのにゃん。


 霊覚交信。……話し手側が霊力を通して送った心の言葉を、聴き手側が『霊覚』という霊体特有の感覚で受け留め、心に置く。心と心で語り合う伝達手段にゃ。届く範囲は霊体が持つ力次第。天空の村全土に伝えられる者も居れば、森の中にゃけという者も居るのにゃん。


 しばし時が流れる。……と突然。

「大変だわああぁぁん!」

 びゅううぅぅん!

 急ぎの用事みたいにゃ。ミーにゃんが緑色の光弾とにゃって飛んでいく。にゃもんで、視界から遠ざかってしまったのも、あっという間にゃん。

(にゃにかあったのにゃろうか?)

 たにゃたにゃ呆然と見送っていたウチに、友にゃちのひとりが声をかけてきたのにゃ。

「ねぇ、ミアン君。ミーナ君はどこに行ったのぉ?」

 ミクリにゃんはウチが知りたい質問をぶつけてくる。当然、返事は。

「知らにゃい。にゃって『大変』としかいわにゃいのにゃもん」

 てっきり直ぐに帰ってくるものとばかり思っていたのにゃ。ところがにゃかにゃか。このまま、ぼけぇっ、と突っ立っているのもにゃんにゃので、その場に蹲ってひと眠りすることにしたのにゃん。

「誰でもいいのにゃけれども、ミーにゃんが帰ったら起こしてくれにゃいかにゃあ?」

 すかさず仲間のひとりが、『はぁい』と手を上げたのにゃ。

「ミムカにお任せあれ、でありまぁす」

 応じてくれたのは白地に黒い縞模様の美しいネコ型姿の妖体にゃ。翅人型へと転じる能力も持ち合わせていて、その際の器量は容貌も含め、あのミーにゃんですら、ライバル視するほどの……ってそんにゃこと、どうでもいいにゃん、ウチには。

「うんにゃ。じゃあ、頼むにゃよ」


「風雲急を告げる展開にゃああぁ!」

 ちらちらっ。

「波乱の幕開けだわぁん! もうこうなると、目が離せないわぁん!」

 ちらちらっ。

「……ねぇ、ミーナちゃん、ミアンちゃん。ワタシになにを期待しているの?」

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