第一話:ダメ人間
『嗚呼…ダルい…』
毎日がこんな一言で始まり、こんな一言で終わる。
朝起きて、まずすることといえば長い付き合いのSevenStarsにお気に入りのオイルライターで火をつけること。
肺に煙をおくり、自分の不甲斐なさと一緒に吐き出す。
僕は田舎から上京してきた一人暮らしの大学生である。
偏差値40を下回る、お金さえ払えば誰でも入れるような大学の四回生である。
就活はしていない。
ミュージシャンになりたいとか、漫画家になりたいとか、そんな壮大な夢があるわけじゃない。
ただ、働きたくないだけのゆとり世代の代表である。
こんな奴だから、アルバイトもろくにしたこともない。
何でも『面倒くさい』で終わらせてしまうので、彼女もいた試しもない。
そのくせ、『彼女欲しいなぁ…』とか『何か楽しいことないかなぁ…』といつも呟いているどうしようもない典型的なダメ人間。
こんな【貧乏無気力童貞】という名の粗大ゴミでも、人間誰しも何か一つは良いところがあるもので、やたらと友達が多い。
授業の単位は足りているのに、暇つぶしのため毎日大学に通っているのはこのためでもある。
仕送り前でお金が無く、財布の中が少子化問題でも、ご飯やジュースをおごってくれる友がいる…
煙草が無くなれば、『仕方ないなぁー』と微笑んで、煙草を差し出してくれる友がいる…
『お金が無くても、生きていける』
これが僕の口癖になった。
人の優しさは、僕の心を糖尿病にした。
無邪気な優しさは人をダメにする。
今日もまたダラダラと煙草の煙のように人生を謳歌するのだろう…
例え、母親に『銭食うだけの野良猫』と罵られたとしても…