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鬼の懺悔
私はあなたを守れなかった。
あなたにずっと、立ち直って欲しいと思った。
あなたは悪くない。何も悪くない。
度々あなたに話しかけ、あなたの氷を解かそうと必死だった。
でもそれは、通じなかった。
あなたは、死んでしまった。
救えなかった。
私は、自分の無力さを呪った。
そして、失われてはいけない命を消した、あいつらを憎んだ。
でも、何も出来ない。
私は何も出来なかった。
それどころか、背を向けるように私は故郷を離れた。
耐えられなかった。
でも、あなたは私を責めなかった。
“僕のお願いを、聞いて欲しいんだ”
あまつさえ、私を頼りさえしてくれた。
何でもする。もう逃げない。
あなたの為に。
“あいつらを、消して欲しいんだ”




