表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
凍り鬼  作者: greed green/見鳥望
六章 誘う手
52/70

(9)

 何なんだ一体。どうなってるんだこの事件は。踏み込めば踏み込む程、今までの常識が簡単に覆っていく。

 ここまではまだ何とか頭を整理しながらやってこれた。だがとうとう、動く死体なんてものが現れた。いくらなんでも無茶苦茶すぎる。死人が動くだなんて、もはやホラー映画じゃないか。ゾンビや幽霊だとでも言うのか。でもこれは影裏という正式な部署によって出された答えだ。つまりは事実だ。それ以上でもそれ以下でもない。


「うー……」


 私は思わず頭を抑えてうなった。


「大丈夫?」

「……ちょっと時間をもらえれば」


 とは言え、受け入れる事しか許されない結果だ。うなった所でどうにもならない。この結果を軸として動いていかなければならない。


「これは確かに、難しい問題だね。僕も死人が動くケースには出会った事がないからね」

「そうなんですね」

「だからと言って、ないがしろにされるのはどうかと思うけどね」

「どういう事ですか?」

「この件、一度影裏案件になったにも関わらず、最終的には通常の警察の処理に引き渡されているんだ。つまり、影裏で解明出来ずに終わっているという事だ」

「……まさか、未解決で処理されてるんですか?」

「許されない事だけどね。けど、確かにそうなってしまう案件がないわけじゃない。有耶無耶にされて終わってしまっているケースもあるにはある」

「そんな……」

「そのツケが巡ってきているのかもしれない。当時に解決していれば、今これだけの死人が出る事もなかっただろう。これは、影裏の面目という意味でも、絶対に解決しないといけないね」


 先人の尻拭いか。全く、情けない話だ。だがそんな事は私の知った事ではない。いくら今さら過去の手抜きを罵った所で何も解決はしないのだから。


「それと、妹尾先生の事についても少し分かったよ」


 彼女の経歴が少しだけ分かった。妹尾先生は茅ヶ崎教頭が猪下小を離れた後、程なくして彼女も小学校を離れていた。それがちょうど武市君が死んだ年の事だった。


「そろそろ、出戻りですかね」

「いや、三原君について確認してからだね。同じ出身なら実家もこちらのはずだ。それに神山君もだ。戻るのはそれからだね」

「あ、はい」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ