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凍り鬼  作者: greed green/見鳥望
六章 誘う手
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鬼の焦燥

 もう少し。もう少し。もう少し。


 なのに。どうしたのだろう。


 あなたの声はまだ来ない。


 あなたの手紙はまだ来ない。


 時間がかかっているのだろうか。


 ここまで来たんだ。


 一刻も早く、あなたの想いを成し遂げたい。


 こんなに近いのに、あなたはとても遠くにいる。


 身近にいるのに、遥か彼方にいる。


「会いたい」


 会って、何を話す。会って、どうするのか。


 まずは、謝罪だろうか。


 安っぽい言葉しか紡ぐ事が出来ないような気はするが、それでも最初の言葉はそれだ。


 自分に出来る事。


 とにかく今は、それしかない。


 あなたに会えるのだとしたら。


 早く。


 だから、早く。


 早く、あなたの無念を晴らさせて。


 あと。


 もう一人だけなのだから。


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