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凍り鬼  作者: greed green/見鳥望
五章 氷と鬼
35/70

鬼と文

“ありがとう。本当に感謝してます。でも後もうちょっとだけ。もうちょっとだけだから”


 あの手紙がまた届いた。

 

 もう少し。もう少し。

 そうだ。あともう少し。

 ここまで来た。

 後は。


 最初は信じられなかった。夢でも見ているのかと思った。この手紙も、そして実際に目の前で起きた事も。


“僕のお願いを、聞いてほしいんです”


 彼の手紙が、私を長い眠りから再び呼び起こした。


 そこから全てが始まった。

 

 私は確信した。

 

 これは、神が私にくれた機会だ。遠き日に救えなかった想いの。

 

 彼の意志は間違いなく生きている。


 私は、彼の想いに応えるのみだ


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