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鬼の魂
一体何が起こった。
これは何だ。
何でこんな事になってる。
俺は、俺は確か。
自分が今いる場所は同じだ。
だが見ている景色は、つい先程までのものと全く違う。
目の前で泣いていたはずのあいつの顔がない代わりに、今はあいつの頭を見下ろしている。
なんだよこれ。
なんなんだよこれ。
その時、
『急げ』
声がした。そんな気がした。
それは、自分に良く似た声だった。
眼下の光景を確認する。
――そうか、そういう事なのか。
急がないと。
本能的に意味を読み取った。
後は、選ぶだけだ。
どうする。どうする。
そして、俺は決めたのだ。
今後の生きる為の道を。




