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凍り鬼  作者: greed green/見鳥望
四章 痛み
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鬼の起点

 懐かしい場所だ。

 久々に訪れた土地で感慨に耽りながらも、自分の足は道を違う事無く一直線に向かうべき道を進んで行く。

 

 定期的にこの土地には赴くようにしていた。帰省という名目もありながら、本来の目的は確認だった。

 あれは今年も無事だろうか。そう思いながら何年間も過ごしてきた。


 頭から離れる事はなかった。

 自分が咄嗟に思い付いた行動が、ここまで自分を縛り付けるとは思っていなかった。年々鎮火していくものかと思った。だが、そんな事はなかった。


 この世に生きて、自分という者が他人を介して映し出される度に、憎悪に似た黒く蠢く感情が身体の内で波打った。


 違う。違う。


 誰にも分からない。

 誰にも理解されない。

 理解されるわけもない。

 信じるものなど誰もいない。


 だが、ようやく解き放たれる時が来たのかもしれない。期待と希望。今自分を動かしているものはそれだった。


 記憶のタイムカプセル。

 大事に残してきたもの。


 目的の場所に辿り着いた。

 誰も寄りつかない廃屋。だが潰されずに残されてきた不要の遺産。

 いつでもここはよく冷えている。

 シートをめくりあげ、一つの木箱を開ける。

 

 ちゃんと残しておいた。

 いつ見ても不思議だ。やはりこれは特別のものなのだと思う。

 嬉しさと憎しみが平等に心で融合する。

 そのどちらをも満たし晴らす為のものが、ここに収まっている。


「出番だ」


 証明と復讐と懺悔の為に。


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