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鬼達の笑み
もうすぐチャイムがなる。お遊びはおしまい。
グラウンドに出ていた大勢の生徒達が一斉に校舎内に戻っていく。私達は走りながらも後ろを振り向き、その姿を見てぷふっと吹き出した。
なんて面白い絵なんだろう。何人かの他のクラスや学年の生徒達は、異様なものでも見るようにその姿を見るが、足を止めては授業に遅れるので、結局皆下駄箱へと急いでいく。
「うまくいったな」
なおくんが私に笑いかけた。私も同じように笑い返す。
「ほんと。完璧だね」
後ろにいたカネ達も笑っていた。
バタバタと教室に戻ると、既に先生が教壇の上で準備を始めている
私は窓際の自分の席に座り、国語の教科書とノートを机の上に並べる。準備をしながら私は窓の外をちらりと確認する。私は思わず笑い声が漏れそうになるのを堪える。
誰もいないはずのグラウンドに残る姿。
「あれ、武市君はまだ戻ってないの?」
先生の声に笑いを堪える限界を超えそうになる。
右に目を向けると、こおりのメンバーが私の方を見ていた。
皆、笑っていた。




