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凍り鬼  作者: greed green/見鳥望
第一章 影裏
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(1)

 正義。

 自分が属する場所は、正義の証明であり象徴だ。

 度々考えてきた。自分が身を置くべき場所は、本当にここで合っているのだろうか。

 違和感がなければそんな事を考える必要もない。それ即ち合っていないという事の証明だ。

 だがもうそんな事を考えるのも止めた。私、安部美樹やすべみきにとって警察と言う場でしている事は、正義とは程遠い。客人へのお茶くみと書類整理。やっている事は一般企業のOLと変わらない。


 しかし驚く事なかれ。そんな私だが、なんと肩書き上は刑事なのだ。そう、憎き犯人に手錠をかける存在なのだ。だが赴任してもうすぐ一年。私はほとんど現場に出た事がない。

 それは一重に、ゆとりと揶揄されるやる気の無さゆえだ。

 そもそも最初から確固たる意志があったわけでもない。今時会社なんていつ傾いて潰れるか分からない。そんな所に入るぐらいならもっと安定した地盤の上に居座る方がいいに決まっている。


 警察。

 まあ、いろいろと言われたりする部分もあるがそれでも手堅いに越した事はない。そんな正義とは程遠い理由にも関わらず、試験の内容をパスした私は正義の匣に迎え入れられた。そして私の本性が爆裂した。


 ゆとり刑事。


 やる気なし。気力なし。その癖に生意気で屁理屈。

 反論する気もない。そう嫌味を言われる度に、あなた達大人がそうしたんでしょと平然とした顔で言い返してやった。この面の皮の厚さがなければとっくにクビになっているだろう。だがそうはならない。

 現場に出て何かを成す事に興味もなければ努力を注ぎ込もうとも思わなかったが、事務業務については誰も口を出さなかった。私は残念ながら無能というわけではない。あくまでやる気がないだけ。現場よりもデスクワークで金をもらえるならそっちに越したことはない。というわけで私は大量の書類の処理に勤しむ毎日を過ごしている。

 

 悪とは無縁。穏やかと呼ぶには忙しい日々ではあったが、それなりの平和を維持していた。

 

 だが、その平和は唐突に崩れ去り、最悪の日々が始まった。


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