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凍り鬼  作者: greed green/見鳥望
二章 死人の手
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 夜というのは良い。

 この暗さが、この黒さが。

 自分が今から為そうとする事を、包んで隠して見逃してくれる。

 月光の淡い光が、それでいいんだよと抱えきれない負を癒してくれる。


 この時間だ。

 この時間、ここにいる。

 確かな情報を何度も頭で反芻し、その瞬間を予行する。


 うまくいく。

 分かっている。

 二人もそうだった。

 何も落ち度はなかった。


 分かったところで、何も出来ない。

 なぜなら、そんな事はあり得ないから。


 いた。

 いた。

 いた。


 見つけた。

 気付いていない、無防備な背中。

 

 後ろに鬼がいるとも知らずに。


「お姉さん」


 声に彼女が振り向く。

 分かる。この顔を覚えている。

 

 彼女はこちらに訝しげな視線を容赦なく送る。

 だがやがて、はっと目を見開く。


 こちらに気付いたらしい。

 意外と皆、憶えてるものだ。


 でも、お前と喋る事は何もない。


 彼女にその手を伸ばす。

 触れた瞬間、彼女の体は一瞬にして固まる。


「コオリオニ」


 脳に吹き込むように口ずさむ。


 彼女の頭に、彼の姿は浮かんでるだろうか。


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