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特別補講 3

愛知県


 中部地方、東海地方の中心に位置する県。

 面積5,165.16km²

 人口7,435,247人。

 日本第三の都市、名古屋を擁する、物作りの土地。

 県は大まかに、名古屋市を含む尾張、豊田市、岡崎市を含む西三河、そして豊橋市を含む東三河に分かれる。

 織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった戦国時代の主要な武将を輩出した要地であり、江戸時代、尾張は徳川御三家の一つにもなった程である。現在では、豊田市は天下のトヨタグループのお膝元として発展し、モータリゼーションが発達した。名古屋の車道の広さは、ちょっと異常である。

 また、名古屋は東京とも大阪とも違う、独特の文化を発達させたことでも知られている。

 開店の時に店前に置かれる花輪の花は、持っていくのが当たり前。それが繁盛の縁起担ぎとされる。

 喫茶店が大好きで、モーニングセットの豪華さは、やっぱり異常。普通にコーヒーを頼んだだけでも、何かしらの軽食がついてくる。

 ――このように、色々と独特な文化を持つ愛知県ではあるが、食文化においては、特にそれが顕著である。天むす、味噌カツ、味噌煮込みうどん、きしめん、小倉トースト、ひつまぶし、手羽先、味噌おでん、台湾ラーメン、スガキヤラーメン――枚挙に暇がない。が、まあ、基本、味噌とあんこが好きと思ってもらって間違いはない。あと、エビフライが好き。

 愛知県人の県民性としては、とにかく堅実で保守的、合理主義で現実主義、個人主義で見栄っ張りと言える。また、身内意識が強く、よそ者には心を開かない。優秀だが、付き合いにくいと言われる所以である。名古屋弁、三河弁は有名だが、余所に行くとあまり喋らない。と言うか、自分が方言を話すと思っていない。実際は、細かい点で標準語とは違っているのだが……。

 金銭感覚については、次の項目で詳しく話すとしよう。


【もし静岡県民がドラゴンズの本拠地、名古屋で買い物をしたら】

 愛知県民は、お金にがめつく、ケチだと言われている。

 確かに、貯蓄大好き(ただしタンス預金)で、店では値段交渉が当たり前。店側も、値切られるのを想定して値段設定しているので、温厚で従順な、例えば静岡県民が下手に買い物に行ったりすると、えらい目に遭う――などと言う話が語られるほどである。

 しかし、単純にケチと判断するのは早計である。

 愛知県民も、使う時には使う。結婚式が派手なのは有名で、冠婚葬祭などの、『ここぞ』という時には惜しみなく金を使う。お金の使い所を分かっていると言うか、堅実と言うか――とにかく、愛知県民の経済感覚は郡を抜いて高いのである。

 報酬は労働と対価であり、値段はモノの価値と同等であるべきだ。

 彼ら彼女らは、『お値打ち』という言葉に弱い。ブランド品は好きだが、それは商品の質が高いことを認めていることの現れにすぎない。愛知県民こそ、モノの真の価値を探求している県民なのかもしれない。

 

【いただきじゃんだらりん】

『~じゃん』という言葉について、考えてみたい。

『~じゃないか』『~じゃないですか』という意味のこの言葉――貴方は、その発祥を知っているだろうか。

 かつては、東京弁の一つとして捉えられていたように思う。

 少し前までは、横浜弁の一つとして考えられていた。

 今では、ほぼ標準語――どちらかと言えば、若者言葉――になっている。そして、結構の割合で、それが横浜弁(浜っ子言葉)発祥だと思っている人がいるのだ。

 これは頂けない。

『~じゃん』は、決して横浜発祥の方言ではない。かの地でこの言葉が使われたのは昭和の中頃で、比較的新しい。この言葉は、余所の地域から流れてきた言葉なのである。では、その地とはどこか。言うまでもない。神奈川と隣接する、静岡・山梨である。現に、両方の土地では、今も普通に使われている。では、静岡・山梨が『~じゃん』発祥の地かと言うと――それも違う。

 三河地方だ。

 三河弁と言えば、『じゃん・だら・りん』である。

『~だら』は、静岡弁でもお馴染みだ。『~だろう』『~でしょう』という意味がある。

『~りん』は、『~しろ』『~しなさい』の意。

 そして、『~じゃん』である。

 横浜まで伝わったこの言葉は、本来、この地が発祥の地であるという説があるのだ。

 もちろん、説は説で、本当のところは分からない。

 しかし、横浜特有の言葉などとは、間違っても思ってはいけない。

 それだけは、覚えておいてもらいたい。


 ――では、簡単に各自治体紹介を。


名古屋(なごや)

 日本第三の都市。政令指定都市で、中京圏の中枢。

(さかえ)』と名駅(めいえき)に巨大な繁華街を形成している。


豊田(とよた)

 トヨタグループお膝元の企業城下町。

 かつては『挙母(ころも)市』という市名だった。


豊橋(とよはし)

 東三河の中心地。かつては吉田と呼ばれていた。

『ヤマサ』ちくわ、ウズラの卵が名産。

 最近は、豊橋カレーうどんをB級グルメとして推している。


岡崎(おかざき)

 八丁味噌の産地で有名な、味噌の町。

 徳川家康(幼名・『竹千代』)生誕地としても知られている。


春日井(かすがい)

 名古屋市北部の都市。サボテン栽培と工業が盛ん。

 平安時代の『書道家・小野(おの)道風(みちかぜ)』の出身地。

 花札、柳の20点札に描かれているあの人だ。


一宮(いちのみや)

 名古屋北西の都市。繊維の町である。

真清田(ますみだ)神社』が『尾張国の一之宮』とされ、市名はここに由来する。


瀬戸(せと)

 名古屋市北東の都市。『瀬戸物』でお馴染みの、陶磁器の町。

定光寺(じょうこうじ)』が重要文化財となっている。


豊川(とよかわ)

 豊橋市北西の町。『豊川稲荷』が有名。

 稲荷寿司をB級グルメとして売り出している。


田原(たはら)

 豊橋市の西、『渥美半島』に位置する海辺の町。

 トヨタの工場がある他、ブロッコリーや電照菊などの栽培が盛ん。


新城(しんしろ)

 豊橋市の北部、山に囲まれた町。

 2005年、『鳳来(ほうらい)町』、作手(つくで)村と合併。



神奈川県

関東地方の西南に位置する県。

 面積2,416.04km2

 人口9,083,839人。

 大都市横浜市を擁する、関東地方のナンバーツー。人口、人口密度、県内総生産のどれをとってもトップレベル。国内で唯一、横浜市、川崎市、相模原市といった三つの政令指定都市を持つ。

 横浜、川崎は京浜工業地帯の一角を占める。茅ヶ崎、藤沢などはサーフィンや海水浴などの観光客で賑わい、箱根は山深く、鎌倉は古都の佇まいを見せる――と、一つの県で様々な顔を見せる。

 県民性としては、クールでお洒落、開放的で社交的な反面、プライドが高く、ドライで個人主義な面があると言われている。都会的で洗練されているが、ナルシストな一面があって、割と恥ずかしい台詞を普通に言ったりする。純朴な静岡・山梨県民は赤面するばかりだ。東京への対抗心は強い。が、プライドの高さ故か、表向きはそう見せていない。



【とある地方の町制施行(スローガン)

 一つだけ言っておく――神奈川県は『横浜県』ではない!

 横浜の存在が偉大すぎて、神奈川出身者はかなりの割合で「横浜出身です」と言ってしまう傾向にある。しかし、仮に他の市町村の名前を出しても、離れた地域の人間には伝わらないことが多々あり、「神奈川です」と言ったところで「ああ、横浜の……」と言われてしまうのだけれど。前述の通り、他の地域もなかなかに個性的なのに……。もっとも、これは愛知(=名古屋)にも言えることである。その地区の中心地で、県名と違う場所の宿命なのだろうか……。


 それでは、簡略化した市町村紹介。


横浜(よこはま)

 県庁所在地で政令指定都市。国内の市町村人口ナンバーワン。

 関内や横浜駅周辺、横浜『みなと』みらい21などが中心地区。

 中華街や赤レンガ倉庫など、多くの観光地がある。


川崎(かわさき)

 県ナンバーツーの政令指定都市。

 京浜工業地帯に位置していて、重工業を中心に発達した。かつての『等々(とどろき)』の一部で、現在もスポーツ施設などの名称に残っている。


相模原(さがみはら)

 神奈川第三の政令指定都市。『神奈川都民』の住むベッドタウン。

『潤水都市さがみはら』をキャッチコピーとしている。


湯河原町(ゆがわらまち)

 神奈川県南西部に位置する温泉街。

 静岡県熱海市との結びつきが強い。


箱根町(はこねまち)

 南西部、『天下の険』と謳われた箱根峠の東側に位置している。

 温泉の他、芦ノ湖や美術館などのある、一大観光地である。


鎌倉(かまくら)

 南東部、三浦半島の付け根に位置する古都。

高徳院(こうとくいん)』の鎌倉の大仏が何よりも有名。


藤沢(ふじさわ)

 南部中央に位置する観光地。

 湘南の中心地で、有名な『江ノ(えのしま)』を擁する。


小田原(おだわら)

 南西部に位置する、かつての『小田原城』城下町。

 かまぼこや小田原ちょうちんが有名。


遠江(とおとうみ)甲信越(こうしんえつ)


山梨県

 中部地方に位置する県。甲信越の一つ。

 面積4,465.37km2

 人口844,320人。

 高い山々に囲まれた土地で、ぶどうや桃などの果樹栽培が盛ん。

『甲斐の虎』と呼ばれた武田信玄を崇め奉っている。

 うどんじゃなくてほうとう。

 レバーじゃなくて鳥もつ。

 ワインじゃなくてぶどう酒。

 信玄じゃなくて信玄公。

 富士山は絶対に静岡には渡さない!

 山梨県人の県民性としては、とにかく真面目で仕事熱心だが、我が強く、アクが強く、自己主張が強い。忍耐強く、優秀で頭もいいが、県外のグループでは、若干浮きがち。しかし、仲間内での団結力はピカ一である。仲間内でお金を融通し合う『無尽(むじん)』というシステムがあり、現代でもある種のコミュニティとして機能している。

 火山灰の土地が多く、昼夜の気温差が大きいために農業生産が低く、厳しい土地だったために忍耐強くなった。その一方で、負けず嫌いで執念深く、打算的でずる賢い甲州商人気質も備わったと言われる。このような気質を、地元では『めちゃかもん』と呼んで嫌っている。 

 甲州弁は、隣の静岡弁や信州弁と共通点が多い。中でも、特徴的な言い回しを簡単に紹介しよう。

『~しろし』は命令表現で、『~しちょ(し)』は禁止表現。『~ずら』は『~でしょう』。『~じゃんけ』は『~じゃないか』(静岡弁・三河弁の『~じゃんか』と同様)。そして、『だっちもねえ』は『下らないこと』の意。つまり、『だっちもねえこん言っちょし』とは、『下らないことを言うな』という意味になる。知っておいて損はない。多分、得もないけど。



【山梨王に、俺はなる!】

 皆さんは、ハローキティは好きだろうか?

 マイメロディーや、シナモロールはどうだろう。

 お察しの通り、今挙げたキャラクターは全て、株式会社サンリオのキャラである。同社には百を越えるキャラクターが存在していて、他にもテーマパーク事業や出版事業などを手がけていることでも知られている。

 さて、今回問題にしたいのは、社名の由来である。

『サンリオ』――この言葉は、どこから名付けられたのだろう?

 かつては、《社長の(つじ)信太郎(しんたろう)が山梨県出身で、社名は、『山梨の王になりたい』という意味の『山梨王(さんりおう)』からつけられている》という説が、まことしやかに流れていた。

 しかし、どうやらこれはガセだったらしい。

 数年前、一部メディアで取り上げられたことで有名になったのだが、『サンリオ』は『山梨王』ではなく、スペイン語で『聖なる河』を意味するらしい。実際、公式サイトでもそう説明されている。

 ところが――ところが、である。

 二十年以上前に出版された書籍・雑誌では、また違う由来が記されているのである。

 曰く、《『サンリ』は山梨の音読みで、『オ』は『オウ、オウ、オウ』という叫び声が聞く者を陶然とさせるから付けた》。

 曰く、《『サンリ』はやはり山梨の意で、『オ』はなんとなく語呂がいいから付けた》。

 二つの説があるが、そのどちらも、『サンリ』は山梨の音読みということになっている。二十数年の間に、社名の由来が変わってしまったらしいのだ。公式に『聖なる河』を意味する、と説明されている以上、それを信用するしかないが――どうにも、後付けの感は否めない。まあ、いずれにせよ、サンリオが山梨から生まれた偉大な企業であることには変わりがないのだけれども。

 あと、ぬいぐるみは大切に。


【富士Q84】

 山梨を代表するテーマパークに、富士急ハイランドがある。『FUJIYAMA』『ドドンパ』『ええじゃないか』『高飛車』などのクオリティの高い絶叫マシーンが目白押しの、絶叫マシーン好きには堪らない場所である。

 この富士急ハイランド――2010年の夏に『EVANGELION:WORLD―実物大初号機建造計画―』と題したパビリオンを発表して話題となった。新時代を築いた人気アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する初号機を、何と実物大で再現したのだ。ファンが歓喜したのは言うまでもない。

 ただ――全く同時期に、静岡では実物大ガンダムを登場させ、話題を呼んでいたのである。

 静岡でガンダム。

 山梨でエヴァンゲリオン。

 これは、全くの偶然だろうか。

 偶然である。当たり前だ。ごく単純に、時期がかぶってしまっただけにすぎない。そもそも、富士急にはその数年前から、ガンダムをテーマにしたショップ、アトラクションが存在していた。単純に、同時期に実物大ロボット(エヴァはロボットではないが)が登場しただけの話なのだ。


 では、恒例の市町村紹介。


甲府(こうふ)

 山梨の県庁所在地。『宝飾』研磨産業が盛ん。

『甲府鳥もつ煮』が名物で、B1グランプリで日本一にもなった。


山梨(やまなし)

 山梨県東部に位置する町。県名と同じだが県庁所在地ではない。

 ブドウ、桃の果樹栽培が盛んで、甲州『ワイン』が有名。


甲斐(かい)

 山梨県北西部の町。県内では人口第二位。

 2004年、中巨摩(なかこま)『竜王(りゅうおう)町』、敷島(しきしま)(まち)北巨摩(きたこま)双葉(ふたば)町が合併して誕生した。


笛吹(ふえふき)

 山梨県中部の町。「桃・ぶどう日本一の郷」を宣言。

 その宣言通り、『桃』とぶどうの栽培は県内でもトップレベルである。


富士川(ふじかわ)

増穂(ますほ)町』と鰍沢(かじかざわ)町とが合併して、2010年に誕生。


旧・増穂(ますほ)町 

 富士山山頂と日の出が重なる『ダイヤモンド富士』が有名。


旧・鰍沢(かじかざわ)

 日蓮の弟子・『日興(にっこう)』が生まれた土地。


(みなみ)アルプス市

 山梨県西部の町。

 2003年に、中巨摩(なかこま)八田(はった)村、白根町(しらねまち)芦安(あしやす)村、若草(わかくさ)町、櫛形町(くしがたまち)甲西町(こうさいまち)が合併して誕生した。

 現在、日本で唯一、名前にカタカナの含まれる市である。


富士吉田(ふじよしだ)

 山梨県南東部、富士山の北側に位置する町。『富士急ハイランド』の他に、極太めんが特徴的な吉田うどんが有名である。


鳴沢(なるさわ)

 山梨県南部、富士山の北側に位置する村。

鳴沢氷穴(ひょうけつ)』と呼ばれる溶岩洞が有名。


山中湖(やまなかこ)

 同じく、山梨県南部、富士山北側に位置する村。その名の通り山中湖があり、『フジマリモ』は県指定の天然記念物となっている。




長野県

 中部地方、甲信越地方に属する山間の県。

 面積13,562.23km2

 人口2,117,246人

 南北に長く、県の面積は北海道、岩手県、福島県に次ぐ四位。

 また、隣接する県が、静岡、山梨、愛知、岐阜、富山、新潟、群馬、埼玉の八県であり、これは国内最多。つまり、それだけ広大な土地であるということだ。しかしながら、そのほとんどが山林に占められ、可住地域は盆地や谷などに限られる。

 冬は厳しく、国内有数の豪雪地帯。

 林檎や蕎麦、おやきが有名。

 長野市を中心とした北信、上田市や軽井沢町を中心とした東信、松本市や安曇野市を中心とした中信、飯田市や伊那市を中心とした南信に分かれる。そして、それぞれの地域は高山に遮られているため、交通のアクセスは悪く――はっきり言って、同じ県内でもほとんど交流はない。

 座右の銘は『独立独歩』。

 それぞれの地域はバラバラに存在している。

 人呼んで『信州合衆国』。

 正直、『長野』と呼ばれるのを良しとしていない。『長野』というのは長野市周辺のことを指すのであって、県全体を指すモノではない。『信州』か『信濃』と呼んであげてください。

 そんなバラバラの県も、県歌『信濃の国』という歌で一つにまとまっている。信州出身の人間は、皆、『信濃の国』を歌える。これは、本当に歌える。お近くに信州出身者がいる方は、是非確かめてみて下さい。……歌えなくても、責任はとらないけれども。

 長野県人の県民性としては、とにかく真面目で勤勉、議論好きで理屈っぽい、ということが言える。かつて教育県と言われた名残なのか、道徳心、倫理観が強く、自分にも他人にも厳しい。公営競技場及び投票券場外発売場が一つもなく、県民の真面目さが窺える。

 しかし、一人あたりの博物館の数は長野県が一位。勉強好きで理論武装が得意な県民性を現している。

 また、男性の平均余命も国内一位。行政施策により、予防医療や在宅医療に力を入れている成果である。

 信州弁の代表的な言い回しに、『ずくがない』『ずくなし』『ずくを出す』という言い回しがあるが、この『ずく』――標準語では、そのものズバリと翻訳する言葉がないと言われている。強いて言えば、『やる気』『気力』『活力』『勇気』となるだろうか。つまり、『ずくがない』とは、『気力がなくて億劫である』ことを指し、逆に『ずくを出す』と言えば『面倒なことを敢えてやる』こと。信州人に面と向かって『ずくなし』と呼ばれないように気をつけたいものだ。


【余所の食文化を笑うな】

 言わずもがなであるが、信州は山深い場所である。土地も決して豊かとは言えず、蕎麦や(あわ)(ひえ)、そして林檎などの果物くらいしか作ることができなかった。それでも飢えを凌げるのならよかったのだが――問題は、タンパク源の摂取にあった。

 そこで生まれたのが、昆虫珍味である。

 貴方は、ザザムシを知っているだろうか?

 蜂の子は?

 さすがに、イナゴは知っているだろう。

 あれらを、信州の人々は佃煮などにして食すのである。 

 南信の伊那、飯田辺りが有名だが、蜂の子やイナゴくらいなら県内全域で食されている。

 誤解がないように言っておくが、もちろん、日常的に食しているわけではない。珍味は、珍味だ。口にするのも、恐らくは年に数回程度だろう。それでも、スーパーなどに佃煮の缶詰が普通に並んでいる光景は、県外の人間にしてみれば驚くばかりなのだが。

 ゲテモノと言って馬鹿にしてはいけない。これが案外、いけるのである。二十一世紀になって十年、肉も海魚も容易に手に入る現代においても、珍味珍味と喜んで食べているのは何故か――美味しいからだ。見た目に騙されてはいけない。

 また、(きた)る食糧難の時代、昆虫食は世界レベルで注目されている。栄養価が高く、安定して大量生産できる昆虫食は、冗談ではなく、高い期待が寄せられているのだ。生理的に受け付けられない、という人は、今のうちに耐性をつけておいた方がいいかもしれない。

 蕎麦、林檎、おやきにソースカツ丼――それらの名物もいいが、信州にお越しの際は、是非とも昆虫珍味にチャレンジして頂きたい。きっと、新しい未来が開ける筈だから。

 

長野(ながの)

 長野県の県庁所在地。北信の中心地。

善光寺(ぜんこうじ)』の門前町として有名。

 98年には冬季オリンピックの舞台にもなった。


松本(まつもと)

 長野県第二の都市で、中信の軸となる都市。

 かつて松本城の城下町として栄えた。

 古くは『深志(ふかし)』と呼ばれていた(現在も地名などに残っている)。


上田(うえだ)

 長野県第三の都市。東信の心臓部分。

『真田氏』発祥の地である真田郷を含む。


飯田(いいだ)

 長野県第四の都市。南信の中心地。

『人形劇』やりんご並木などで知られている。


伊那(いな)

 同じく南信の町。ローメンや昆虫珍味などで知られている。

 東部に『美篶(みすず)』という地区がある。


 では最後に、静岡とはあまり関係がないが、特筆すべき場所を幾つかのトピックと共に取り上げていくことにしよう。


【謀略! 伊賀娘】

 東海三県の一つ、三重県は、伊勢神宮と伊勢エビ・松阪牛などの高級食材が有名な県である。

 県庁所在地の津市は三重県中部に位置し、駅前に建つ『アスト津』という高層ビルが、市のランドマークになっている。他に類を見ない短い地名でも有名である。

 忍者の里でお馴染み、伊賀市は津の北西に位置している。隣接する滋賀県甲賀市とは姉妹都市の関係。伊賀対甲賀で争っていたのは過去の話――今では、双方協力して忍者の里のPRに努めている。

 北部には桑名市、四日市市、鈴鹿市、亀山市などが存在している。

 桑名市は、『桑名の焼きハマグリ』や長島町の『ナガシマリゾート』が有名。市名は、桑名開発の祖、豪族の桑名(くわな)(おびと)からとられたと言われている。四日市市は石油コンビナートが有名。イオングループ発祥の地でもある。鈴鹿市と言えば鈴鹿サーキットだろう。日本のモータースポーツの聖地。県内有数の工業都市でもある。亀山市は蝋燭の生産で有名である。また、カレーに豚肉を入れるか牛肉を入れるかの境界線に位置しているというデータもある。

 東海三県のもう一つは岐阜県。県庁所在地は、金華山(きんかざん)の麓に位置する岐阜市。名古屋との結びつきが非常に強い。第二の町、高山市は北部に位置する山岳地帯。岐阜と言えば、さるぼぼである。筆者個人的には、非常に可愛い造形をしていると思うのだが、如何か。


【薬売り、家を持つ】

 富山県は北陸に位置している。寒ブリやホタルイカなどが有名。

 県民性は、極めて真面目で堅実。貯蓄率や持ち家率、実収入、高校進学率は堂々の全国一位。象徴的とも言えるのが、ご存知、『越中富山の薬売り』である。家から家へ、町から町へ、コツコツコツコツ実直に真面目に信頼を築き上げて、その名を全国に知らしめた。

 県庁所在地は富山市。全国第二位の面積を誇る。ちなみに一位は静岡市である(平成の大合併以降)。

 総曲輪(そうがわ)が町の中心地となっている。


【幕末志士 よあけは☆マダカ】

 高知県は四国の南部に位置している。四国山地と太平洋に囲まれているため、かつては流刑地となっていた時代もある。森林面積が多く、可住面積は狭く、日照時間は長い。だからか、豪快で反骨精神の強い県民性と言われている。

『鰹のタタキ』や『よさこい祭り』も有名だが、高知=土佐と言えば、何と言っても幕末の英雄・坂本龍馬である。人口第二の町、南国市にある空港の名も、『高知龍馬空港』である。ちなみに、その南国市は御免(ごめん)駅が中心となっている。

 さて、龍馬と共に高知県民と言って全国的に知られているのが、その酒豪ぶりである。高知県民は本当に酒が好きだ。毎年、酒類消費量は大都市に次いでトップレベル。酒がなければ話にならない。

 ただし、お酒は二十歳をすぎてから。


【シジミやウサギの憂鬱】

 クイズ。

 島根県は、何処にあるでしょうか? 

 出雲大社や宍道湖のシジミ、小泉八雲、最近では『ゲゲゲの女房』などでも知られている島根県ではあるが、その認知度は全国ワースト一位である。哀しい。

 そこで生まれたキャッチコピーが――

『島根は鳥取の左側です』

 ……何とも言えない気持ちになる。

 鳥取砂丘や因幡の白ウサギで知られている鳥取県ではあるが、お世辞にも、その認知度は高いとは言えない。島根は鳥取の左――で、その鳥取ってどこなの? と言われたら詰んでしまう。双方、傷ついて終わりである。

 でも大丈夫。島根ではよくある話ですから。


【花より餃子】

 栃木県は北関東の真ん中に位置している。日光市の日光東照宮や日光猿軍団も有名だが――県庁所在地の宇都宮と言えば、やはり、餃子である。餃子の町である。中国語ではチャオズである。どうでもいい。

 随分前に記した通り、餃子の消費量では浜松市に抜かれている。しかし、全国的にはいつまでたっても、宇都宮は『餃子の町』なのである。駅前には『餃子像』が鎮座しているのだが――餃子の皮に包まれた女神という、独特と言うか、ユニークと言うか、何とも形容できない形状をしている。それだけに、物好きの間では人気らしいのだが……。

 ちなみにこの餃子像、2008年に駅前再開発のために設置場所を移動させられたのだが、その際、クレーンのワイヤーが外れて落下し、倒壊するというハプニングに見舞われている。その後、無事に修復されたが、この出来事は同様に物好きの間で話題となった。

 


【落ち込むことも多いけど、私、この県が好きです】

 さて、ここまで県内外の紹介を行ってきた訳だが、如何だっただろうか。最後の方、静岡とは全く関係ない事柄に結構なスペースを割いてしまったが、それはご愛敬。

 静岡県民も、静岡県民でない方も、先祖代々この地に住み続けているという方も、静岡なんて場所、聞いたこともないという方も(さすがにそんな奇特な方はおられないだろうが)、少しでも興味が湧き、最後まで退屈しないで読んでいただけたのなら幸いである。

 静岡は、本当にいい所だ。

 気候は温暖、人は温厚、交通の便がよく、食べ物は美味しく、産業もそこそこ発達している。

 富士山、伊豆、駿河湾に浜名湖と、観光資源にも事欠かない。

 そこそこに田舎で。

 そこそこに開けていて。

 私は、この地が大好きである。

 その魅力が僅かでも伝わったのなら、筆者の企みは成功している。

 何かの機会があれば、是非静岡へとお越し頂きたい。

 その土地土地の特産品、風光明媚な景勝地が貴方を迎えてくれることだろう。


 では――静岡の未来を祈りつつ、この辺りで締めにしたいと思う。

 ここまで読んで頂き、ありがとうございました! 


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