恐喝
休み時間
末広がぼんやりなくなった靴のことを考えながら窓から外を見つめる、
(神原先輩が指示したのか? それともあの2人が?)
とにかくあいつらは要注意、気をつけなきゃあ…な、と思っていると
「す・え・ひ・ろくーん」
後ろから呼ぶ声が、ふりむくと…、要注意の3人が立っていた
「ちょっと話あるんだ、いいかな?」
神原先輩がほほえみながら言った
3人に校舎のすみに連れて行かれる、そして神原が切り出した
「どうも誤解があるような気がしてさ…」
神原先輩がこっちを真剣な顔でみつめる
「おれら別にあまえのこと嫌ってはないわけでさ、ていうかむしろすごいなって
思ってるわけよ」
(なにが言いたい?)
「おまえの中学の時の評判も知ってるし、実際、プレイも見てほかの1年とは
違うってわかる」
(…ほめられてる?でもなんか違う…)
「将来はレギュラー、いやキャプテンにもなれる力を持ってるって思うわけよ」
「あ…ありがとうございます」
とりあえずお礼を言うが、なんか違う…
「そこで…さ、このあいだの件…さ」
(まだ引きずってる、あの事を…)
「おまえが悪気があって言ったんじゃないってことはわかってる、でもさ、
こいつら傷ついたわけよ」
神原がでかいのとめがねの方を指さす、2人がそろってうなずく
「これからおまえはレギュラーになる、キャプテンにもなるかもしれない
だがこの2人は控えのままだ、わかるか?」
2人の顔をちらと見る(たしかにこの2人は控えにもなれそうにないが…)
「おまえがこの2人にちゃんとしたことをしてくれたらおれらも納得する、
おまえを応援するし力にもなる」
(いや、別になってもらわなくても…)
「3万!これでカタをつけよう」
(え! 金? 金とるのかよ!)
「…ほんとはもっと欲しいけど…いいよ3万で」
めがねがぼそっとつぶやく
(いやいや、金はまずいでしょう?、3万…って)
「ということだ、明日にでも持ってきてくれ、いいな」
神原にぽんと肩をたたかれる
「…すみません、お金はかんべんしてください」
きっぱりと言うと3人の顔色が変わった、敵意をむきだした表情
「おれの家、貧乏なんです、だから…3万、ムリです、出せません」
正直に言えばわかってもらえると思い打ち明ける
「…そうか…貧乏か…」
神原がうつむいてつぶやく、そして顔を上げると同時に
ドスッ!
おなかにパンチを押し込んだ
「うっ」
息ができない…みぞおちにパンチをくらい、うずくまる
「必ず明日持って来い!いいな?」
神原の声が頭の上から降り注いだ