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能勢ほのか

 能勢ほのか

 その少女は消え入るような声でやっと自分の名前を言った

 小っちゃくてか細い、髪は短いショートというよりおかっぱ風、前髪が

 おでこから目までかかり顔の表情がうかがえない、ずっと下をむいて

 座っている

 向かいに座っているてんがのぞきこむようにほのかの顔を見つめる、ほのかが

 目をそらす下を向く、さらにてんが見つめるともっと下をむく、横に座っていた

 ひかるがよしなさいと言うようにてんを肘でつつく、てんも攻撃をやめた

「…で、相談っていうのは…どんなことかなぁ」

 やんわりひかるがたずねる

 ほのかは黙ってうつむいたまま、しばし長い沈黙の時が続く、やがて

「あ…やっぱりいいです、帰ります」

 と立ち上がり帰ろうとする

「ちょ、ちょっと待って!」

 ひかるが立ち上がり止める

「しゃべりたくないならいいよ! ね! そう、いきなりはムリよね、今日の

ところは…雑談? ガールズトークってやつ? それだけにしよ、ねっ」

 ひかるに言われほのかが席に座る、ひかるが続ける

「えーじゃあ、じゃあ…えーと、その」

ほのかを止めたのはいいが話題が出てこない、隣のてんをまた肘でつつく

「てん…てん!」

「は?」

「は? じゃなくて、なにかない? 最近の話題、なにか…さっ」

「話題…ねえ…」

 てんがほおずえをついて考えるポーズをとり、いきなりしゃべりだす

「いやあ、この間の凱旋門賞、日本馬、だめだったねぇー」

「は?」

「やっぱロンシャンのあのコースは複雑だわ、いきなりあのコース走れって

いわれても馬もためらうわ、それにあの洋芝? ってやつ、慣れてないと

ムリだわ、それに…」

「わたし! 仲間はずれにされてます!」

 場違いなてんの話をさえぎって、ほのかが突然しゃべる

「へ?」

「え?」

 ひかるとてんが驚く、ほのかがかまわず続ける

「…入学式の後、後ろの席の人が声をかけてくれたんです、それから…

その子の友達といつも一緒に休み時間を過ごしたり、お弁当食べたり、それが

…急に…」

「無視され始めた?」

 ひかるが優しくたずねる

「いえ、そこまでじゃないけど…なんか、いままでと態度が変わって…

冷たくなったっていうか…」

「そのグループの中心の子の名前…いえるかなぁ」

「…同じクラスの…赤木…かえさん…」

「そう…1回、話してみようか? その子たちに」

「…」

 ほのかがまた不安げに下を向く

「大丈夫! うまくいくから、わたしにまかせて!」

 ひかるがきっぱり言い切る、ほのかもうつむいたままだがコクンと

 うなずいた




 












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