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ひかるとほのか

「あの後もさ…大変でさあ…」

 学校へ向かう途中、ひかるがてんに話しかける

「ほのかさんは泣き出すし、かえさん達は帰ろうとするし、もう大変」

 ふんふんとてんがわざとらしくうなずく

「で…結局、ほのかさんをあの3人の中に戻すのはムリかなって…」

「やーっと、気づいたんだー、ひかるさん!」

 ひかるをみつめ返してんがはっきり言い放つ

「え?」

「あったり前じゃん、あの3人とほのかさん、まったくタイプちがうし、あれじゃ

馬の中にロバがいるのと同じだよ」

「…馬の中に…ロバ?」

「ま、気の強いロバなら、なじむけどねっ」

「…気の強い…ロバ?…」

 いまいちたとえがわかりかねるひかるにかまわずてんが続ける

「で?どうすんの?これから?」

「ああ、とりあえず、ほのかさんが一人にならないよう休み時間、会いに行く」

「えー!!! そんな面倒なことすんのー!」

「仕方ないでしょ、ほっとけないし…それにもう約束しちゃったし」

「ふーん、よくやりますなぁ、生徒会長さんはー」

 とてんがポンポンとひかるの肩をたたく

 ひかるが小さくため息をついた

 

 その日の昼休み

 ひかるが立ち上がり小さく伸びをして、となりの席のてんの方を向く、てんの姿

 はそこにはなかった

(…あのやろー・・逃げたな…)

 仕方なく一人でほのかのクラスへ、案の定、ほのかが一人さびしく座っていた

「こんにちはー、ほのかさん、大丈夫…かな?」

 ひかるが空いているほのかの前の席に座る

「あ…はい…大丈夫です…」

 元気なくほのかが答える、周りのほかの生徒たちが2人をうかがうように

 ちらちらとこっちを見てくる、その中に赤木かえたちの視線も、ひかるが

 みつめ返すと視線をそらせた

「ここの席、寒いねー」

 かまわずひかるが話しかける

「…うん…ろうか側…だから…」

「…」

「…」

 そして沈黙が続く、ひかるがあせる

(まずい…会話…続かない…どうしよう)

「…ひかるさん」

  突然ほのかが言ってくる

「あ!は、はい!なんでございましょう?」

 あわててことばが変になる

「ひかるさん…学校…楽しい…ですか?」

(…うわー、楽しいよ、なんて言えないし…楽しくなんてないとも言えないし

どう返せば…)

「そ…そうね、ま、いろいろ…楽しいときもあるし…大変なときもあるし…

勉強は、大変だけど…生徒会の活動なんかも…その…大変だけど、やりがい

っていうか…楽しい、大変だし…」

「わたしは…楽しくないです…」

「あ…そ、そう」

 そしてまた会話が途切れる、ひかるの頭にはもう話題は浮かんでこない

 ほのかも気まずさを感じたのか机の上のノートの表紙にらくがきを始める

 なにかのキャラクターのような少女の絵、ひかるがその絵を目をみつめ驚く

(この子…足から描いてる) 

 足から体、腕、そして顔を最後に描く、スラスラと描きなれた感じ

「ほのかさん…その絵…」

「リトルポラは繊細なタッチで描くときれいに描けるんです」

「リトル?」

「逆にアガペンは強いタッチで…こう」

 今度は男性のキャラクターを描き出す

「あの…なんのアニメかなぁ?」

「アニメ?」

 ほのかの視線が変わる、力強くひかるをにらむ

「アニメなんて安っぽいものじゃないです! もっと壮大なスペクタクルです

もしや…知らないんですか?(蒼いピンクカメオ)」

「え?蒼い…なのに…ピンク?」

「説明しましょうか?」

「あ…いや」

「説明します、長くなりますよ!」

「は…はい」

 そして長い説明が始まった、長い、おかげでひかるは次の授業に遅れることに

 なった









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