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第4話 ブラックテイルな娘

 慌てて帰宅した俺はマリーを鞄から取り出して尋問した。

「一体何をしたんだ!?」

「何のこと?」

「俺をコントロールしただろ」

「コントロールって? 尻尾アクセサリーに英語を言われてもわからないわ」

「アクセサリーも英語だろうが! 何誤魔化してんだよ。俺の体が自由に動かなくなったのはお前の仕業だろ?」


マリーは大きくため息をついた。そして、

「仕方ないわね。全て話すわ」

と言うと、俺の手から離れ空中に浮いた。


「な、な、何だ?」

慌ててのけ反る俺にマリーは、

「今更、驚いてどうするのよ」

と笑う。


 確かにその通りだ。尻尾アクセサリーが話し始めた段階でかなり異常なのだ。何が起こったっておかしくない。

しかし、これでまた地球の物理法則が大きく崩れていく。


「私は黒魔術が使えるの。だからあなたの意志をコントロールできたのよ。でも、もうしないわ。ごめんなさい。この私が謝ってるんだから感謝しなさい」

俺は唖然として言葉が出なかった。

たかが尻尾アクセサリーと思っていたが、こんな恐ろしい存在だったとは。

人をコントロールできるだと?

これからは逆らわないようにした方が良さそうだ。

それにしても黒魔術っていったい何なんだ?


「驚いた?」

「ああ少し。いやかなり」

「本当はこの能力はずっと隠しておきたかったのよね。でも、白には負けたくなかったの」

「ずっと隠しておきたかった割には、しょうもない理由で能力使ってるじゃねえか?」

「だって、私たちにとって黒は神の色、白は悪魔の色なのよ」

どうも俺が持ち続けてきた常識とは随分感覚が違うようだ。


「ところでマリー、お前は一体何者なんだ?」

俺はこの機に一番聞きたいことを口にしてみた。

「異世界人かしら」

「異世界というと二次元とか三次元とか?」

「それは異次元でしょ。また違った世界なの」

「じゃあ、何光年も離れた惑星から来たとか」

「それは宇宙人」

「一体どういうことだよ」

「あなたのいる世界とは全く違った世界が存在するのよ」

「全く違った世界?」

「今あなたがいるこの世界が表の世界だとしたら、私が生まれた世界は裏の世界なの」

「何を言ってるんだ?」

これ以上聞くと俺の頭がパンクしそうなので質問を変えることにした。


「ところで、その黒魔術とかで何ができるんだ?」

「能力が高ければ何だってできるわ」

何でも‥‥だと。


そこで俺は小さな声で言った。もちろんこの部屋には2人しか・・・・いや1人と1匹しかいないのだから声を小さくする必要など全くないのだが。


「例えば不良を懲らしめるとか?」

「そんなの簡単よ」

何だと! 俺は密かにガッツポーズをした。


「じゃあ、この前の不良達を懲らしめてくれないか?」

「私は能力が低いからたいしたことはできないわ」

「例えばどんなことができるんだ?」

「そうねえ。空から中華鍋を落としたりとか、犬に追いかけさせたりとか」

「おい、それって」

「やだ、例えばの話よ」

焦るマリーをもっと問いつめたかったが、ここは落ち着いて話を戻すことにする。


「あいつらこのままにしておくとエスカレートしかねない。俺以外の犠牲者が出るかもしれないだろ?」

「それはそうだけど」

「これは正義のためなんだ。地球を平和にしたくないか?」

「大袈裟ね」


マリーは暫く考えてから答えた。

「わかった。じゃあ、強い味方を呼ぶわ。いいわね」

「ああ、頼む」

『いいわね』の部分が気になったが、取り敢えずOKした。あいつらをこのままのさばらせるわけにはいかないからな。


 この時、妙な正義感に囚われていなければ、俺はまた違った人生が送れたかもしれない。そう、ノーマルな人生を。


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